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2008年9月11日 (木)

『シンドラーのリスト』

 我が家の場合、夜はCATVがついていることが多くて、特に日本映画専門チャンネルか、ムービープラスです。特にムービープラスはほとんどが見ている作品が多く、安心してつけていられます。しかしときどきオンエアされているとついついみてしまうという作品があります。別に作品の出来不出来には関係なく、自分の状況に左右される(現実逃避?)ことが多いのですが、そんな中でじっくりと最近みてしまったのが『シンドラーのリスト』。NHKのBSHiでのオンエアで残念ながら2ch音声だったのですが、それでもすぐにプロジェクターでうつしてみちゃいました。 この作品については賞狙いが露骨だとか、あまりにもユダヤ人寄りだという批判がありますが(スピルバーグがそういうスタンスではないということは、後の『ミュンヘン』で証明されたと思います)、しかしそれでもここまでの長尺をみせきってしまう演出力はやはり本当にすごい。特に名もなき人々の名前とその存在1人に1人にかけがえのない重さがあることをきちんと描けていることに脱帽します。オープニングで次々と名乗る人々の名前には観客は最初何の価値も見いだせない。しかしこの映画をみていくうちに印象深い顔がエピソードと共に心にひっかかっていきます。ゆえにオスカー・シンドラーが「もっと救えたのに」と泣き崩れるところで、私たちも「これほどたくさんの人々を救ったではないか」と思えるのです。私は初日にWMC海老名7でみました。dts+THXのシネマサウンドで味わったあの乾いた銃声(ゲート所長が並んだユダヤ人を次々と殺す場面)は本当に怖かった。だから最後のイツァーク・パールマンのバイオリンの響きには魂をゆさぶられたし、エンドロールでのピアノで奏でられたジョン・ウィリアムズのテーマ曲のリプライズにはほっとしたと同時に、すごい映画をみた時にしか味わえない、自分がどこにいるかを忘れてしまうようなあの感覚に襲われたのです。

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