『ブラックブック』
☆☆☆ バーホーベンらしいバランス。
ポール・バーホーベンが久しぶりにヨーロッパで手がけた監督作は、彼らしい毒がいっぱいの、それでいてエンターテイメント性を忘れていない一作になりました。
私は彼のフィルモグラフィの中では『4番目の男』が好きなのですが(『氷の微笑』は実質これのセルフリメイクと言ってよい)、この作品は宗教をおちょくるネタがごろごろ。それでいてそんなことを知らない人がみてもおもしろい。この作品もそういう部分があります。とにかくラストがきつい。あそこはいわゆるイスラエルのキブツで、1956年というのはちょうど第二次中東戦争の舞台となる年のはず。決して安穏とできるところではなく復讐の連鎖が続くという部分が恐ろしいところです。この冗談なのか真面目なのかがわからないあやういバランスが保てたことは、ボーホーベンらしさとしてよしとしましょう。
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