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2008年6月 8日 (日)

『ハッスル&フロウ』

20080602231638☆☆☆1/2 1枚上手の懐の深さをみせつける人間ドラマ。
 すばらしい! これはきました。エミネム主演の『8マイル』とはまたひと味違う、いやもう1枚上手の懐の深さをみせつける秀作でした。
 まず登場人物の描き分けがうまい。主人公のDジェイもさることながら、言動でそのキャラクターが人生で何を背負ってきたかをにじみ出させている。ヒモに娼婦というアンダーグラウンドな世界の人々が出てくるのですが、無理な誇張もなく、かといって必要以上に感情過多になることもなく、何より誰もがきちんと物語の中でちゃんと役割を与えられていていきいきとしています。自分ではどうにもならないことが多すぎる世の中で、後悔しない生き方とは何か、誇り高く生きるとは何かを描いている作品です。テレンス・ハワードは『クラッシュ』でもうまいと思いましたが、ここでは全く違う人物像を鮮やかに演じています。吹き替えなしのラッパーのスキルも確かで、こういう役者がぽんぽん出てくるところに本当に層が厚いなあと思います。また脇を固める女優陣がみんな抜群で、個性的なだけでなくアンサンブルとしても見事な演技をみせています。
 私のように音楽の好みとしてはラップ系が苦手という人にも大丈夫。生き様というのをみせてもらえたことに感謝です。

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