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2008年7月31日 (木)

第29回ヨコハマ映画祭

第29回ヨコハマ映画祭の結果。

第1位『それでもボクはやってない』
第2位『天然コケッコー』
第3位『しゃべれども しゃべれども』
第4位『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』
第5位『河童のクゥと夏休み』
第6位『魂萌え!』
第7位『サイドカーに犬』
第8位『人が人を愛することのどうしようもなさ』
第9位『自虐の詩』
第10位『夕凪の街 桜の国』

作品賞:『それでもボクはやってない』
監督賞:周防正行『それでもボクはやってない』
新人監督賞:吉田大八『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』
脚本賞:奥寺佐渡子『しゃべれどもしゃべれども』『怪談』
撮影賞:阿藤正一『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』
主演男優賞:加瀬亮『それでもボクはやってない』
主演女優賞:佐藤江梨子『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』
助演男優賞:永瀬正敏『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』
助演女優賞:永作博美『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』
最優秀新人賞:新垣結衣『恋するマドリ』『ワルボロ』『恋空』、夏帆『天然コケッコー』、北乃きい『幸福な食卓』
特別大賞:藤村志保

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2008年7月30日 (水)

第28回ゴールデン・ラズベリー賞

第28回ゴールデン・ラズベリー賞の結果。

最低作品賞:"I Know Who Killed Me"
最低主演男優賞:エディ・マーフィ 『マッド・ファット・ワイフ』
最低主演女優賞:リンジー・ローハン "I Know Who Killed Me" ※Aubrey役とDakota役でダブル受賞
最低助演男優賞:エディ・マーフィ (Mr.Wong役)『マッド・ファット・ワイフ』
最低助演女優賞:エディ・マーフィ (Rasputia役)『マッド・ファット・ワイフ』
最低スクリーン・カップル賞:リンジー・ローハン (2役)"I Know Who Killed Me"
最低リメイク(盗作)賞:"I Know Who Killed Me" (『ホステル』『ソウ』"The Patty Duke Show"の盗作として)
最低前後編賞:"Daddy Day Camp"
最低監督賞:クリス・シバーストン "I Know Who Killed Me"
最低脚本賞:ジェフリー・ハモンド "I Know Who Killed Me"

よっぽど"I Know Who Killed Me"をいじりたかったのでしょうね。だってカップル賞を独り占めだなんて(というかそういうオチの映画なのか?)リンジー・ローハンをそこまで目の敵にしなくても・・・。

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2008年7月29日 (火)

第46回優秀外国映画輸入配給賞

賞関係の漏れもまた書いておきます。

【第46回優秀外国映画輸入配給賞】
◆経済産業大臣賞
ギャガ・コミュニケーションズ
『バベル』『ボルベール<帰郷>』『ヘアスプレー』『アース』『シッコ』『ライラの冒険 黄金の羅針盤』(松竹共同配給)
◆特別賞
ワーナー・ブラザース
『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』『オーシャンズ13』『スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師』
ウォルト ディズニー
『パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールド・エンド』『レミーのおいしいレストラン』『ナショナル・トレジャー/リンカーン暗殺者の日記』
東宝東和
『ボーン・アルティメイタム』『アメリカン・ギャングスター』『エリザベス:ゴールデン・エイジ』
◆奨励賞
ショウゲート
『ぜんぶ、フィデルのせい』『once ダブリンの街角で』『ノーカントリー』(パラマウント ジャパン共同配給)
ワコー
『トゥヤーの結婚』(グアパグアポ共同配給)『雲南の少女 ルオマの初恋』(グアパグアポ共同配給)『白い馬の季節』(フォーカスピクチャーズ共同配給)

正直この賞ほどどうでもいいというのもないかと思ってます(笑)。今のギャガにあげるというのもなあ・・・。

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2008年7月28日 (月)

訃報:アーサー・C・クラーク

 SF作家、アーサー・C・クラークが、3/19心肺機能不全のためスリランカの自宅で亡くなりました。享年90歳。1960年代から衰弱性のポリオ後症候群を患っていたそうです。
 1917年イギリス生まれ。戦後作家としてデビューします。代表作に「宇宙のランデヴー」「楽園の泉」(この2作はヒューゴー賞とネビュラ賞を同時受賞)「幼年期の終わり」など。映画との関わりとしては短編「前哨」をベースにした『2001年宇宙の旅』。スタンリー・キューブリック監督によって映画化された際には脚本を手がけ、それをのちに自分自身でノベライズしています。
 物書き志望だった自分のSF好き、海外小説好きという方向性に大きな影響を与えた1人でして、短編集「天の向こう側」「10の世界の物語」とか大好きでした。映画としては『2001年宇宙の旅』ですが、実はピーター・ハイアムズ監督の『2010年』の方がクラークらしい感じがします。そして現在、なんとデビッド・フィンチャー監督が「宇宙のランデヴー」を映画化するらしいです。うーん・・・。
 ご冥福をお祈りします。

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2008年7月27日 (日)

訃報:ウィドマーク、スコフィールド、ミンゲラ

いくつかの訃報をまとめて。

 米俳優リチャード・ウィドマークが、3/24コネチカット州の自宅で亡くなりました。享年93歳。1914年、ミネソタ州生まれ。1947年、オーディションに合格した『死の接吻』で本格映画デビュー。冷酷な殺し屋役でいきなりアカデミー賞助演男優賞にノミネートされ、注目を集めます。他に『地獄の戦場』(1950)、『ゴーストタウンの決斗』(1958)、『アラモ』(1960)、『ニュールンベルグ裁判』(1961)、『シャイアン』(1964)など。私にとっては『オリエント急行殺人事件』(1974)の富豪ラチェット役が印象深いです。

 英俳優ポール・スコフィールドが19日(水)、白血病のため自宅近くの病院で死去した。享年86歳。1922年にイギリス・サセックス州で生まれ、1940年1月にロンドンの舞台でデビューを飾り、その後ロイヤル・シェイクスピア・シアター、ナショナル・シアターの常連として活躍しました。映画ではやはりアカデミー賞主演男優賞を受賞した『わが命つきるとも』(1966)が有名ですが、個人的には『ハムレット』(1990)と『クイズ・ショウ』(1994)が印象的です。

