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2007年7月11日 (水)

『300』

20070715222401☆1/2 コミックに近づいても映画の成功にはならない。
 フランク・ミラーのグラフィック・ノベルにはまったく興味がなく(『シン・シティ』も未見)、やはり個人的にポイントは『ドーン・オブ・ザ・デッド』のザック・スナイダーの新作だというところでしたが、正直期待はずれでした。
 かつてこういうヒロイックファンタジーの世界でいえば、『コナン・ザ・グレート』に燃えた身としては、やはりこれはウソの世界なのです。今みるとかなりしょぼいですが、でもやはりあのシュワの筋肉と大きな剣を振り回した世界は興奮しました。映画自体はウソの世界だというのは百も承知なのですが、心地よくだまされるかどうかというのは大きな違いがあり、あの筋肉も汗も嘘臭さが充満している以上、ここに描かれる血、痛み、そして心情も私たち観客に迫ってきません。ではデジタルエフェクツが満載なところに起因しているのか。いいえ、これは違います。それならば『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズは評価できなくなります。そうするとつまるところウソのつき方、すなわち演出に問題が行き着きそうです。嘘臭さを観客が感じるのは、これは映画=モーション・ピクチャーであるはずなのに、なぜグラフィック・ノベルを再現した世界につきあわなくてはいけないのかというところです。これはコミックの映画化で成功する作品が少ないのと同じ次元の話になると思いますが、この作品で出た結論はどれだけコミックに近づいても映画は成功しないと言うことです。ひたすら怒鳴り続けるカリスマのかけらも感じないジェラルド・バトラーをはじめ、役者陣は完成後の作品をみて、俳優の仕事に疑問を感じるかもしれません。
 こういう世界がやりたければどうぞコミックで。映画が作りたいなら映画を作ってください。
WMC港北ニュータウン6にて)

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