『グエムル 漢江の怪物』
☆☆☆ リアルでエモーショナル。
韓国映画には珍しい怪獣映画は日本映画とは全く違う、しかしそれゆえに個性的な作品に仕上がりました。
おもしろいのは物語の視点が1つの家族からになっていること。そんなエピソードが紡がれることで、風呂敷を拡げすぎることなく、リアリティもエモーショナルも失わないでいます。また米軍の汚染物質垂れ流しという実話がベースになっているようですが、社会的な背景をスパイスにしているのも成功の要因です(『ゴジラ』も水爆というものが大きな背景になっています)。ソン・ガンホはいつもながら素晴らしい存在感。怪獣のデザインに『パトレイバー』劇場版の盗用が言われていましたが、『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズのWETAが手がけたデジタルエフェクツは可もなく不可もなくのレベル。結局映画は総合力であるとあらためて痛感。あのエピローグがしみるのは演出力なのです。ポン・ジュノは『殺人の追憶』に引き続き、唸るしかない力作です。
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