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2008年6月30日 (月)

AFI's 10 TOP 10: Romantic comedy

「AFI's 100 Yaers...100 Movies」。続いてはロマンティックコメディ部門。
1:『街の灯』CITY LIGHTS
   ☆☆☆☆
2:『アニー・ホール』ANNIE HALL
   未見
3:『或る夜の出来事』IT HAPPENED ONE NIGHT
   未見
4:『ローマの休日』ROMAN HOLIDAY
   ☆☆☆
5:『フィラデルフィア物語』THE PHILADELPHIA STORY
   未見
6:『恋人たちの予感』WHEN HARRY MET SALLY...
   ☆☆1/2
7:『アダム氏とマダム』ADAM'S RIB
   未見
8:『月の輝く夜に』MOONSTRUCK
   ☆☆
9:『ハロルドとモード/少年は虹を渡る』HAROLD AND MAUDE
   未見
10:『めぐり逢えたら』SLEEPLESS IN SEATTLE
   ☆☆

入れるべき作品:『恋のゆくえ ファビュラス・ベイカー・ボーイズ』
外すべき作品:『めぐり逢えたら』

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2008年6月29日 (日)

BD『パフューム ある人殺しの物語』

Bdperfume WOWOWでのHD映像の印象がよく我慢しきれずに購入。 →review DVDと比較して暗部表現が段違いによくなり、またAACと比較すると弦楽器の響き方がドルビーデジタルで抜群によくなった。なにしろサイモン・ラトル指揮とベルリンフィルの音楽がウリでもある本作品。するとロスレスで楽しみたいと猛烈に思う今日この頃。本作が大好きなら買い直す価値は充分あり。映像特典は通常版と同じ。

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2008年6月28日 (土)

AFI's 10 TOP 10: Animation

毎年恒例AFI(アメリカ映画協会)主催の「AFI's 100 Yaers...100 Movies」
今年は10のジャンル別に10作品、合計100本なのですが、そもそも10にジャンルをしぼった時点でちょっと・・・なのですが、その上、今回のランキングはかなーり疑問です。というわけで今回は私の評価&不満点付きで10回にわけてお届けします。まずはアニメーション部門。

1:『白雪姫』SNOW WHITE AND THE SEVEN DWARFS
   ☆☆
2:『ピノキオ』PINOCCHIO
   未見
3:『バンビ』BAMBI
   未見
4:『ライオン・キング』LION KING, THE
   ☆☆1/2
5:『ファンタジア』FANTASIA
   ☆☆☆1/2
6:『トイ・ストーリー』TOY STORY
   ☆☆☆
7:『美女と野獣』BEAUTY AND THE BEAST
   ☆☆1/2
8:『シュレック』SHREK
   ☆☆1/2
9:『シンデレラ』CINDERELLA
   未見
10:『ファインディング・ニモ』FINDING NEMO
   ☆☆☆

もうディズニーとピクサーのオンパレードなのですが、まあ選出対象がアメリカ映画なので致し方ないかと。未見が3本。
入れるべき作品:『トイ・ストーリー2』
外すべき作品:『ライオン・キング』

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2008年6月27日 (金)

ダビング10が始動。けれども。

いよいよ7月からダビング10が始動します。
コピーワンスに悩まされたユーザーの一人としては、とりあえずホッとしているのですが釈然としないことも多数あります。中でもこの2つに関してはどうなのよということで。

社団法人日本映像ソフト協会(JVA)の見解
http://www.jva-net.or.jp/news/news_080617.pdf

 つまり「録画されると利益が減るから金を寄こせ」です。ちょっと待った、そもそも想定される利益がなぜ保証されるのでしょうか。むちゃくちゃな言い分です。知られているとおりアメリカには私的録画補償金はありません(録音補償金はあります)。というかコピー制限自体がそもそもありません。それなのになぜ日本はとられるのか。結局マーケットの保護なのかという話になります。
 それからなぜ当初予定より1ヶ月延期になったのかについて消えないウワサがあります。そもそも見切り発車したダビング10なのですからここですっきり解決なんてありえない。実はブルーレイ陣営側家電メーカーの1社だけ、準備不足で間に合わなかったという情報が複数のソースから漏れ伝わってきています。真偽はわかりませんが正直ありえない話ではないと思っています。その程度で動くのかよって感じです。
 このあたりは調べれば調べるほどユーザー無視の姿勢がみえてきて本当に不愉快な部分です。HDMIなんてついこの間まで珍しかったのが今ではそれがないとデジタル音声の転送ずら難しいことも出てきた。ダビング10&ブルーレイで買い換え需要の掘り起こし? そもそも地デジの必要性はどこにあるの? ちゃんとエンドユーザーに説明できないと、このサイクルの早さには誰もついてこなくなります。

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2008年6月26日 (木)

BD『オペラ座の怪人』

Bdopera 画質的な部分でどうなるか興味があり購入。→review さすがにこれはHD映像の威力十分でWOWOWオンエア版のさらに上をいく印象。ただ音はそれほど印象が変わらなかったのはもともとの素材がたいしたことがないからか。映像特典はすべて抜け落ちた。このあたりは何とかしてほしい。

