« 『うつせみ』 | トップページ | 『コレクター』(1965) »

2007年7月 6日 (金)

『追憶の街 エンパイア・フォールズ』

Dvempire WOWOWでオンエアされていたHBOのTVミニシリーズ。この間の『エンジェルス・イン・アメリカ』といい、本当にHBOのテレフィーチャーは凄いですね。テレビでしかできないことをたるという当たり前の発想をちゃんとやっています。この作品もピューリッツア賞を受賞したチチャード・ルッソ(『ノーバデーィズ・フール』)の原作を自らが脚本化。監督はフレッド・スケピシ(『愛しのロクサーヌ』『ミスター・ベースボール』)。そしてキャストがすごい。エド・ハリスにポール・ニューマン、ジョアン・ウッドワード、ロビン・ライト・ペン、エイダン・クイン、テレサ・ラッセル、デニス・ファリーナ、ジョシュ・ルーカス、フィリップ・シーモア・ホフマン、ウィリアム・フィクトナー、キャリー・ローウェルなどなど、さっと知っている名前をあげただけでもこれだけぞろぞろ出てきます。ゴールデングローブ賞でも作品賞と助演男優賞(ポール・ニューマン)、エミー賞でも助演男優賞と、評価の高さが伺えます。
 で、中身ですが見始めたら3時間ちょっとあっという間に過ぎました。まず演技陣が素晴らしい。お芝居を味合うということは映画の中で大きな楽しみの1つだと思います。で、こういう作品が日本で評価されない理由(そもそも私が日本のレビューで基本的に納得がいかないのが、なぜ演技についてもっと書かれないのかということ)としてお芝居的な見せ場がわかりにくいからなのだとしたら本当にもったいない! だってここに出てくる人たちのアンサンブルは見事としか言いようがないし、これほどわかりやすい例も少ないと思います。演技のベクトルがきちんと整理されていて、お芝居が浮いている人がいない。お見事です。ジョアン・ウッドワードの存在感、ロビン・ライト・ペンの悲哀、そしてヘレン・ハントの生活感。この女優陣のコントラストの鮮やかさ。そしてポール・ニューマンの懐の深さと苦渋をにじませる空気。そしてエド・ハリス! この作品世界をきっちりと支えたのはあなたの力です。今まで何度も何度もあなたに賛辞を捧げてきましたが、くり返しここでもお見事と言うほかはありません。そうか、あなたはポール・ニューマンの後継者にもなれる大きさを持っていたのかと嬉しい驚き。そうですね、彼で『暴力脱獄』とかみてみたい!(本当にリメイクしちゃイヤですが) またプロダクション・デザインも見事で、こういうちょっとだけ昔のリアリティをきちんと出せるのは素晴らしいと思います。
 大傑作というにはどうかという感じですが、少なくとも見逃すのはもったいない1本です。残念ながらソフト化はされていませんので、再度オンエアがあったらお見逃しなく。そのうち機会があったらHBOのこともまとめたいと思います。

|

« 『うつせみ』 | トップページ | 『コレクター』(1965) »

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 『追憶の街 エンパイア・フォールズ』:

« 『うつせみ』 | トップページ | 『コレクター』(1965) »