『愛についてのキンゼイ・レポート』
☆☆ 真面目な人を真面目に描きすぎた。
なんか今年に入ってから本当によくこの人をみかけます。そう、ピーター・サースガード。サースガードまつり? いえいえ別にそういうわけではないのですが(そういえばこの間はマシュー・ブロデリックとポール・ジアマッティまつりだったなー)。ビル・コンドンの監督作は、きわもの的な興味をきわめて真面目に取り組んだキンゼイ博士を、これまたきわめて真面目に描いた1本になりました。でもこの作品はそういうアプローチが正解だったか微妙だったといえます。キンゼイのアプローチが科学的な側面をもとに、人々の羞恥心に踏み込んでいく様を描いていくことになりますが、この映画はその様子をとらえきれずステレオタイプな描き方(特に古い価値観を持つ人)になったキライがあります。それゆえに性が人々の心を揺り動かし、開放し、逆に閉じこめてしまう様々な側面が、私たち観客に響いてこないのです。リーアム・ニーソンはハマリ役で、ローラ・リニーは逆に疑問(貞淑な感じもしないし、目覚めた感じもしない)。サースガードはそのとらえどころのなさがズバリ来ています。意欲作ではありますが、真面目に作りすぎて損をしてしまった作品です。
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント