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2007年11月19日 (月)

『ブレード・ランナー ファイナルカット』

Brfc☆☆☆☆ SF映画のまさにモニュメント。
 デジタルのよる修正と場面の追加を加えられDLP上映で私の目の前に再びあらわれた『ブレードランナー』は、かれこれ25年たつにもかかわらず、まったく古くなっていない作品でした。映画館でもっともみている作品ですし、ビデオでも数え切れないほどみていますが、それでも発見があります。この作品には私なりにちょっとした歴史があります。そちらも話しておく必要があると思いますが、その点はまず今度にして、まずは作品に関して述べておきたいと思います。
 まず画質と音質のブラッシュアップも含めたテクニカルな部分はそれほど大きな驚きはありませんでした。ただサウンドトラックに関してはオリジナルがいかに作り込まれたものだったのかを再認識しました。あの音の情報の洪水が5.1chでくるとそれだけで疲れる感じです。他方デジタル修正に関する部分はその変更にいくつか気がついた部分がありましたがまったく違和感はありませんでした。(スピナーのワイヤーが消えましたね。) そして微妙な追加と再編集に関して。ベースになっているのはインターナショナルバージョンとディレクターズカット。ディレクターズカットでほとんど消えたバイオレンスシーンはほぼ復活しています。またユニコーンの場面の挿入もディレクターズカット版にくらべて違和感がなくなりました。中でも効果的だと思ったのはロイがタイレルを殺してしまう場面(台詞がいくつか変わった)とラストの鳩が飛び立つ空(青空が曇天になった)。まったく印象が変わりました。
 この手のディレクターズカットをよく出す監督の中で、ジェームズ・キャメロンは明らかにディテールの追求による尺の問題、ジョージ・ルーカスはマーチャンダイジングの匂いがプンプン、そしてリドリー・スコットは『エイリアン』のディレクターズカットでも感じたことですが、純粋に作品の質を上げようとしていると感じます。
 この作品は絶対に映画館です。あまりの情報量のすごさに驚き、受け止めるまでに時間がかかるかもしれません。しかし間違いなくみた人の心の奥に深く刻まれ、何でも見返すことが出来ることに驚きを感じるはずです。
(新宿バルト9 シアター8にて)

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