 映画監督・脚本家のアンソニー・ミンゲラが、3/18ロンドンで死去しました。享年54歳。広報担当者によるとミンゲラはチャリング・クロス病院で頸部の簡単な手術を受けた際に、突然脳内出血に見舞われ帰らぬ人となったそうです。
 1954年にイギリス・ワイト島でイタリア系移民の子として産まれ、家族の反対を押し切ってハル大学で英文学と演劇を学んだのち、ウェストエンドで上映される演劇の脚本や、ラジオ・テレビの脚本で次第に認められるようになります。『愛しい人が眠るまで』(1991)でデビュー。監督作はこれも含めて6本。『最高の恋人』(1993)、オスカーを獲得した『イングリッシュ・ペイシェント』(1996)、『リプリー』(2000)、『コールド・マウンテン』(2003)、そして遺作となった『こわれゆく世界の中で』(2006)。で、実は私、1本もみてませんでしたが、この後たぶん『こわれゆく世界の中で』をみる予定です。

 お三方のご冥福をお祈りします。

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2008年7月26日 (土)

『ナイト ミュージアム』

20080807223541☆☆1/2 安心のファミリーピクチャー。
 ベン・スティラー主演のコメディはどこをきっても安心のファミリーピクチャーに仕上がっていました。とにかく博物館の展示物が動き出すというアイディアが抜群だったということでしょう。したがって話ははっきり言って蛇足以外何物でもなく、展示物をめぐる部分の小ネタにも限界があると思いますが、これはこれで悪くないと思います。ですからそこに期待しすぎると肩すかしになると思います。
 スティラーが貴重なのは、ついこの間までならばアダム・サンドラーが得意にしていたこういった役柄を嫌味なく演じられるところが、ウィル・フェレルとの差異でしょうか。そしてオーウェン・ウィルソンやロビン・ウィリアムズ、また驚いたのがミッキールーニーとディック・ヴァン・ダイクが出てきたことで(上の娘が先に気づきました。「『メリー・ポピンズ』の人だ!」と)、こういう映画ゆえに、そういった大人向けの目配せができているのもポイントが高いと思います。
 とりあえず子どもと楽しめるポップコーンムービー。その割にはちょっとだけできのいい(しかし過度の期待は禁物な)1本です。

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2008年7月25日 (金)

「セルジオ・レオーネ―西部劇神話を撃ったイタリアの悪童」

51sdb1d8p 『夕陽のギャングたち』が素晴らしくて、以前読んでいたこの本をもう一度再読。とにかくボリュームもさることながら、一人の映画監督の評伝としても抜群の面白さを誇る。私のお薦めの言葉よりこの本の訳者あとがきを抜粋しておく。

 もし、あなたが今、この本を購入しようかどうかと迷いながら後書きに目を通しているのなら、ぼくからのメッセージはただ一つである。お買いなさい。絶対に損はさせません。もしも、あなたがすでに『荒野の用心棒』を始めとするレオーネの西部劇や、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』に魅せられてしまっているなら買うべきだ。仮にあなたがいわゆる「マカロ子ウェスタン」が苦手だったとしても、やはり買うべきだ。この本にはジョン・フォードも登場する。黒澤明に関してもすこぶる興味深い逸話が披露されている。あなたがもしもクリント・イーストウッドのファンであるならば、あなたはこの本を買うべきだ。エンニオ・モリコーネのアルバムを集めているのなら買うべきだ。映画史に興味があるのなら、というか、映画というものに興味があるのなら絶対に買うべきだ。ひょっとしてあなたが、映画というものにまったく興味を持っていないとしても(そんな人物がそもそのこの本を手に取ること自体考え難いのだが)、それでもあなたはこの本を買うべきなのだ。なぜなら、この本はとてつもなく興味深く破天荒な一人の人物と、彼の人生に登場した個性豊かな面々を生き生きと描いたすこぶる面白い「人間」の記録なのだから。(訳者:鬼塚大輔氏)

本当に高いけれど絶対に買いの一冊。

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2008年7月24日 (木)

訃報:チャールトン・ヘストン

 米俳優、チャールトン・へストンが、4/5にカリフォルニア州ビバリー・ヒルズの自宅で死去しました。84歳でした。
 1924年10月4日、イリノイ州エヴァンストン生まれ。ノース・ウエスタン大学で演劇を専攻し、そのときの仲間だったリディアさんと結婚。47年、妻と旗揚げした劇団でブロードウェイに進出し、テレビでも活躍しました。ちなみに私生活は大変堅実でハリウッドスターとしては珍しく離婚歴がなく、20歳の時に結婚したリディア夫人と自身が亡くなるまで64年間連れ添いました。1950年『虐殺の街』で映画デビュー。1953年『地上最大のショウ』でセシル・B・デミル監督に抜擢され、注目を集めました。“ミケランジェロの彫刻”と称された肉体美やよく響き渡る美声で、一気にスターダムを駆け上がりました。『十戒』(1956)、アカデミー賞歴代最多の11部門を制覇し自身も主演男優賞に輝いた『ベン・ハー』(1959)、『エル・シド』(1961)、『北京の55日』(1963)、『ジュリアス・シーザー』(1970)、『猿の惑星』(1968)、『大地震』(1974)、『原子力潜水艦浮上せず』(1978)などスペクタクル大作の顔として名をはせ、1966年から1971年までは、俳優組合の会長をつとめました。近年では脇を締める役が多く、『マウス・オブ・マッドネス』(1994)、『トゥルーライズ』(1994)、『アルマゲドン』(1998)のナレーションとか、ティム・バートン版『猿の惑星』(2001)なんてのもありました。
 2002年8月に自分がアルツハイマー病であることを公表します。最近の映画ファンはやはり全米ライフル協会の会長をつとめていたことが印象的でしょう。1998年から2003年までつとめていますし、2002年のドキュメンタリー映画『ボウリング・フォー・コロンバイン』ではマイケル・ムーア監督の直撃を受けたことも話題になりました。
 まあこれだけ大作に出ていますからねぇと言いつつ、実は『ベン・ハー』も『十戒』もみていない私。正直『クライシス2050』のようなどうでもいい作品もたくさんあります。印象的なものはパイロット役が渋かった『エアポート75』(1974)、なぜか妙にインパクトのあった『誇り高き戦場』(1967)でしょうか。ご冥福をお祈りします。

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2008年7月23日 (水)

訃報:デビッド・ワトキン

再び春先からたまっていた訃報を整理します。たぶん数日続きますのでご容赦を。

 撮影監督デビッド・ワトキンが2/19にイギリス・ブライトンの自宅で亡くなりました。享年82歳。
 1925年英ケント州マーゲート生まれ。第2次世界大戦に出兵。鉄道撮影のカメラ・アシスタントとして働いた後、60年代にコマーシャルの撮影を始めたのがきっかけで、レスターと出会い、『ナック』(1965)の撮影を担当。その後も2人は『HELP!四人はアイドル』(1965)、『ジョン・レノンの僕の戦争 』(1967)、『三銃士』(1973)、『四銃士』(1974)、『ロビンとマリアン』(1976)、『さらばキューバ』(1979)と多くの作品で組みました。他にも代表作は多数あり、『キャッチ22』(1970)、『肉体の悪魔』(1971)、『エンドレス・ラブ』(1981)、『愛のイェントル』(1983)、『ホテル・ニューハンプシャー』(1984)、『月の輝く夜に』(1987)など。シドニー・ポラックの『愛と哀しみの果て』(1985)ではアカデミー撮影賞を獲得しています。
 いかにもヨーロッパ出身の撮影監督らしい色彩設計をする人で、中でも『炎のランナー』(1981)の美しさは白眉と言えるでしょう。この作品が、同じ英語圏でもアメリカとイギリスは何が違うかよくわからなかった当時中学生の私に、イギリスらしさ教えてくれた初めての作品でした。ご冥福をお祈りします。

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2008年7月22日 (火)

『40歳の童貞男』

51kdihrrxu☆☆ クスクスできるけど。
 スティーブ・カレル主演で大当たりしたコメディ。日本で言うならば『パンツの穴』がぶっちぎりで大ヒットするようなもの?(それをいうならば『ポーキーズ』か?) でもこういうジャンル自体が近年成立してませんものね。日本でもなんとか単館公開はかないましたが、その温度差に複雑な心境だったのも事実です。さて実際にみてみると、まあこういうネタに関しては文化の違いをあまり感じませんでしたが、それほど大笑いできる話ではありませんでした。店員間の会話には笑わせてもらいました。必見ではありませんが、話のタネにはできる作品です。
 ちなみにDVDになっているのはUNRATEDの132分バージョン。うーん、そこまで長いのはなんかみる気がねぇ。

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2008年7月21日 (月)

『夕陽のギャングたち』

51d575hkr☆☆☆ コバーンの笑顔!
 私が敬愛するセルジオ・レオーネは生涯に7本の作品で監督としてクレジットされています。既存ソフト化されている物で未見は残り2本でした。ひとつが一応のデビュー作である『ロード島の要塞』、そしてもう1本がこの『夕陽のギャングたち』でした。
 もうオープニングからぐっと引き込まれます。ゆったりとしたテンポでありながら絶妙な間合いでみせるうまさ。それがかもしだすユーモア。ああ、こういう描写をする人は最近めったにいないですもんね。ジョエル・シルバーとか、ジェリー・ブラッカイマーに爪のあかを煎じて飲ませたい! 正直話を端折りすぎているところはあるのと、ロッド・スタイガーはもう一声な感じではあったのですが、何しろジェームズ・コバーンです。ニカッと笑うところで男ならぐっとくるはずです。
 すでに故人となっており新作がない状況ですと、まだ未見の作品をみるということは嬉しくもあり、残りの作品が少なくなると言う意味では寂しくもあります。この点はキューブリックも同じで、彼のフィルモグラフィで私の未見作品はあと『スパルタカス』のみ。レオーネもあと1本だけです。

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2008年7月20日 (日)

『ホット・ファズ』

Hotfuzz☆☆1/2 おふざけに使わないうまさ。
 ちょっと期待しすぎたかなあ。意外だったのがいたって真面目に作られていたこと。いわゆる刑事物の世界をひっぱてきながら、それをおふざけに使わないところがエドガー・ライトのセンスのよさだと思います。ただ『ショーン・オブ・ザ・デッド』が奇跡のようにすばらしい作品だったので、それと比較すると私は前作の方が好きです。
(チネチッタ・チネ10にて)

 別件ですが最初渋谷でみようと思ったら入り口にSR上映の表示が。なんだよと思って川崎でみましたが、あまりにも音が悪かったので確認したところ、ここもSR上映でした。ひょっとしてSRDのプリント、作ってないのか? 私が作品に入り込めなかった理由はここにあるかもしれません。事情をご存じの方、教えてください。

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『イースタン・プロミス』

Eastern☆☆1/2 ヴィゴの存在感が圧倒的すぎ。
 クローネンバーグの新作は、そのまま東映やくざか香港ノワールかといった世界ですが、相変わらずひねりが効いています。時に西部劇の流れ者のような感じさえします。しかしクローネンバーグが描く闇は漆黒で、ここに爽快感はないのはご想像の通りです。とにかくヴィゴの存在感が圧倒的で、クローネンバーグ色というよりは、ヴィゴ・モーテンセン色に染まった感じがします。ここは評価が分かれるところで、前作『ヒストリー・オブ・バイオレンス』が物語をミニマムにすることで普遍性を獲得したのに対し、今回はヴィゴ演じる主人公が背負うものがもうひとつみえてこないので悲劇性が生み出されてこないのが残念です。これは前述のとおり、ヴィゴの存在が大きくなりすぎてしまい、他のキャラクターとつりあいがとれなかったことが要因です。アーミン・ミューラー・スタールとヴァンサン・カッセルが素晴らしかっただけに、もしここに『戦慄の絆』のような世界観が加わったら、恐ろしい傑作になったのではと思います。
(シャンテシネ1にて)