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2008年6月25日 (水)

BD: Dirty Harry

Bddirty邦題『ダーティハリー』
 1作目以外はちっともおもしろくなかった私にとって国内WHVの単品販売なしの方針はぼったくり以外何者でもないのだが、アメリカ盤はもちろん単品販売があり、その上、日本語字幕が映像特典にまでついており、さらに山田康夫の吹き替えと「漕げ漕げ漕げよー」まで日本語吹き替えが(モノラルとはいえ)完璧に収録されており、その上、値段も手頃な$23.95。これでいったいどこに国内盤を買う理由があるのでしょう。で、また画質音質共にパーフェクトといってもよい仕上がりで、いかにも70年代のカラー作品でフィルムの質感まで見事に表現されていて緻密さは失わず。レストアされた音もDVD以上にブラッシュアップ。(私の耳が違うのかな? 本当に同じ素材かというぐらいに違いを感じたのですが) ケースもデジブック仕様ですが、これならコレクションしてもよいというブックレットも見事で、もう何も言うことはありません。みなさんいい仕事してます。映画好きならすぐに購入の一品!

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2008年6月24日 (火)

「真説ワールド・イズ・マイン」全5巻

Twim 深作欣二が映画化を考えていたと言われる新井秀樹のコミック。古本で2巻までは読んでいておもしろそうだなと思ってはいたのですがなかなか読めませんでした。それは続きをなかなか手に入れられなかったこと、それからこの新井秀樹という男の(一応)出世作といわれる「宮本から君へ」が自分にとっては前半最高、後半最悪な作品だったのでなかなかそそられなかったのですが、めでたく復刊(2年前だけれど)。そして試しに1巻購入したら翌日には最終巻まで購入したというのでわかってもらえるでしょうか。これほどの興奮は『沈黙の艦隊』以来かもしれません。
 好き嫌いはわかれると思います。しかし現代日本を考える上では絶対に避けては通れない、そして一歩間違うとパンドラの箱になりかねない作品です。3巻のヒグマドン大暴れのシークエンスには興奮しました。全巻を通じてトシ&モンが繰り広げる殺人行脚には戦慄を覚え、それをとりまく社会状況にはまるで予言者の言葉を聞いているような感覚にさえなります。もちろんこれはフィクションであり、それ以上でも以下でもありません。しかしコミックがここまできたことに衝撃をうけました。そして今の映画がここまでの意志を持っているかどうかは大変疑わしいのが現状です。

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2008年6月23日 (月)

シネフェックス日本語版2008春号

Cf008『ライラの冒険』『アイ・アム・レジェンド』『ベオウルフ』『バイオハザードIII』。特に『アイ・アム・レジェンド』の項は興味深く読んだ。あの圧倒的なルックを短期間で仕上げてしまったことに心から敬意を表したい。
しかーし今回の翻訳もひどかった。
「アナモルフィックは実に見事な映画撮影ツールです。」
要はスコープサイズで撮影するレンズのことですよね。映画がほぼ全編アナモフィックレンズの手持ちカメラで撮影されたと書いてあるので、スーパー35ではなくこのレンズでの撮影だとマッチムーブが大変だということ。
「イメージワークスとゼメキスは、シーンに対する監督のレイアウトの制作に着手した」
????? ここまでくると日本語としておかしい。うーん、わかっているのかな。

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2008年6月22日 (日)

訃報:シドニー・ポラック

 米映画監督で俳優としても活躍したシドニー・ポラック氏が5/26にがんのため、カリフォルニア州パシフィック・パリセーズの自宅死去しました。享年73歳でした。
 1934年、インディアナ州ラファイエットでロシア系移民の家庭に生まれ、高校卒業後に、俳優を志しニューヨークへ。俳優養成学校ネイバーフッド・プレイハウスで2年間学び。その後、同校で教べんもとります。(教え子のなかにはロバート・デュヴァルらがいたそうです)50年代にブロードウェーの舞台に立った後、監督業に進出。66年の『いのちの紐』で映画監督デビュー。『愛と哀しみの果て』(1985)でアカデミー監督賞を獲得しました。代表作は数多くあり『ひとりぼっちの青春』(1969)、『追憶』(1973)、『コンドル』(1975)『トッツィー』(1982)、『ザ・ファーム 法律事務所』(1993)など。またキューブリックの遺作『アイズ・ワイド・シャット』や『チェンジング・レーン』などではプロ顔負けの存在感を俳優としてしめしていました。またプロデューザーとしても作品を残しており最近では『フィクサー』『アイリス』あたりはポラックのおかげで製作できたと言われていました。監督作の遺作は『スケッチ・オブ・フランク・ゲーリー』(2006)、出演作は日本でも今夏公開予定の『近距離恋愛』になります。
 個人的にはやはり『トッツィー』でしょうか。正直それ以降の監督作は凡作ばかりで、私の中ではあまり好きな作品はありません。しかし実は彼の初期作は『追憶』以外みておらず、『コンドル』などは気になる1本です。また『ザ・ヤクザ』のような珍品も未見です。追悼放映などがあるといいと思うのですが・・・。
 ご冥福をお祈りします。

