マイ・クロニクル・オブ・『ブレードランナー』 その4
再編集した『ブレードランナー』の話をまったく私は知らず、東京国際ファンタスティック映画祭'92での登場で知るところとなりました。ナレーションがない、エンディングが違う、そしてユニコーンのカットが挿入されている・・・なんじゃ、そりゃと思いつつ、でも大スクリーンでの再会はただただうれしく喜び勇んで今はなき渋谷パンテオンへと出かけました。そこでみたものは時間的にはほとんど差違がないにもかかわらず、私が大好きなものとは別物になっていた『ブレードランナー』でした。
毎度おなじみオープニングのロサンジェルスの光景は、パンテオンの大スクリーンではビデオとはまったく違うディテールで迫ってきました。ところがそのあとでまずナレーションがない。どうしても違和感がぬぐえない。たとえでっかーどのナレーションがなくても私の頭の中では「殺し屋の求人はないな」とぼやいているのです。そしてびっくりなユニコーン。とってつけたように挿入されたカットに私はただただ「?」。何を意味しているのか理解不能、いや理解を拒否したといえます。とどめはエンディングの変更。「これは改悪だ!」 私の心中はここまでくるともはや怒りに近い感情を抱いていました。観賞後にデッカードはレプリカントだった説をきかせるにいたって、もはや私とリドリー・スコットとの関係(?)は修復不能(笑)。それって作品の見方が根本的に違うじゃないですか。私が大好きな『ブレードランナー』は不完全だったのだろうか? ディレクターズカット版がビデオでリリースされるごとに、どちらかというと私は喜んでいたのですが、ひょっとして再編集という行為はファンへの裏切りとなることもあるのではと感じたのです。モノローグがあったっていいじゃん! 最後が抜けるような青空でもいいじゃん! この気持ちはDVDがリリースされてからも変わらず、我が家では再生版はほとんど再生されず、DVD-Rに焼いた完全版が時々再生されていました。最終版はどうしても認められない作品のままだったのです。
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