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『崖の上のポニョ』

Ponyo_2☆ 唖然。
 まず結論から。この作品は中途半端な出来です。大人がみるには退屈すぎるし、子どもがみるには物語がつまらない。その上、宮崎駿の開き直りに唖然とさせられます。
 なぜ彼の作品が大人になった今でも我々を魅了するのか、それは子どもだましの世界に妥協しないクオリティがあったからです。宮崎作品の特徴は波瀾万丈の物語、動きのおもしろさ、そして魅力的な登場人物たちでした。長編作品の頂点は『もののけ姫』でしょうし(個人的には『天空の城ラピュタ』が好きです。)、TV作品では『未来少年コナン』でしょう。ドラマもアクションもラブロマンスもあった。まさにアニメーションの魅力に満ちあふれていたのです。ところがこの作品はそういった作品作りを拒否しているかのようです。そう、目指しているのは『となりのトトロ』のような世界なのに『ハウル』のあたりで垣間見えた部分を、私たちにもっとはっきり宣言しています。そう、私は君たちのお手本たり得る「親」にはならないと。そして私はもう君たちが勝手にイメージする「宮崎駿」でいたくないと。
 考えれば考えるほど不思議なことだらけです。この作品を子どもたちのためにと監督は言っています。しかしここに出てくる大人は主人公宗介に対してきわめて無責任な行動をとります。親を名前で呼ぶ子ども。大嵐なのに家に子どもを残していってしまう母親。そもそも子ども2人だけで船でさまよっているのになぜ島の人は助けてあげない? 久しぶりに男の子が主人公にもかかわらず(彼のフィルモグラフィでは『ラピュタ』『もののけ姫』のみ)、とても子どもとは思えない人物描写の説得力のなさにも驚きました。あんな5才はいないし、5才に背負わせるには運命が過酷すぎ。いかに自分がクリエイターとして懸命に努力してもできることには限界があることを呪うかのように、わかる人だけついてきてくれというレベルの描写不足。そしてあのエンドクレジットの手抜き。あれは手抜きです。スタッフが一番うれしいのは自分の足跡がどれだけ小さくてもロールにのることです。あんな形で納得するスタッフがどのくらいいるのでしょう? 
 私が初めて映画館でみたアニメは(たぶんですが)、東映まんがまつりの『にんぎょ姫』でした。あの物語が持っている寓話性とその悲劇は子ども心に印象に残りました。ゆえにディズニーが『リトル・マーメイド』でハッピーエンドにしてしまったときには怒り狂いました。かつて私が宮崎駿の新境地を期待した部分がありましたが、悪い意味で裏切られました。少なくともこの作品で宮崎駿が何を残したかったのか、それとも残そうとしたけれどできなかったのか? そして何を子どもに残したのか。その方向性を知るのにまだ少し時間は必要ですが、宮崎駿の魔法はすでにとけてしまったのかもしれません。
(シネプレックス10幕張9にて)

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スター・ウォーズ セレブレーション・イン・ジャパン

 今年は『スター・ウォーズ』日本公開30周年。というわけで海外で開催されてきたセレブレーションが、日本でも開催されることになりました。
Swc00 正直迷いました。私自身こういったファンフェスタはあまり楽しいと思えないタイプの人間ですし、SWへの気持ちという部分でも、この作品は好きだけど以前ほどではなくなりました。でもやはり気になるのも事実。ここはまあ1日ぐらいは顔を出せねばといった感じ幕張メッセへ足を運びました。
 購入したチケットはベイダープレミアム。金額は倍近く違うのでかなり迷いましたが、でもこれは正解でした。びっくりするぐらいの人の数で、開場直後は一般券は長蛇の列。これがすんなり入場できたのは助かりました。ちなみにこの券の他のプレミアムはというと・・・。
○セレブレーション・ジャパン限定、スター・ウォーズ記念写真セット。
○サイン会への優先的入場。
これは言葉に偽りあり。マーク・ハミルとアンソニー・ダニエルズのみでしたね。
○セレブレーションストア内への優先的ご案内。
これは助かった!
○限定チケットストラップ。
○特別仕様の3Dエフェクト加工が施されたプレミアム限定パス。
ヨーダの方はイウォークの毛もついていたようで(笑)
Swc01 会場内も大混雑でしたが、すんごく盛り上がってる!とは感じませんでした。きっともう少し私も年齢が若ければ楽しかったかもしれませんが、やはりお金がないと楽しめないものも多かったですし、世の中の事情が少しみえてきて私自身も正直複雑な心境でした。「ああ、ルーカスフィルムから搾取されているぅ」と感じずにはいられなかったです(汗)。あと全体の規模はきいていた本家のものと比較するとかなり小さいのでしょう。ライブステージは時間の関係で見送りました。フォトステーションも楽しそうではあったけれど(スノースピーダーはトライしてみたかった!)。あっ、サイン会は私もミーハーで参加しました。ダース・モールことレイ・パーク氏にサインしてもらいました! これはうれしかったです。Swc02ちなみに関係者でお姿が拝めたのは、デビッド・プラウズ、ジェイク・ロイド、そしてテムエラ・モリソン! パンフレットは充実していました。物販ももっとあってもいい感じです。
 とりあえず私はもういいかな?という気がしました。去年のWOWOWハイビジョン連続放映の方がはるかに高揚していました。『クローン・ウォーズ』もあるんだけど、ちっとも盛り上がらないSWの夏です。
Swc03Swc04

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2008年7月19日 (土)

『告発のとき』

Vallyof☆☆☆ 父の苦悩とアメリカの苦悩のオーバーラップ。
 『クラッシュ』に続くポール・ハギスの監督第2作は、いかにもハギスらしい洞察力が感じられる力作になっていました。
 実際にあった出来事にヒントを得たという物語は確かに帰還兵の物語ではあるのですが、観客が視点を変えるとさまざまな見方ができる多層構造になっています。イラク後のアメリカの姿であり、子どもを失った親の物語でもあり、1人の兵士からみたアメリカ近現代史でもあります。正直帰還兵をめぐる物語としては紋切り型なところがありますが、親の視点から我が子が戦争に蝕まれていく姿をみつめる部分は痛ましい物がありました。そんな多層構造を可能にしたのが、トミー・リー・ジョーンズ演じる主人公の描写が抜群であることです。ちょっとしたエピソードに職業軍人としての様子が垣間みられるのですが、軍という組織を知ってるがゆえの親としての苦悩に、今のアメリカを反映させた手腕は見事です。またシャーリーズ・セロン演じる地元警察の刑事がまたとても興味深い登場人物となっており、彼女の存在がトミー・リー・ジョーンズとの鮮やかなコントラストとなっていることも見逃せません。
 しかし反面、凡百の群像劇とは一線を画す鮮やかなアンサンブル演技を『クラッシュ』で引き出した手腕は今回は感じられませんでした。たとえばスーザン・サランドン演じる妻との関係は短い出番ながらも印象的なのに、物語としては浮いた感じがします。それは小さな役に意外な実力派をそろえた部分がいかされていない点にも通じます。
 『クラッシュ』のような映画的カタルシスはなく、むしろアトム・エゴイヤンの『スイート・ヒアアフター』のようなもやもやした感覚が見終えた後に残ります。
(TOHOシネマズららぽーと横浜9にて)

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TOHOシネマズららぽーと横浜(6)