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2008年6月21日 (土)

サントラ2枚

 ここしばらく購入しようという意欲が起きるサントラが少なめだったのですが、即決して買ったのがこの2作。
Ostwargaジョン・バダム監督のヒット作『ウォー・ゲーム』。『ブルー・サンダー』と並ぶアーサー・ルービンスタインの会心のスコアです。いやDVDの音も悪くはないんだけれど、これを我が家のシステムでならした時はちと感激ものでした。



Ostpbreaもう片方はキャスリン・ビグロー監督『ハート・ブルー』(本当に続編ができるのか??)。公開時に出ていたのはコンピレーションで、マーク・アイシャムのスコアは初音源化。これまたアイシャムのサウンドが絶品で、個人的には『ネバー・クライ・ウルフ』と同じくらいに気に入っています。

両作とも新生『すみや渋谷店』で購入。ネット通販再開してますのでぜひ。

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2008年6月20日 (金)

『ロッキー・ホラー・ショー』

51tgvlj0☆1/2 今はこれがフツー?
 もはや説明不要なぐらいのカルトムービーを今更ながらでみました。正直出し遅れた証文状態。おもしろくありませんでした。たぶんこの作品は映画館でみんなで突っ込みを入れながらみるタイプなのですね。そしてまた実はかつてのプログラムピクチャへのオマージュでもあるわけですが(そもそもが『フランケンシュタイン』だし、トランシルバニアは『ドラキュラ』のふるさと、フェイ・レイとかRKOとか、はたまたそのラジオタワーに登るなんて『キング・コング』だし。)、展開があまりにもゆるすぎな上、いかんせん楽曲がツボにこない。ここはミュージカルとしては致命的です。ティム・カリーには大笑い。でもこのぐらいの濃さはもはや珍しくないですからねぇ。ほぼ下着姿のスーザン・サランドンは若気の至りかもしれませんが、でも出世作はこれだったりするんですよね。
 これからみる人は上映会でみましょう。毎年川崎で行われるハロウィンフェスティバルでは上映会が開かれています。でも俺はいいや(汗)。

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2008年6月19日 (木)

シネフェックス日本語版2007冬号

Cf007 メインは『トランスフォーマー』。なのだがどうもデザインに関する意図が全くわからないために正直「そんなに可動部分が多くて大変ならラクしちゃえばいいのに」と突っ込みいれたくなる。他は『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』『スターダスト』。また相変わらず翻訳がドラフトなので読んでいてイライラ。いや真面目にこんなレベルの日本語でこういうエンジニア畑の人は楽しく理解できているのでしょうか? なんか原語版をひっさしぶりにチェックしたくなりました。と思って向こうのサイトみてたら、なんとインタビューでホイト・イートマンの記事がある。そっちの方が私ははるかに興味があるのですが。というか本当にこの本、誰に読んでもらおうとしているのだろう?

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2008年6月18日 (水)

ER緊急救命室VII-15「告白」

51zd77s6ak 私は『ER緊急救命室』がずっと好きで今でもCATVでのオンエアを時々みています。私もこのドラマをみるようになってから日本のTVドラマなんてバカらしくてみてられないぐらいと感じるようになった次第。今『ラストフレンズ』がちょっとした話題ですが、あの程度のネタならアメリカのドラマでゴロゴロしてますよね。
 現在スーパードラマTVでは、シーズン7がオンエア中。そう、このシーズンはグリーンが脳腫瘍であることがわかり、カーターが薬物中毒から立ち直るのですが、もうひとつの大きなエピソードとして、コバッチュとジェームズ・クロムウェル演じる司教との話がありました。この回はそのエピソードの最終話でした。私はNHKでのオンエア当時に見逃していたエピソードがあって、この回も後半しかみていませんでした。CATVでみていたら待てなくなってレンタルしちゃいました(汗)。うん、悲しかったです。心にずしんと響く重さです。彼はずっとひきずって生きていくんだろうなと思うと、ますます深い悲しさを感じ、それゆえに司教の言葉がひとつひとつ心にしみました。いよいよあと数話でシーズン8。このシーズンはERファンにはずっと心から離れないエピソードが最後に待っています。
 本国ではいよいよシーズン15が最終になると先日アナウンスされました。はたしてどんなフィナーレを迎えるのか。とりあえず日本では今秋からシーズン13。ああ、まだ2年も先だあ。

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2008年6月17日 (火)

