『ボーイズ・ドント・クライ』
☆☆☆ 適度な距離の置き方で陥ったステレオタイプの罠。
ヒラリー・スワンクがオスカーを獲得した作品です。しかし性同一性障害よりも、トレーラーハウスで暮らしているホワイトトラッシュの描写が作品で大きな柱になっていました。彼らが抱える閉塞感は今のハリウッドでは描かない部分なのですが、この映画はその部分をそれぞれの登場人物に過度な肩入れをせず、適度に距離をおいて描いています。その部分が魅力でもあり、逆に限界にもなっています。いっそのこと性同一性障害の登場人物を狂言回し的な存在にして、話を展開させていればまた違うと思うのですが、やはりあまりにも重すぎるモチーフゆえに、そこまで割り切れず、結果的にステレオタイプな描写になってしまった点はもったいないと思いました。ヒラリー・スワンクばかり注目されますが、何といってもピーター・サースガード! もう恐ろしい! この人がこの作品をぐっと締めていたとあらためて伝えたいところです。
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