スクリーン6(席205 見*** 音*** 環***1/2)
横浜内では中規模クラス。座席数の割にはスクリーンを大きく感じられる作りで、とてもみやすい。音の定位は水準レベル。

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2008年7月18日 (金)

映画芸術ベストテン

今頃気がついた掲載わすれ(いくつかあるんですよ)。一応このブログは自分の備忘録をかねているのでタイミング外してますがお許しを。

映画芸術
ベストテン
1 サッドヴァケイション(青山真治監督)
2 それでもボクはやってない(周防正行監督)
3 天然コケッコー(山下敦弘監督)
4 魂萌え!(阪本順治監督)
5 松ヶ根乱射事件(山下敦弘監督)
6 叫 さけび(黒沢清監督)
7 しゃべれども しゃべれども(平山秀幸監督)
8 サイドカーに犬(根岸吉太郎監督)
9 国道20号線(富田克也監督)
10 ジャーマン+雨(横浜聡子監督)

ワーストテン
1 大日本人(松本人志監督)
2 俺は、君のためにこそ死ににいく(新城卓監督)
3 監督・ばんざい!(北野武監督)
4 恋空(今井夏木監督)
5 さくらん(蜷川実花監督)
6 オリヲン坐からの招待状(三枝健起監督)
7 スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ(三池崇史監督)
8 遠くの空に消えた(行定勲監督)
8 どろろ DORORO(塩田明彦監督)
10 蒼き狼~地果て海尽きるまで~(澤井信一郎監督)

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2008年7月17日 (木)

AFI's 10 TOP 10: Courtroom Drama

「AFI's 100 Yaers...100 Movies」。残り2つ。続いては法廷物。またまたこれで独立させるかあという感じ。『クレイマー・クレイマー』の内容をそんな解説するやつがいたら笑われますよね。

1:『アラバマ物語』TO KILL A MOCKINGBIRD
   未見
2:『十二人の怒れる男』12 ANGRY MEN
   ☆☆☆☆
3:『クレイマー・クレイマー』KRAMER VS KRAMER
   ☆☆☆1/2
4:『評決』VERDICT, THE
   ☆☆☆
5:『ア・フュー・グッド・メン』FEW GOOD MEN, A
   ☆☆1/2
6:『情婦』WITNESS FOR THE PROSECUTION
   ☆☆☆1/2
7:『或る殺人』ANATOMY OF A MURDER
   未見
8:『冷血』IN COLD BLOOD
   未見
9:"CRY IN THE DARK, A"
   未見
10:『ニュールンベルグ裁判』JUDGMENT AT NUREMBERG
   未見

あれ? 9位って未公開でしたっけ。ビデオは出ていたような気がするのに。
入れるべき作品:いや、あるにはあるのですが、このジャンルでとりあげることが反対!

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2008年7月16日 (水)

第33回八王子駅前寄席会場

 先週の横浜にぎわい座に続き、いてもたってもいられず三遊亭遊雀師匠の高座に行っちゃいました。本当は行くつもりがなかったのですが、この木戸銭で2席楽しめるならと、足を運んでしまいました。も思ったよりこぢんまりとしたところで見えやすく音響もよい感じでした。
 前座が女性の三遊亭歌る美さん。歌る太師匠のお弟子さんということでした。正直まだまだ、なのは事実ですが(いやあ、我ながら年をとりましたねぇ。自分より年下の前座さんの落語をハラハラドキドキしながら見守る気分になろうとはねぇ)、こういう様子をみていると(あんまりこういう表現はいやですが)女流落語家の門戸が広がっているのかなと思いました。本日のもうひと方は九月に真打ち昇進が決まっている古今亭志ん太さん(志ん丸師匠になるそうです)。「たがや」と「きゃいのう」でした。「きゃいのう」の床山の親父さんのハマリ方をみているとまだまだ伸びしろ充分。先が楽しみな人です。
 で、遊雀師匠今回はホール寄席と言うことで一席目が「堪忍袋」、二席目が「ちりとてちん」でした。先日も楽しませてもらった「堪忍袋」、ついこの間きいたばかりだというのに、またまた大笑いです。まくらでムック本「落語への招待2」の撮影のことをとりあげ、そのあと「ちりとてちん」。師匠の仕草と表情をたっぷりと味わい、こちらも大笑いさせていただきました。遊雀師匠、いつも本当に楽しい時間をありがとうございます。遊雀師匠のいる幸福をかみしめる今日この頃です。

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2008年7月15日 (火)

『スモーキン・エース』

Smokinac☆☆1/2 味はあるが作品の魅力に欠ける。
 『NARC』のジョー・カーナハンの3作目は、一筋縄ではいかない面白さがあるものの、正直何がしたかったのかがもうひとつみえてこない作品でした。
 センスはかいましょう。少なくとも金太郎飴になってしまうガイ・リッチーよりはずっと才気を感じさせますし、タランティーノよりは大人の苦味を持った作風です。しかしこの作品はあまりにも混乱している。しかもそれが作品の魅力につながっていない。スタイリッシュにする必要はないけれど、でもコミカルすれすれのシリアスさがうまく出ていただけに、この混乱が最後のシーンに効いてこないのです。
 役者陣はみな魅力的で、小さな役どころにもおもしろい個性のある俳優さんが並んでいます。それをみるだけでも楽しくて、中でもレイ・リオッタとトミー・フラナガンがいい味を出しています。
 何度もみたいと思わせる作品にはなりませんでしたが、この監督の次の作品は気になります。

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2008年7月14日 (月)

『サンキュー・スモーキング』

706233118☆☆☆1/2 現在を生きることをうまく浮かび上がらせる良品。
 ジェイソン・ライトマン(親父がアイバン・ライトマン)の長編デビュー作は見事にブラッシュアップされた知性的な仕上がりとなりました。
 何が見事かといえばこの作品自身が一種の開き直りからくる立ち位置をうまくキープできたこと。喫煙にも禁煙にもなびかず、親子の問題にしても教訓がましいことはなく、そして主人公の立ち位置も全面的に共感できるキャラクターにしなかったこと。このあたりは上映時間からも察するに、かなりの要素をそぎ落としたのではと感じました。しかしそこから浮かび上がるのは現代を生きることとはどういうことなのかという哲学的な問いなのです。誰の手のひらの上からも逃れることはできないものの、生きるためには清濁呑みこむ必要がある。その中ではささやかながら自分の責任で生きていきたいという部分をうまく描いています。反面当然それ自身ゆえのジレンマに陥っている部分もあり、特に彼の仕事はいてもいなくてもどっちでもよい仕事であるという部分が抜けました(現代だから成立するという皮肉ですよね)。何しろ主人公が結果的には一切責任をとっていないわけで、この点は残念に思います。細かなディテールもきちんと描き込むことで小さなくすぐりも効果的。アーロン・エッカートに初めて関心。正直どうしようもない大根だなあと思った(中でも『プレッジ』『エリン・ブロコビッチ』)と思ってたのですが、この作品はそれが好作用したかもしれません。
 いかにもアメリカ的なこの題材。しかしながら難しさはまったくなくエンターテイメントとしてきちっと成立しています。そのあたりも評価したい良品です。

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2008年7月13日 (日)

イチオシ! 三遊亭遊雀師匠

 12日に横浜にぎわい座に出かけました。この日は小学生以上を対象にした子ども寄席ということだったので、上の娘をつれて出かけた次第。まあ、落語が4つと色物2つで、娘も楽しめたようです。一番楽しかったのが色物の江戸独楽というのはご愛嬌ですが(汗)。
 私も実はお楽しみがあったのです。それは落語の中に一番お気に入りの人が入っていたから。

三遊亭遊雀師匠と言います。

 私は子どもの頃に落語をラジオで楽しんでいました。それからホール落語(主に公開録音が多かった)で昭和の名人を生で楽しめたのは一生の宝物です。小さん、米丸、歌丸、円楽…。本当に幸せでした。この春、浅草を散歩しているときに、本当に十何年ぶりに寄席に足を運びました。そこではじめて遊雀師匠をききました。すっかり落語には疎くなってしまい名前もまったく知りませんでした。しかし正直他のはピンとこなかったけど、この人はズバ抜けておもしろかった! うまいし、粋だし、客いじるにも嫌みがない。ほぼ自分と同世代の落語家でひっさびさに惚れ込んだ!って感じでした。いろいろサイト調べたら、やっぱり実力は本物でしたね。しかも権太楼師匠のところを破門になって、小遊三門下になって再出発というのが、またいいじゃないですか!(冷静になればあんまりよくないけれど) それだけ嘱望されている人なのです。
 今回は「絶品!」とウワサになっていた「堪忍袋」でしたが、いやあ、本当におもしろかった! この夫婦げんかから始まる物語を親子でいっぱいの会場でかけるとは・・・(汗)。しかもこれが抜群におもしろい! ウワサにはきいていましたがもう夫婦げんかの様子には涙を流して大笑い。ああ、この人の面白さを伝えるボキャブラリーがない! もう生でみてもらうしかないです、この人は! 木戸銭を払う価値が充分にあるおすすめの落語家さんです。

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2008年7月12日 (土)

CD「残響」シガー・ロス

Cdsig05 ぬわんと! 前作"Hvarf/Heim"よりわずか1年というインターバルで登場したシガー・ロスの新作。実はこの間までそんなことになるとは予想だにせず、まったく知りませんでした。いくら前作が2枚組EPとしてのリリース(新曲ばかりではなかった)とはいえ彼らにとっては異例のスピードもさることながら、これがさらにビックリ続きで、まずプロデューサーがフラッド。そうあの我らがU2のアルバムでもおなじみのあのフラッドですよ。そしてフタを開けてみたらなんといきなりのアコースティックギター! とどめは英語詩の歌。それでいてこの世界はまぎれもないシガー・ロスの世界。さすがの人たちはさすがでした! この衝撃はU2の「アクトンベイビー」に近いかもしれません。U2はあのアルバムで確かに次の世界にステップアップしたのです。このアルバムはシガー・ロスにとってそんな位置づけになるのではないでしょうか。
 そして! 祝! 来日決定! 今回は関東圏は東京国際フォーラムA。でかい! でかすぎる! また名古屋まで遠征かなあ。

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2008年7月11日 (金)

『インディ・ジョーンズ クリスタル・スカルの王国』

Indy04☆☆ 続きを作る必要性なし。
 ルーカス=スピルバーグという豪華なコンビで送り出した三部作。前作からすでに19年が経過してのこの第4作目ははっきりいって期待はずれ、いやそもそもそれほど期待もしていなかったので、期待していないラインよりもさらに低い、ただの凡作でした。
 このシリーズの何が魅力的かといえば、まず息もつかせぬシークエンスの連続にありました。しかしこれはこのシリーズのワンアンドオンリーな個性ではなかった。ではそれは何だったかと考えるに人間臭いところではなかったかと感じるのです。ユーモアとグロテスクさが同居して、けれども男なら誰もがあこがれるような冒険のロマン(宝探しなんてやっちゃいけないけれどやらずにはいられない、みたいな感じですよね)がきちんとツボとしておさえてあるところが、このシリーズにはありました。そしてもうひとつ忘れてはならないのは、その世界観を誰もみたことがない映像でみせてくれたことにあったことです。『レイダース失われた聖櫃』のチャチャポヤン神殿、そして聖櫃がもたらしたパワー、『インディ・ジョーンズ魔宮の伝説』のトロッコチェイス、そして『インディジョーンズ最後の聖戦』の聖杯を前にした謎解き。だからどれだけ亜流作品がうまれてもインディのトリロジーは輝き続けました。
 そんな力が4作目にはありません。このシークエンスをもう一度見たいという場面すらない。正直クリスタスカルのことなんてどうでもいいやとしか思わせられない物語展開なのです。これはジョン・ハート演じるオックスリーの存在が謎解きの楽しさをぶちこわしているといえます。おかげでカレン・アレンも、シャイア・ラブーフも、そして存在感はピカイチのケイト・ブランシェットすら無駄に使われた印象でした。とどめはハリソン・フォードが頼りない。よぼよぼです。もうこういうアクションに似合う俳優ではありません。主要スタッフのうち、続投はジョン・ウィリアムズだけ。やはり撮影監督が替わったのは大きかった(ダグラス・スローカムは『最後の聖戦』がキャリア最後の作品、すでに現在90歳を超えているはず)。もうヤヌス・カミンスキーと組むのはやめたらどうでしょう? 特に視覚効果満載の作品やアクションシークエンスが多い作品は彼には無理です)。
 そもそも19年もブランクがあって、それでも続きを作る必要性が感じられませんでした。私のような映画ファンは、あの『最後の聖戦』のエンディングで思いをめぐらすには充分なのです。スピルバーグが本当にとりたかったかどうかは知りませんが、とりあえず「スター・ウォーズ」とこれに関してはルーカスが過去の財産を食いつぶしている印象しかありません。とりあえずもういいです。
(TOHOシネマズ六本木ヒルズ7にて)