訃報:スタン・ウィンストン

 クリーチャーエフェクツの第一人者として活躍したスタン・ウィンストンが6/15、多発性骨髄腫のため米カリフォルニア州の自宅でなくなりました。享年62歳。
 米バージニア州出身。大学卒業後、俳優を志すが挫折し、ウォルトディズニーのスタジオでメーキャップを学びます。出世作は何といっても『ターミネーター』(1984)でしょう。フルスケールメカニカルやら特殊メイクやらを駆使したその技量はB級の枠を超えていました。『エイリアン2』や『ジュラシック・パーク』などで10回アカデミー賞にノミネートされ、うち4度受賞しています。時には『パンプキンヘッド』や『T2 3-D』などを監督もしていました。
 CG万能のように思われる昨今ですが、彼やリック・ベイカーはアナログとデジタルのいいとこどりを目指した貴重な存在でした。確かに『ジュラシック・パーク』のCGはすごかったのですが、実はウィンストンがデザインしたフィジカルエフェクツもすごいのです。作品が評価されていない『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク』も、前作と比べると技術的には格段の進歩でした。また同じくスピルバーグの『A.I.』も、あのフレッシュフェアのロボットたちは見事だったと思います。でもベストワークはやはり『プレデター』でしょう! 今となっては『パンプキンヘッド』もご愛敬ですね。
 ご冥福をお祈りします。

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2008年6月16日 (月)

『ジーザス・クライスト・スーパースター』

51rmz2ktq☆☆☆1/2 物語の核心を音楽とともに語ろうとしている。
 ブロードウェイのヒットメーカーとなった、ティム・ライスとアンドリュー・ロイド・ウェーバーの出世作で、舞台は劇団四季でも上演されている大ヒット作。ノーマン・ジュイソンが監督した映画版もまた歴史に名を残す名作となっています。
 キリスト最後の7日間を描いているのですが、題名にもある「スーパースター」という言葉が実に巧みなキーワードになっており、こんなにわかりやすいキリストの物語があったのかというぐらいわかりやすく描かれています。もちろん旧来のキリストの物語を知っていた方が楽しめるとは思いますが、それがなくてもまったく困らないどころか、素直に受け止められると思います。さらにこの作品はもともと舞台の映像化というよりは、もともとのコンセプトアルバムの映像化という表現が正しいらしいのですが、楽曲中心で映像を組み立てたらこんな作品になったというのが正しいのでしょう。ダグラス・スローカムの映像設計といい、とても個性的で、物語の核心を音楽とともに語ろうとするノーマン・ジュイソンの力量が光ります。また楽曲も粒ぞろいな上、パフォーマーも実力派揃い。中でもテッド・ニーリーとカール・アンダーソンの歌には圧倒されます。
 これほどのミュージカル作品にはなかなかお目にかかれません。それは音楽と映像とがどちらかに従属するのではなく、観客さえも無意識のうちにお互いを引き立てあっているのですから。しかし残念ながら日本では楽曲の権利の関係でまだDVDになっていません。(VHSではリリース済み。アメリカではDVDリリース済み) よしすぐに米国アマゾンに注文だ!

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2008年6月15日 (日)

秋葉原

 この週末、所用で秋葉原に足を運びました。献花台があり、マスコミと警察はうじゃうじゃ、逮捕されたあの場所もどこか通るのがはばかれるような。けれどもそんなことを知らなければ普通の週末のように混雑していました。私が秋葉原に足を運ぶようになってからもう30年近く。世の中の流れに合わせて確実に町は変貌しました。ネット通販で事が済むことも多くなり以前ほど足を運ぶ必要はなくなりました。私は用事を済ませ、じゃんがらラーメンを食べて、いつもの店をうろうろして、帰宅しました。
 この事件については被害者の方々のご冥福を祈るしかありませんが、もうひとつだけ言えるのは携帯電話嫌いの私にとって、あの現場でたくさんの人々が携帯端末のカメラを向け続けたことに対する嫌悪感です。野次馬は仕方がないです。人間は知ろうとする生き物だから。でもカメラで撮影するのは野次馬で片付けられる行為じゃありません。それは明確に一歩踏み込んでいる。河童のクゥちゃんだって映画で怒ってましたよね。何のためだったんだろう。そして何も抵抗感はなかったのでしょうか。もし何も考えずにとりあえずだったとしたらあまりにもひどいと思います。たとえ深刻な状況だとその時はわからなかったとしても、カメラを向けるべき相手について、そしてそのとった映像をどうするのかについて、何を意味しているのかを考えてほしかったです。 

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2008年6月14日 (土)

『ギャング・オブ・ニューヨーク』

20080602231642☆☆ この作品もテロの被害者か。
 うわあ、これはこまった。きっとスコセッシ渾身の1本になったはずなのです。しかし9.11のテロが影を落とします。私たちがみることのできるのは完成品。まずはそこからきちんとみていきましょう。
 描かれるのはスコセッシ得意の世界。『グッドフェローズ』『カジノ』のような血で血を洗うドラマに実は彼の得意なコスチューム物(『エイジ・オブ・イノセンス』)まで入って、私たちの世界が暴力の積み重ねによってできあがったことを語ります。リーアム・ニーソンvsダニエル・デイ・ルイスの戦いから幕を開けて、ディカプリオ演じる残された息子がルイスに接近するところまではわりといい感じで進みます。ダニエル・デイ・ルイスは本当に見事で、この複雑なキャラクターを怪演。しかしながらディカプリオにはまだ荷が重かったか、いくらなんでもそれはという卑小でござかしいキャラにしかみえません。本当は男の成長をみせて、やがてルイスを乗り越えて、けれども自らがルイスのようになってしまう(そうそう、『ゴッドファーザーPARTII』のように)というのが本筋だったような気がします。しかしほぼ撮影が終了した段階での大事件発生によりこの作品はまったく別物になった可能性があります。結果的に制作が1年近く中断し、暴力のあり方が問われる世論の中で、きっとスコセッシは相当悩んだのではないでしょうか。
 とにかくダニエル・デイ・ルイスを堪能しましょう。しかしそれ以外にはあまりみるところのない作品で、スコセッシらしさを期待すると落胆するでしょう。そういう意味でこの作品もテロの被害者なのかもしれません。

