素晴らしいスタッフ&キャストたち
豪華なスタッフとキャストにもふれておきましょう。まず監督のマイク・ニコルズ。元々舞台の演出家であった彼ですが、『卒業』をはじめとして風刺の効いたコミカルな作品で佳作をたくさん残しています。この作品はそういった意味でも換えの集大成的アプローチがなされているともいえるでしょう。音楽はトーマス・ニューマン。『ショーシャンクの空に』『アメリカン・ビューティ』などで素晴らしいスコアを聴かせてくれましたが、ここでも印象的なオープニングテーマをはじめとして、さすがの仕事をしています。ビジュアルエフェクツスーパーバイザーとして、ILMやボスフィルムで活動したリチャード・エドランド。ボスフィルムスタジオが閉鎖されてからなかなか仕事が恵まれなかったようですが、彼のリアリティにポイントが置かれたビジュアルエフェクツがさまざまな場面で使われていました。衣装デザインには『めぐりあう時間たち』のアン・ロス。撮影は『リーサル・ウェポン』のスティーヴン・ゴールドブラット。
キャスティングではまずアル・パチーノ。ロイ・コーンをさすがの貫禄で演じています。チャーミングでいやみたらしくて、ゲイの匂いも少しだけさせるところが心憎いです。女性陣では三役を演じたメリル・ストリープ。中でも典型的な保守的女性ハンナ・ピットを絶妙なさじ加減で演じます。この2人の役が古典的米国価値観を象徴するならば、若手のキャストたちは新しい流れと旧来の価値観の中で翻弄される米国人を演じます。中でもジェフリー・ライトの存在感は見事です。最後に狂言回し的な役割をするエマ・トンプソン。最近ケイト・ブランシェットが英国女性の典型として存在感が増すばかりですが、この人はもっと評価されても良いはずです。
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