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TOHOシネマズ六本木ヒルズ7

スクリーン7(席644 見*** 音** 環** THX)
 国内最大級スクリーンサイズを誇る六本木最大キャパの劇場。なのだが、中に入って驚いたのがそのつくり。横長で奥行きがかなり短め。WMC海老名7はその部分をパワフルな音作りで鮮やかな音場にしていたが、ここはJBLの音が大ざっぱで軽い感じにしかなっていない印象。弦楽器とブラスがこれほどバランス悪くなっているのも昨今では珍しいのでは。さらにそのシートの薄さと大きさで妙に安っぽい。ここがフラッグシップシアターというのは、かなり問題あると思う。

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2008年7月10日 (木)

夏の興行レース本格化

 とにかく『花より男子ファイナル』の勢いがすごいようです。一度シネコンの上映体制をチェックしてみてください。ほとんどのところが最大キャパをインディから奪っています(TOHOシネマズでは六本木ヒルズだけインディ)。前売りの勢いも凄かったのですが(この前売りが売れないご時世に17万枚! ポストカードの特典が効いたそうで。こんなに売れるのはポケモンとこれぐらいか)、今年の興収ランクトップになる可能性がありますね。あとはポニョですが、これがどうなるでしょうか。私はかなり下にみているのですが(興収100億を少し切るぐらい)。

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2008年7月 9日 (水)

DVD: Jesus Christ Superstar

Dvjesus というわけで即購入。うーんこれが日本でDVDになっていないことが本当に不思議(歌曲の著作権の問題らしいのだが、ひょっとしてそれ、劇団四季がらみということか?)。画質音質は水準クラスだが、音声マスターの状態が悪いのが、いかにもシネテープのワウフラッターずれという音がするときがあるのは残念。こういうのはきちんとレストアしてもらいたい。
※今回よりDVDのビットレートを掲載しません。ご了承ください。

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2008年7月 8日 (火)

CD「美しき生命(VIVA LA VIDA)」コールドプレイ

Cdviva 「X&Y」から3年ぶりとなるニューアルバム。iTunesのCMで使われた"Viva La Vida"のインパクトが強烈だっただけに期待していたのですが、どうにもすっきりとしないできばえでした。実はこのバンドの最大の魅力はリズムセクション2人組(ガイ・ベリーマン&ウィル・チャンピオン)だと思うのですが、ギターバンドのような味付けの曲が多く、バンドの方向性がちょっと迷走している感じです。なんかオアシスと同じ道をたどっているような気が・・・。

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2008年7月 7日 (月)

『崖の上のポニョ』完成

 今夏興行的に最大の本命作はやはりこれでしょう。スタジオジブリの最新作なだけではないのです。宮崎駿の最新作です。もうこれだけで大騒ぎ・・・のはずなのですが、それが私の周囲をみまわしてもこの作品の知名度が今ひとつ。(『もののけ姫』はトレーラーを公開の1年前以上から流しましたもんね) ひょっとしてまた公開延期の騒ぎにでもなるのかなあと思いきや、無事完成し、プレス向けの試写もスタートしたようです。TVスポットも流れはじめ公式サイトも更新されました。上映時間は101分で、オフィシャルにはこの時間でアップしてありますが、一部118分説があります。いずれにせよ120分より短い作品は『紅の豚』以来ですね。さらにCGI処理を最小限にした(製作期間的には)小品。はたしてどうなることやら。

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2008年7月 6日 (日)

AFI's 10 TOP 10: Gangster

「AFI's 100 Yaers...100 Movies」。続いてはギャングスター(犯罪物?という訳でいいかなあ)部門。というかこういう部門が独立するのもなんだかねぇ。なのでかなりこれもジャンルわけ苦しそうです。『ブロンクス物語』『ボーイズン・ザ・フッド』、そして『お熱いのがお好き』って、ビリー・ワイルダーはジェームズ・キャグニー主演作と同じ土俵に立つ映画を作ろうとしてたのかなあ。

1:『ゴッドファーザー』GODFATHER, THE
   ☆☆☆
2:『グッドフェローズ』GOODFELLAS
   ☆☆☆
3:『ゴッドファーザー PARTⅡ』GODFATHER PART II, THE
   ☆☆☆
4:『白熱』WHITE HEAT
   未見
5:『俺たちに明日はない』BONNIE AND CLYDE
   未見
6:『暗黒街の顔役』SCARFACE: THE SHAME OF A NATION
   未見
7:『パルプ・フィクション』PULP FICTION
   ☆☆☆1/2
8:『民衆の敵』THE PUBLIC ENEMY
   未見
9:『犯罪王リコ』LITTLE CAESAR
   未見
10:『スカーフェイス』SCARFACE
   ☆☆

 まず異例なのがシリーズ物で『ゴッドファーザー』が2本入っていること。候補作リスト自体にもシリーズ物が複数入っているケースは少ないので、それがさらに両方選ばれる『ゴッドファーザー』は別格なのであり、パート3はないことになっているのもよーくわかります。まあそのおかげですっかりアル・パチーノ祭りになっていますね(出演作3本)。そしてパチーノがらみでいけばオリジナルとリメイク(といっては差し支えはありそうだが)の関係にある『暗黒街の顔役』と『スカーフェイス』が共に入っていること。『スカーフェイス』は名作扱いですねぇ。
入れるべき作品:『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』『ミラーズ・クロッシング』『フェイク』『ヒート』
外すべき作品:『スカーフェイス』

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2008年7月 5日 (土)

AFI's 10 TOP 10: Sci-Fi

「AFI's 100 Yaers...100 Movies」。続いてはSF部門。というかファンタジーとSFはどこで線を引いているのだろう?