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2008年6月13日 (金)

あらでてたのねー

 ここしばらく「えっ、この人こんな作品に出てたの?」という驚きが連続しています。いや、本当に。

1:たまたまCATVで『超音速ヘリエアーウルフ』の「直撃弾命中!!CIA副官の奪回作戦」というエピソードをみてたら女の子の子役が出てきたのですが、それがどこかで見た顔。記憶でたどったら『ヘザース』のヘザー3人のどれかに似てる気がしたのです。気になってチェックしたらビンゴ! 同一人物でした。ちなみにその娘は後に「チャームド魔女三姉妹」でもおなじみシャナン・ドハティ。我ながらビックリしましたが、うれしくはなかったかも(汗)。

2:ダグラス・トランブル監督の不朽の名作『サイレント・ランニング』をみていたら、ブルース・ダーンを邪険に扱う3人のひとりが、なーんかみたことのある面構え。でも若いし髪はふさふさだし、確信が持てないけれど、この特徴のある鼻は絶対そうだとおもったら、やーっぱりビンゴ。『交渉人』や『L.A.コンフィデンシャル』、最近では『エイリアス』でもおなじみの脇役ロン・リフキンでした。ちょっとこれはうれしかった!

3:この間『陽のあたる教室』をみていたら、あれ? 大だいこのリズムが狂いがちなこの黒人学生! どっかでみた!というか最近みたぞ。そう、『ハッスル&フロウ』のテレンス・ハワードでした!  この作品はやくDVD化されるとよいのですが。

こういうのって実は映画ファンの醍醐味だったりします。私も映画をみはじめて、「あっこの作品の人、あれに出てた」とか、「この俳優さん、こういう役もするんだ」というのが出始めた頃に映画ファン度が加速した気がします。

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2008年6月12日 (木)

訃報:水野晴郎

 映画評論家の水野晴郎さんが6/10、都内の病院で肝不全で亡くなりました。享年76歳。通夜、告別式は密葬で営まれ、7月にお別れの会が開かれるそうです。ここしばらくケガや病気による入退院を繰り返していました。
 1931年岡山県で生まれ、1956年に20世紀フォックスに入社、日本ユナイト映画に移り宣伝総支配人として活躍していました。邦題にまつわるエピソードは多く、中でも『007』シリーズの第1作をわざと日本語としてはおかしい『007危機一発』とつけたのは有名な話です。他にも『史上最大の作戦』『ビートルズがやってくる ヤァ!ヤァ!ヤァ!』『夕陽のガンマン』は水野さんがユナイトの宣伝をしたいた頃のものです。「水曜ロードショー」(後の「金曜ロードショー」)での解説役で知られるようになりました。荻昌弘、淀川長治に続き、これで私が子どもの頃にTV放映の映画解説をしていた方は(俳優の高島忠夫をのぞくと)故人となってしまいました。
 でもこんなに亡くなったことが大々的に取り上げられるのはやはり『シベリア超特急』のおかげでしょうか。私は作品としてはまったく評価していませんし、笑うこともできず、好きでもないのですが、いろいろな意味で水野さんらしいのかもしれません。正直映画評論家としては「?」という点がありました。キネ旬の投票作品などをみると驚くことがありました。今となってはやはり往来のサービス精神がそうさせたのかなと思います。
 またいろいろな働きかけをした方で、旧作の初公開とリバイバルで大きな功績を残した配給会社IP(インターナショナル・プロモーション)、日本アカデミー賞、日本映画批評家大賞なども水野さんが関わっています。
 かつて中学生の時、とあるイベントでゲストとしていらっしゃった水野さんにお会いしたことがありますが、本当ににこやかでおだやかな方でした。そして4人の弟妹さんの面倒をみているうちに自分は結婚の機会を逃したという話、警察官や山下将軍へのあこがれといった部分も、実はとても男らしい生き方をした人なのだと思っています。
 ご冥福をお祈りします。

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2008年6月11日 (水)

