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2007年4月30日 (月)

『シンデレラマン』

20070116000233☆☆ いつもどおりの凡作。
 正直、全然みる気が起きなかったのですが、WOWOWで後半をみて、ちょっと気が変わりました。でも変わらなくてよかったかなあというのが本音(汗)。ポール・ジアマッティ(あっ、ここしばらくはこの人もやたらみてるぞ)は抑制のきいた演技をみせ、またプロダクションデザインはよい仕事をしています。ラッセル・クロウはいつもどおり金太郎飴の演技をみせ、レネー・ゼルウィガーはいつものように口をとがらせ、ロン・ハワードの演出はいつものように冗長。トーマス・ニューマンのスコアはいつも以上に感傷的。どこもかしこも自分の仕事だけで化学反応がなく、いかにもな賞狙いの感動素材も白々しさだけが残りました。

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2007年4月29日 (日)

『ボーイズ・ドント・クライ』

Boysdon☆☆☆ 適度な距離の置き方で陥ったステレオタイプの罠。
 ヒラリー・スワンクがオスカーを獲得した作品です。しかし性同一性障害よりも、トレーラーハウスで暮らしているホワイトトラッシュの描写が作品で大きな柱になっていました。彼らが抱える閉塞感は今のハリウッドでは描かない部分なのですが、この映画はその部分をそれぞれの登場人物に過度な肩入れをせず、適度に距離をおいて描いています。その部分が魅力でもあり、逆に限界にもなっています。いっそのこと性同一性障害の登場人物を狂言回し的な存在にして、話を展開させていればまた違うと思うのですが、やはりあまりにも重すぎるモチーフゆえに、そこまで割り切れず、結果的にステレオタイプな描写になってしまった点はもったいないと思いました。ヒラリー・スワンクばかり注目されますが、何といってもピーター・サースガード! もう恐ろしい! この人がこの作品をぐっと締めていたとあらためて伝えたいところです。
 

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2007年4月28日 (土)

『シティ・オブ・ゴッド』

Cityof☆☆☆1/2 目が離せない緊張感と巧みな映画的話術。
 やられました! もう、抜群におもしろいです。『ナイロビの蜂』を私は先にみたことになりますが、2作続けての見事な出来映えは、フェルナンド・メイレレスが次回作が待ち遠しい監督になりました。ブラジル版『仁義なき戦い』とはよくいったもので、描かれる世界は猥雑なエネルギーにみちあふれ、多くの登場人物たちがでてきますが、それが混乱せずに、なおかつ1人1人が見事に描き分けられています。たしかに暴力シーンも多いのですが、それは物語と登場人物を語る上に不可欠な要素であって、時には観客に痛みを、時には笑いを、そして時には爽快感さえ与えます。
 一瞬たりとも目が離せない緊張感と、最後まで退屈させない映画的話術を備えた作品です。

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2007年4月27日 (金)

『アサルト13 要塞警察』

20070504143503☆☆ アクセル踏みっぱなしの一本調子な演出。
 カーペンター伝説の傑作『要塞警察』のリメイクです(私、オリジナルは途中までしかみていないのですが)。そもそもこれ自体がホークスの『リオ・ブラボー』を翻案しているわけですが、個性的な役者陣が揃い(ブライアン・デネヒーの姿を久しぶりに拝んでうれしかったあ!)、シチュエーションもなるほどで、ひさしぶりに男臭い世界を期待したのですが、いかんせんこの監督はアクセルを踏みっぱなしで、話に緩急がありません。したがってサスペンスも一本調子ですし、大きな柱になるはずのイーサン・ホークとローレンス・フィッシュバーンのやりとりもニヤリとさせられません。やっぱりカーペンターはカーペンター。彼の諸作群のリメイクは『ザ・フォッグ』に続き、またもやという感じです。この後『ハロウィン』『ニューヨーク1997』とあるわけですが、ますます心配です。
 アクション映画としても平凡な出来。カーペンターの作品の魅力だけでなく、銃は撃たないゆえに緊張感がでるということも近年の監督はわかっていないようです。

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2007年4月26日 (木)

『ストーリーテリング』

☆1/2 人を惹きつける力に欠けた偽物の毒。
 トッド・ソロンズ監督作品は初見でしたが、私はダメでした。少なくともこれは笑えない。たとえこれが世の中だよと言われてもやっぱり笑えない。毒は人を惹きつけるからこそ毒なのであって、この作品の毒は効き目なしです。ポール・ジアマッティもこの頃はダメですね。やりすぎです。

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2007年4月25日 (水)

『コーチ・カーター』

Coachc☆☆ 何もかも予想通り。
 実話を元にしたドラマですが、何もかもが予想通りの展開。これは実話ベースの物語としては致命的な欠陥のような気がします。試合シーンも迫力がなく、ドラマとしても浅い。役者陣にも魅力がありません。サミュエル・ジャクソンは役の幅をひろげるつもりがないのかもしれませんが、すごくもったいない気がします。『勝利への旅立ち』は名作だったなあという感想しか出てきません。

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2007年4月24日 (火)

WMC港北ニュータウン(6)

Img039  2007年4月21日にオープンしたWMCの新劇場。神奈川県内では6個目でつきみ野以来久しぶりの新館となる。港北ニュータウンのセンター北駅前にできたショッピングモール「ノースポート」内にある。全12スクリーンで全館SRD-EXまで対応。コンセプトはここ数年登場したWMCの新館群(多摩センターやむさし野ミュー)などと同様で、ゴールドクラスが1館、WMSSが導入されている。またスクリーン6がDLPとReal-D上映に対応している。さすがに手慣れた作り方で、劇場内のレイアウトもわかりやすいが、正直ゴールドクラスの必要性はあまり感じられない。最近WMCのウリのコンシェルジェはいなかったような気が・・・。