1:『2001年宇宙の旅』2001: A SPACE ODYSSEY
   ☆☆☆☆
2:『スター・ウォーズ』STAR WARS: EPISODE IV - A NEW HOPE
   ☆☆☆☆
3:『E.T.』E.T. - THE EXTRA TERRESTRIAL
   ☆☆1/2
4:『時計じかけのオレンジ』A CLOCKWORK ORANGE, A
   ☆☆☆
5:『地球の静止する日』DAY THE EARTH STOOD STILL, THE
   ☆☆☆
6:『ブレードランナー』BLADE RUNNER
   ☆☆☆☆
7:『エイリアン』ALIEN
   ☆☆☆
8:『ターミネーター2』TERMINATOR 2: JUDGMENT DAY
   ☆☆☆1/2
9:『ボディ・スナッチャー/恐怖の街(1956)』INVASION OF THE BODY SNATCHERS
   未見
10:『バック・トゥ・ザ・フューチャー』BACK TO THE FUTURE
   ☆☆☆☆

おお、10本中9本みている。理由は比較的新しい作品が並んだからでしょうね。でも個人的に候補作のリストが一番ひどいのはこれ。『マッドマックス サンダードーム』『インデペンデンス・デイ』『メン・イン・ブラック』『エターナル・サンシャイン』・・・、うーん。
入れるべき作品:『未知との遭遇』
外すべき作品:『E.T.』

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2008年7月 4日 (金)

AFI's 10 TOP 10: Fantasy

「AFI's 100 Yaers...100 Movies」。続いてはファンタジー部門。またこれもジャンル分けとしてはかなりいい加減な気が。
 その前に質問があったのですが、このリストの選出はいつもAFが前もって対象作品リストを作っています。各ジャンル50本です。まずそこに入らないとだめです(それを知りたい人はAFIのページからダウンロードしてくださいな)。そもそもそこからして?が多いのはご愛嬌。でも私が下に書いているのは、ほとんどがそのリストにはあるにもかかわらず選ばれなかった作品ばかりです。

1:『オズの魔法使』WIZARD OF OZ, THE
   ☆☆
2:『ロード・オブ・ザ・リング』LORD OF THE RINGS: THE FELLOWSHIP OF THE RING, THE
   ☆☆☆1/2
3:『素晴らしき哉、人生!』IT'S A WONDERFUL LIFE
   未見
4:『キング・コング(1933)』KING KONG
   ☆☆
5:『三十四丁目の奇蹟(1947)』MIRACLE ON 34TH STREET
   未見
6:『フィールド・オブ・ドリームス』FIELD OF DREAMS
   ☆☆☆1/2
7:『ハーヴェイ』HARVEY
   未見
8:『恋はデジャ・ブ』GROUNDHOG DAY
   ☆☆
9:『バグダッドの盗賊(1924)』THIEF OF BAGDAD, THE
   未見
10:『ビッグ』BIG
   ☆☆1/2

入れるべき作品:『カイロの紫のバラ』『未来世紀ブラジル』『メリー・ポピンズ』
外すべき作品:『ビッグ』『恋はデジャ・ブ』
(だいたい『フィールド・オブ・ドリームス』はスポーツじゃないのか!)

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2008年7月 3日 (木)

AFI's 10 TOP 10: Sports

「AFI's 100 Yaers...100 Movies」。続いてはスポーツ部門。というかこのジャンル分けはいいのか?

1:『レイジング・ブル』RAGING BULL
   ☆☆1/2
2:『ロッキー』ROCKY
   ☆☆☆☆
3:『打撃王』THE PRIDE OF THE YANKEES, THE
   未見
4:『勝利への旅立ち』HOOSIERS
   ☆☆☆1/2
5:『さよならゲーム』BULL DURHAM
   ☆☆☆1/2
6:『ハスラー』HUSTLER, THE
   未見
7:『ボールズ・ボールズ』CADDYSHACK
   未見
8:『ヤング・ゼネレーション』BREAKING AWAY
   未見
9:『緑園の天使』NATIONAL VELVET
   未見
10:『ザ・エージェント』JERRY MAGUIRE
   ☆☆☆1/2

おお、これは何か納得できるランキング。スポーツ大国アメリカがこのジャンルに強いのは納得。というか『ボールズ・ボールズ』まで入れるか!って気がします。
入れるべき作品:『ナチュラル』『ミリオンダラー・ベイビー』『ハード・プレイ』『炎のランナー』
外すべき作品:特になし。(というか『ハスラー』がスポーツで入っていいのか、いやビリヤードにかつてはまった男としては競技性は否定しませんが。それと『ザ・エージェント』もスポーツもの?)

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2008年7月 2日 (水)

AFI's 10 TOP 10: Mystery

「AFI's 100 Yaers...100 Movies」。続いてはミステリー部門。

1:『めまい』VERTIGO
   未見
2:『チャイナタウン』CHINATOWN
   未見
3:『裏窓』REAR WINDOW
   ☆☆☆1/2
4:『ローラ殺人事件』LAURA
   未見
5:『第三の男』THE THIRD MAN
   ☆☆☆
6:『マルタの鷹』THE MALTESE FALCON, THE
   未見
7:『北北西に進路を取れ』NORTH BY NORTHWEST
   ☆☆☆☆
8:『ブルー・ベルベット』BLUE VELVET
   ☆☆☆1/2
9:『ダイヤルMを廻せ!』DIAL M FOR MURDER
   未見
10:『ユージュアル・サスペクツ』USUAL SUSPECTS, THE
   ☆☆☆1/2

なんかヒッチコックの個人部門にしてもいい気がするぐらいですね。
入れるべき作品:『L.A.コンフィデンシャル』
外すべき作品:特になし。(というか『第三の男』ってイギリス映画じゃないのでしょうか?)

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2008年7月 1日 (火)

AFI's 10 TOP 10: Western

「AFI's 100 Yaers...100 Movies」。続いては西部劇部門。

1:『捜索者』SEARCHERS, THE
   未見
2:『真昼の決闘』HIGH NOON
   未見
3:『シェーン』SHANE
   未見
4:『許されざる者』UNFORGIVEN
   ☆☆☆
5:『赤い河』RED RIVER
   未見
6:『ワイルド・バンチ』WILD BUNCH, THE
   ☆☆☆
7:『明日に向かって撃て』BUTCH CASSIDY AND THE SUNDANCE KID
   ☆☆☆
8:『ギャンブラー』MCCABE & MRS. MILLER
   未見
9:『駅馬車』STAGECOACH
   ☆☆☆
10:『キャット・バルー』CAT BALLOU
   未見

なんでこんなに西部劇未見なんだと思ったら、そうか、レオーネなんかイタリア映画ですもんね(汗)。というわけでこのジャンルはあまり語る権利がなさそうです。
入れるべき作品:『荒野の決闘』

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