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2007年4月10日 (火)

『トゥモロー・ワールド』

20070414180712☆☆☆ 新たな近未来SFスタンダードとなりえる作品。
 P・D・ジェイムズ原作『人類の子どもたち』の映画化だという事に気がついたのは公開終了間際。結局見逃してしまい、とっても後悔したのですが、これが後悔感倍増の秀作でした。
 まず近未来SFとしてのリアリティ構築のセンスが抜群なこと。また長回しの多用などの技術的なチャレンジをこれみよがしにしていないところ。それらが作品にずっしりと重みを与え、効果的に用いられています。物語もエモーショナルで、ハッとさせられる場面が多く、中でもクライマックスの銃撃戦下の小さな「奇跡的出来事」の瞬間は神々しささえ、漂っていました。マイケル・ケインがいかにもなキャラクターで登場するのも笑えましたし、ジュリアン・ムーアの存在感が、クライブ・オーウェンとの微妙な関係を絶妙に表現していて見事でした(この人、脇にいる方が絶対に光る!)。残念なのはそのクライブ・オーウェンで、どうもこの人、ラッセル・クロウのように演技が金太郎飴。
 カルト的な支持を集める要素充分の力作です。

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