『大いなる遺産』
☆☆☆ 折り目正しい視覚芸術。
デビッド・リーンがディケンズの作品を映像化したクラシックですが、いや、やっぱりこの頃の作品でそれなりの評価を得ている作品は格が違います。一言でいえばストーリーを語るにあたって奇をてらわないという意味で折り目正しいのです。演じ手の演技を引き出し、それをフィクスできちっとうつしとる。編集は観客の思考のジャマをすることはせずに全体のリズムを産み出す。しかし撮影と美術が視覚的な語り手となり、観客の情感を呼び起こす・・・。もうさすがとしか言いようがありません。ガイ・グリーンのモノクロ撮影の美しさもさることながら、その映像設計の緻密さには唸りました。役者陣もみな秀逸。アレック・ギネスの若き頃に微笑ましさを感じました。
映画とは視覚芸術であることを再確認できる秀作です。
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