『アフター・ウェディング』
☆☆☆ 家族、生と死、そして「業」。
予告編でわがシガーロスが使われていて、また内容もとてもそそられるものがあり、ものすごくみたいと!とおもった作品です。ミニシアターぎらいの私を有楽町まで足を運ばせたのですから(汗)。で、結論から言えば作品的には注目すべき所があるにもかかわらず、見終わった後ちょっと複雑な気分にさせられた作品でした。
まず作品としては家族を題材にしているにもかかわらず、もう少し突っ込んだ「業」のようなものを感じさせる作品でした。生きていくということは誰かと関わることであり、そこにはさまざまな想いが絡み合い、逃れることはできない運命のようなものがあります。その点をひとつの家族とひとりの男と2つの世界を描くことによって浮かび上がらせようとしている意図は評価したいと思います。中でもインドとデンマークの2つの世界を並べたことは、この作品の大きな個性となっており、あのラストの葬式の場面が単純なハッピーエンドでは解釈できない深い余韻を残すバックボーンとなっています。しかしあまりにもクローズアップを多用した映像設計はあまり成功しているとはいえず、俳優陣が繊細な表現をみせているだけにそれを壊してしまっているように感じられました。演技陣の中ではマッツ・ミケルセンは人生の苦みの中に知性と純真さをにじませて素晴らしい演技をみせています。
日本映画のお涙頂戴とは志の質がまったく違う家族の絆と人が生きるということについての映画です。
ただ。私はシネカノンさんに一言いいたい。この予告編は反則でしょう。確かにあの予告編がなかったら私はこの作品をみる気がおきなかったので、その点では成功です。でもあまりにも作品世界のポイントをネタバレさせすぎです。(実の娘まではいいとしてヨルゲンの病気は絶対に伏せてほしかった)
(シネカノン有楽町2丁目 シアター2にて)
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント