『ロッキー・ザ・ファイナル』
☆☆1/2 作品を支える潔さ
シルベスタ・スタローンがロッキーの続編? これはもう笑うしかありません。ところが。向こうではスタローン作品としては久しぶりのヒットに。そしてあのラジー賞にノミネーションされなかった! レビューも好意的なものが少なくない。何が起きたんだ?という興味に変わりました。
ちなみに私のシリーズ全作評価ですが、
1:**** 2:*** 3:*** 4:** 5:*
この作品は『ロッキー』の1作目の匂いがします。あきらかに意識している所もありますが、意識せずににじみ出てきているところもあるようです。おそらくそれは『ロッキー』が最初、映画として勝算が見込めない中で作られた作品であり、この作品もキャリアが行き詰まったスタローンにとって崖っぷちであるという意味で、似通ったものがあったからでしょう。試合後にマイクパフォーマンスがないところがそれを感じさせます。そしてその潔さがこの映画の大きなセールスポイントになっています。まるでジョージ・フォアマンがモーラーを破った事実に重なるようなエピソードは、ロッキーというキャラクター本来が持っていた魅力を再認識させます。まただてに5本のシリーズを重ねているわけではなく、寅さんのようにサブキャラクターやかつてのエピソードがスパイスとして効いています。人物の描き方はやや表層的、エピソードにも奥行きはありませんが、それでもあのテーマ曲、あの建物、あのトレーニング、そしてまるでペイパービューをみているようなファイトシーンには興奮させられます。
ただ。くれぐれも勘違いしないでほしいのは、この潔さはクリエイターが作為的に作り出せないものであるということです。次は『ランボー』らしいですが、不安は募るばかりです。
(TOHOシネマズ川崎6にて 先行)
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