訃報:ロイ・シャイダー

そうそう、訃報も春先からたまってました。少しずつ整理します。

 俳優のロイ・シャイダーが2/10、米アーカンソー州のアーカンソー大学のメディカル・サイエンス病院で亡くなりました。享年75歳。2004年に多発性骨髄腫からくる血液細胞ガン骨髄移植を受けているが、直接の死因は発表されていません。
 1932年ニュージャージー州のオレンジ郡生まれ。60年代前半、オフ・ブロードウェイ“Stephen D” でオビー賞を獲得するなど活躍後、64年に“The Curse of the Living Corpse”で映画界入り。ジェーン・フォンダと共演した『コールガール』とアカデミー助演男優賞候補になった『フレンチ・コネクション』で注目された後、警察署長マーティン・ブロディを演じたスティーヴン・スピルバーグ監督の大ヒット作『ジョーズ』でスターになりました。他にも『マラソンマン』(1976)、『デス・ポイント/非情の罠』(1986)、『ロシア・ハウス』(1990)、『裸のランチ』(1991)、『対決』など。遺作は2008年米公開予定のジョシュア・ニュートン監督“Iron Cross”だそうです。
 うわあ、このブログを書いてきてここまで思い入れのある役者さんはいないかも・・・。もう好きな作品がごろごろ出てきます。世評的には悪いけど私は大好きなフリードキン版地獄の黙示録と言える『恐怖の報酬』(1977)。これも世評は悪いけど嫌いとはいえない魅力がある『2010年』(1984)。でもでもやはり私の中での代表作はどうしてもこの2本をあげたい。ブロードウェイの大演出家だったボブ・フォッシー監督の分身を演じてオスカーの主演男優賞にノミネートされた『オール・ザット・ジャズ』(1979)、新開発されたヘリコプターをめぐる陰謀を描いたジョン・バダム監督の傑作『ブルーサンダー』(1983)。いぶし銀の味がありながら、どこか粋な感じがした俳優さんでした。
 ご冥福をお祈りします。

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2008年6月10日 (火)

新宿東宝会館閉館

 世間的にはコマ劇場ということで大騒ぎになっているのでしょう。実は私も「そうかあ、それじゃあサブちゃんは大変だなあ」とか「テレ東の年末の歌番組はどうすんだ?」なんてのんきにかまえていたのですが、とあるブログを読んでいてびっくり。そうかあ、あそこってプラザも同じ建物か! そう、映画ファン的には新宿プラザがなくなる!という方が大ショックでした。

VarietyJapan記事
 
 これで首都圏の座席数1000席オーバーはとうとう新宿ミラノ1だけになります。そう、東宝洋画系ではゼロ!。はぁ、時代の波ですかね。私が8年前にサイトをオープンしたときに執筆したこの記事も読み返すと悲しいばかりです。いよいよ歌舞伎町の映画館街も再編が本格化することになりそうです。ただしシネコンの地盤沈下がささやかれはじめた中で、はたしてどういう形で動き始めるのか、予断は許さないところでしょうか。

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2008年6月 9日 (月)

『麦の穂をゆらす風』

20080602231645☆☆☆ 真っ正面に向き合う勇気、厳しさゆえのもったいなさ。
 ケン・ローチの作品を作品をみるのは実はこれが初めてでした。なるほど、この力強い真っ直ぐさは魅力です。しかしそれは諸刃の剣でもあるのも事実だと思いました。
 アイルランド独立史を背景にした物語は庶民レベルまで視点を下げたことで、歴史上のひとこまと切り捨てることのできない普遍性を獲得しています。特にキリアン・マーフィ演じる主人公を医者にしたのが大正解で、彼がなぜ自らの生き方とは全く世界の違う世界に身を投じたのかを前半はじっくりと描き、強い説得力をもって観客に迫ります。しかしこれが後半になって何が正解なのかわからない混沌がうまれてくると、彼らが持つ「純粋さ」が併せ持つ残酷さ、ひいてはそれゆえに招いてしまった悲劇に置いてきぼりをくらってしまったような感覚が残ります。私が一番辛かったのはやはり主人公の兄の姿でした。しかしこの物語はそのドキュメントタッチゆえか、それとも語り方の厳しさゆえか、そんな単純な感傷を許さない空気がある。これがケン・ローチの意図だったかどうかはわかりませんが、しかしあえて異論を述べるならば庶民の物語としたことで、あの兄弟を呑みこんだ悲劇をもっと悲しみとして観客側に受け止めさせる余裕はほしかった。できれば狂言回し的な存在がいてその人間を語り部として置いた方が、この物語に映画としての奥行きと個性を与えた気がします。しかしながらこういう作品を逃げずに作るその姿勢は素晴らしいし、その点だけでもこの映画はみる価値があります。キリアン・マーフィはすでに若手演技派としての評価を得ていますが、ここではまた実直で人間的優しさにあふれた青年を好演。本当に将来が楽しみな俳優です。
 デートムービーにはなりませんし、お涙ちょうだいな感傷はここにはありません。でも歴史に真っ正面から向き合った勇気ある作品で、真面目そうという理由でパスするにはもったいない力作です。

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2008年6月 8日 (日)

