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2007年7月13日 (金)

『アポカリプト』

20070715222405☆☆☆ そのエネルギーには抗しがたい魅力がある。
 こっちと『プレステージ』と共に最終日でどっちにするか迷ったのですが、こっちを選びました。いろいろとお騒がせなメル・ギブソンの新作は、前作『パッション』同様やはり物議をかもしました。確かに残酷な描写は出てきますし、未開の地の描き方は多分にモンド的だと思いました。でもジャングル版『マッドマックス2』とはよく言ったもので、途中つっこみどころはたくさんありますが、物語はとてもわかりやすく後半の逃亡劇は息をのむばかりの迫力です。そして私が同様に興奮したのはこの映画の撮影に関する技術的な側面でした。
 この作品はパナビジョン社のデジタルカメラ「ジェネシス」で撮影されていますが、これが大きく貢献しています。このカメラが初めて本格的に導入された『スーパーマン・リターンズ』のデジタル然としたルックと比較しても、このカメラが持っている本来の武器、つまりセットアップがフィルムカメラと変わらない気軽さ(従来のデジタルカメラはカメラ本体とは別に記録部分の聴きを接続する必要があった)と、絞りの部分でフィルムを遙かに凌駕する自由度を持っている点が、ついに本領発揮と言ったところです。オープニングのジャングルでのやりとりがまず驚き。そして逃亡した主人公を追いかける追跡者が松明で追いかけるシーンでさらにビックリ。『バリー・リンドン』でキューブリックとオルコットがやった蝋燭光をソースとした撮影の衝撃と同じぐらいの次元だと思います。確かにフィルムで撮影してもデジタルにインターメディエイトしてしまえば変わらないという人もいるかもしれませんが、これをみたら絶対に驚き、そして新しい可能性に興奮するはずです。
 そしてそんな新技術とギブソンの執念がうみだした活劇としてのエネルギーは尋常ではなく、抗しがたい魅力があります。
(WMC多摩センター6にて)

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