マイ・クロニクル・オブ・『ブレードランナー』 その2
父の仕事の都合で川崎に転勤になった私。友との別れの寂しさと新生活への不安の中で、唯一の喜びは思う存分、映画館にいける!ということでした。さっそく新聞の映画欄に目を通すと、あるわあるわ、驚きの映画館数。名古屋では日刊紙で当時劇場案内は1段。しかしこちらでは2段。しかも名画座もいっぱいなわけで私はにんまりでした。そこであっさりとみつけた『ブレードランナー』。上映していたのは文芸坐。現在の文芸座と同じ位置ですが、その当時は文芸坐、文芸地下、そしてルピリエと名画座の王道を行っていた場所でした。しかも私は名古屋にいる前に東京の板橋に在住しており、文芸坐のある池袋はかつてしった場所。これは行くしかありません。こうして引っ越してからわずか数日後の3/28に足を運びました。余談ですが同時上映は『マッド・マックス2』。『ブレードランナー』のおかげでアクション映画史に残る傑作とも出会えることになりました。
しかし。はじめての『ブレードランナー』体験は他の人と同様、大きな衝撃と困惑を私に残しました。オープニングの未来都市の光景、スピナーのかっこよさ、ルトガー・ハウアー演じるロイ・バティの最後、ヴァンゲリスのスコア・・・。同じハリソン・フォード主演作である『レイダース 失われた聖櫃』のようなノリを想像していた自分にとって、このいまだかつてみたことのない世界観と尋常ではない情報量は、理解できる範疇外の作品だったのです。すごい作品であることは認めるけれど、おもしろくはなかったというのが率直なところでした。
2度目の鑑賞は意外にはやくやってきました。その年の夏、同じく見逃していた『ファイヤーフォックス』をみるためにテアトル新宿に足を運びました。その時の併映作が『ブレードランナー』でした。正直『ファイヤーフォックス』は期待ほどの作品ではなかったのですが、2度目の『ブレードランナー』は前回以上の衝撃でした。世界観をみるだけで手一杯だった状況から、そこからひろがる物語に想いをめぐらせられるようになった時に、あの映画は私の中で生涯忘れることのできない感激を与えてくれたのです。そしてこの作品は私に新しい映画の楽しみ方を教えてくれました。それは「もう1度みる楽しさ」です。それまでに複数回みた経験は4作。そのうち『Uボート』『ミッドナイトクロス』は2本立てでパンフレットが欲しかったため、『スター・ウォーズ』『アニー』は日本語版を再見したためでした。したがって積極的にもう1度みたい!というパターンは、自分にとってこの『ブレードランナー』以降になるのです。
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コメント
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投稿: 日本インターネット映画大賞 | 2008年1月 1日 (火) 19:56