『ハッスル&フロウ』

20080602231638☆☆☆1/2 1枚上手の懐の深さをみせつける人間ドラマ。
 すばらしい! これはきました。エミネム主演の『8マイル』とはまたひと味違う、いやもう1枚上手の懐の深さをみせつける秀作でした。
 まず登場人物の描き分けがうまい。主人公のDジェイもさることながら、言動でそのキャラクターが人生で何を背負ってきたかをにじみ出させている。ヒモに娼婦というアンダーグラウンドな世界の人々が出てくるのですが、無理な誇張もなく、かといって必要以上に感情過多になることもなく、何より誰もがきちんと物語の中でちゃんと役割を与えられていていきいきとしています。自分ではどうにもならないことが多すぎる世の中で、後悔しない生き方とは何か、誇り高く生きるとは何かを描いている作品です。テレンス・ハワードは『クラッシュ』でもうまいと思いましたが、ここでは全く違う人物像を鮮やかに演じています。吹き替えなしのラッパーのスキルも確かで、こういう役者がぽんぽん出てくるところに本当に層が厚いなあと思います。また脇を固める女優陣がみんな抜群で、個性的なだけでなくアンサンブルとしても見事な演技をみせています。
 私のように音楽の好みとしてはラップ系が苦手という人にも大丈夫。生き様というのをみせてもらえたことに感謝です。

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2008年6月 7日 (土)

ガイ・リッチーの新作(といっても)

 『スナッチ』などでおなじみの、というか最近はマドンナの夫としての出番が多いガイ・リッチーに新作『リボルバー』の日本公開が始まりましたが、そっちよりも注目はこっち。同じガイ・リッチーの新作、といいてもTVCMです。そう、ちまたのサッカーファンを大興奮させているナイキの新CM。これはすごいです。サッカー選手の主観視点で構成されるこの作品。アーセナルを舞台にしているのでベンゲル監督も出てきますが、他にもクリスチアーノ・ロナウドやロナウジーニョ、マテラッツィも出てきます。理屈抜きに見ている者を高揚させる見事な作品です。ナイキのサイトではオンエアバージョンが、YouTubeではロングバージョンなども視聴できます。

ナイキのサイト
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YouTubeのもの

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2008年6月 6日 (金)

『ロスト・イン・トランスレーション』

Lostintran☆ 雰囲気で勝負するなら観客に媚びるな。
 ものすごく褒める人と、ものすごくけなす人にわかれているこの作品。なるほど、みて納得。でも断っておくとそんなに語るべきレベルの作品ではありません。たとえば『ダンサー・イン・ザ・ダーク』のように観客を挑発する作品なのであれば批評の存在意義があります。この作品はそうじゃないのです。
 大きなテーマになっているコミュニケーションの喪失という意味でいくのならばスカーレット・ヨハンソン演じる女性の視点だけでよかった。ここにビル・マーレイ演じる映画スターが加わることで、観客に媚びた視点を隠し持ついやらしさが出てきました。つまりこういうことを主人公が感じるのは不思議じゃないでしょと観客に思わせる部分。監督ソフィア・コッポラの実体験に基づいたといわれる東京での物語は、本来はもっとプライベートフィルムのような仕上がりになるべきでした。しかしこれはベクトルとしては真逆に進んでしまった。映画というよりは写真集に近い。もっというならばプロモーションスチルに近い。美しい場面やちょっと切なくなる場面もあり、画の見栄えはすごくする(これは撮影が美しいということではありません)。けれども空虚で中身がない。その上、ところどころに感じる観客に媚びたいやらしさ。このあたりのテイストはよくも悪くも市川準に似ています。この監督の作品はあたりはずれが激しいのですが、これはハズレの時の市川準です。あと他に思い出したのはバブル絶頂期に制作された椎名桜子の『家族輪舞曲』でした。これは失礼すぎるかな。
 ドラマとしても平板。雰囲気だけで勝負と思いきや、そこまでのストイックさもなし。この程度であるならば、知人からのポストカードに思いをはせるだけで充分でしょう。

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2008年6月 5日 (木)

『パラサイト』

Fa0966☆1/2 まあ、どうでもよい。
 正直どうでもよかった作品なのですが、WOWOWでオンエアされていたので何となく。まあその程度の作品でした。今となってはエフェクツにも新味はなく、印象に残るのは脇役陣(公開時は若手キャストばかりに注目がいっていますが、絶対にそうじゃないでしょ。だってロバート・パトリックにファムケ・ヤンセンに、パイパー・ローリーでっせ)おもしろいのはボディスナッチに学園での孤独感をだぶらせたところですが、所詮その程度の悩みで終わってしまうので今ひとつで終わってしまうのがもったいないです。しかしひどい邦題だ・・・。

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2008年6月 4日 (水)

Newsweek誌のGW号

Nw08gwNewsweek誌のゴールデンウィーク合併号、買いました。レビュー担当のデービッド・アンセンのコラムもおもしろかったのですがで、興味深かったのがリアルタイムで雑誌に掲載されたレビューをピックアップした「作品よりおもしろい名評・珍評130」。時は偉大な作家だというチャップリンの「ライムライト」の台詞をかりるまでもなく、当時は絶賛されても忘れ去られるもの、逆に公開後に時間を経てから評価があがるものもあります。ですから批評眼が正しかったかも見え隠れします。ちなみに個人的に公開当時よく褒めたなあと感じたのは
『サボテン・ブラザース』
『敵、ある愛の物語』(そうだろそうだろ!)
『ジェイコブス・ラダー』
『ウェイクアップ!ネッド』
このあたりは先見の明ありですな。

片や公開時にthumbs downで批評したもので掲載されたのは以下の作品。
『2001年宇宙の旅』
『ガン・ホー』
『トップ・ガン』
『ワイルド・アット・ハート』
『虚栄のかがり火』
『心の旅』
『幸福の条件』
『めぐり逢えたら』
『危険な遊び』
『シティ・スリッカーズ2』
『9ヶ月』
『スカーレット・レター』
『セブン』
『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク』
『セブン・イヤーズ・イン・チベット』
『M:I-2』
『パーフェクト・ストーム』
『ブレアウィッチ2』
『ハンニバル』
『ザ・メキシカン』
『パールハーバー』
『トゥームレイダー』
『ハリー・ポッターと賢者の石』
『ハリウッド的殺人事件』
『アレキサンダー』
『ジャーヘッド』
『Vフォーヴェンデッタ』
『ダ・ヴィンチ・コード』
『アポカリプト』
『バベル』
でも批評は読み物でもあり、けなし方までも娯楽にするのがショービジネスの世界だと思います。少なくとも日本のマスコミの提灯記事よりはずっと健全です。

この企画、いつか自分でもやってみたいです。何本かあるんです。「なんであんなに褒めたんだろう」と「なんでこんなに評価低かったんだろう」が(汗)。

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2008年6月 3日 (火)

『ラブソングができるまで』

51x0sod_2☆☆ 観客の脳内上映で充分。
 ヒュー・グラントとドリュー・バリモアというラブコメのブランドネームスターが揃った本作は、まったく予定調和という部分をはみ出すことなくエンディングを迎えました。しかしそれがどうもよい意味ではないところが問題です。
 オープニングから80'sをおちょくりまくったプロモビデオでヒュー・グラントが踊りまくるところはさすがにツボにきました。でもそれはあくまで小ネタで、たとえブリットニーもどきがでてきても、忘却のスターの悲哀が出てきても、話自体が転がらないのです。ドリューのエピソードも今イチ効かず、最後の大円団も同じヒュー・グラントの『ノッティングヒル』や、ドリューの『ウェディング・シンガー』と比較すると数段落ちます。つまりこうあってほしいということと、こうなるだろうなということとは違うということがわかってないということなのでしょう。
 このあたりが「映画」の難しさなのでしょう。ヒューとドリューの相性は決して悪くはないものの、それがプラスアルファにはなっていません。ですからあなたの脳内の想像上映で十分かもしれません。蛇足ですが邦題はとてもいいですね。

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2008年6月 2日 (月)

『しゃべれども しゃべれども』

20080602231649☆☆☆ さわやかな後味の人情話。
 私は落語が好きなので、この作品をとても楽しみにしていたのですが、いやいや上々のできばえにうなりました。さすが快楽亭ブラック師匠のイチおしなだけはあります。
 まず「話す」ということへの切り口がおもしろい。話し方教室で香里奈が途中退出することをめぐって国分太一と口論になる場面を入り口にしたのが成功しています。ここだけでもいっぱしの落語論になると思いますが、そこからは敷居をぐっとさげてわかりやすい物語にしています。正直エピソードの枝葉の取り方やキャラクターの描き方にもう一声ほしいところではあるのですが、まあうまくいった方ではないでしょうか。個人的に一番の不安要素は主役を国分太一がやることだったのです。しかし彼は落語はそれほどではないけれど二つ目の空気はよく出していました。教わる方3人はまあこんなもんでしょう。伊東四朗はいつもながらうまい。それから邦画にしては美術にそれなりの手間暇がかけられたのが印象的で、映像設計が安っぽくなっていなかったのもよかったです。
 よくできた人情話のような品のよさを持つ、さわやかな後味の残る佳品です。

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2008年6月 1日 (日)

クライテリオン、今秋よりブルーレイでのリリース開始

やっと仕事も一段落。まじめにブログも更新できるかな?(笑)

最近すっかりDVDソフトを購入しなくなりました。お気に入りの映画をある程度そろえてしまった、最近気に入った映画が少ない、はたまたおおっぴらに書けない理由までいろいろあるのですが、大きな理由として少し待てばブルーレイで出るんじゃないの?というのもあります。というわけで大きなニュース。いよいよ米クライテリオンもブルーレイでリリースするそうです。まずはこの秋、10月をめどに以下のタイトルを予定しているとのこと。

The Third Man (第三の男)
Bottle Rocket (アンソニーのハッピー・モーテル)
Chungking Express (恋する惑星)
The Man Who Fell to Earth (地球に落ちてきた男)
The Last Emperor (ラスト・エンペラー)
El Norte (エル・ノルテ/約束の地)
The 400 Blows (大人は判ってくれない)
Gimme Shelter (ギミー・シェルター)
The Complete Monterey Pop (モンタレー・ポップ)
Contempt (軽蔑)
Walkabout (美しき冒険旅行)
For All Mankind (宇宙へのフロンティア)
The Wages of Fear (恐怖の報酬)

ご存じの通りクライテリオンからリリースされるのはそれだけでも品質保証されたようなものですが、そうでなくてもここで書いたものは国内盤では画質がまったく期待できないメーカーが権利を持っているものも多いですからね。ブルーレイでどこまでいくかとても興味深いものがあります。

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