スクリーン6(席189 見**1/2 音**1/2 環***)
Real-D上映にも対応しているのがウリだが、縦に長い形にもかかわらず傾斜がきつい印象。音もオープン直後のせいか、それとも作品の観客層のせいか、ややおとなしめ。Img040

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2007年4月23日 (月)

『モンスター・ハウス』

Monste☆☆1/2 Real-Dでないと存在価値がない作品。
 Real-Dで見逃していたこの作品をまさかこういう形で! 一応説明しておくとReal-DはDLPを利用した3D上映システムで日本では3作品目(『チキン・リトル』『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス デジタル3-D版』、えへん、オレ全部みてるぞー!)。実はWMCが港北ニュータウンのオープンにさいして、地域の人だけを対象に神奈川初上陸となるReal-Dを体験してもらおうと1週間の無料上映を企画しました。もう感謝感謝感謝! 
 ゼメキスとスピルバーグが組んだこの作品。ひょっとして例のダークキャッスル系で来るのかと思いきや、意外や意外、それは素直なジュブナイルとなっていました。子ども向けとしてはかなり誠実な作りだと思うのですが、それがやはり限界になっているのも事実です。またフルCG作品は傾向として新たな鉱脈を探そうとしているようなところが感じられ、この作品も例外ではなく、話の作り込み方が中途半端になっています。ただ救いはこの作品がReal-Dを想定して製作された事で、このあたりの見せ物的な発想が作品に躍動感を与えています。
 とりあえずReal-Dでみないと魅力半減どころか、存在価値すらない作品かもしれません。ただReal-D唯一の問題点が字幕を入れられない事。吹き替え版かノンスーパーか、うーん・・・。
(WMC港北ニュータウン6にて)

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2007年4月22日 (日)

DVD『時をかける少女』(2006)

20070422_200842202 こちらも去年の中で収穫の1本だった細田守監督のアニメーション。→review これもプレミアム版がありましたがあの特典で1万円なんてありえません(それでもちと高いぞ)。というわけで通常盤を購入。画のやわらかさがフィルムではときおり違和感があったが、これがDVDではいい感じになっている。また音場の作り方がここ数年のアニメーションでも抜群にうまかったことを再認識。特典は普通。
B-AVG.-7.86MB/sec.

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2007年4月21日 (土)

DVD『サイドウェイ』

20070422_232128495_1  こんないい作品がこんな値段ででるんだもんなあ。→review 正直特典もそれほどではないのですが、未公開シーン集をみると、編集が実に繊細なバランスの上に成り立っている事が、この映画が成功した大きな要因だと感じられた。
B-AVG.-6.11MB/sec.

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2007年4月20日 (金)

DVD『硫黄島からの手紙』(2枚組)

20070422_221910410 一応昨年のマイベストの1本です。→review 迷わず2枚組を購入。理由その1、『父親たちの星条旗』も一緒に収納できるBOXがついてくる。理由その2、この作品についてのキャスト・スタッフの思いを知りたかった。
 画質音質はかなり健闘している部類で、特に画質は最近のワーナーの中でもかなりよい方だと思う。で、肝心の映像特典だが、いやあ日本人キャスト(特に若手)の受け答えがすんごく「軽く」感じるのはなぜだろう。題材が題材なだけに(しかも演技はそれほど悪くないのに)これが国際素材かと思うと残念。
B-AVG.-6.7MB/sec.

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2007年4月19日 (木)

DVD『ミスティック・リバー』(2枚組)

Mys152143523 ブックオフで激安の誘惑に負けて購入。だって2枚組バージョンが¥900ですよ。イーストウッド作品はDVD泣かせの暗部表現が多く、この作品もかなりしんどそうな表現になっている(こういうのはブルーレイがどう表現するかとても興味深い)。音質は水準クラスだがきかせどころは少なめ。特典はインタビュー(アメリカの番組でオンエアされたもの)が中心でメイキングは少なめ。
B-AVG.-6.84MB/sec.

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2007年4月18日 (水)

『ハッピー フィート』

20070422212819☆☆1/2 妙なバランスの悪さ。
 やっとこさ、字幕版で鑑賞しました。あの『マッド・マックス』の、いやあの『ベイブ』の、はたまた『ロレンツォのオイル命の詩』のジョージ・ミラーの新作は、不思議な魅力が妙なバランスの悪さの上に成立した作品でした。
 たとえばミュージカルとして。構図のとり方はバストアップにせずに、全身をうつすやり方なんて(苦肉の策かもしれませんが)往年のとり方ですが、もうぐるぐるまわり放題で、いかにもデジタル環境の作品という弊害も出ています。またナンバーのチョイスもよいセンスですが、かといって『ムーラン・ルージュ』ほどの冴え(物語上不可欠な要素になっていない)はありません。物語も同じでピクサー作品ほどの健全さはないですし、『シュレック』シリーズほどの毒もありません。<以下ネタバレ(ドラッグ&反転でお読みください)>そして極めつけは後半のあの展開。水族館までは許せるとして、背中に発信器、ラストはダンスでコミュニケーションだなんて単に人間へのすりよりじゃないのでしょうか? あれってペンギンと人間のハッピーエンドにはどうしても受け取れませんでした。ラテン系とのカルチャーギャップは笑わせてもらいましたし、赤ちゃんペンギンはもうとにかくキュートなんですが、このバランスの悪さは作品の評価をはっきりとわけると思います。
 はたしてこの居心地の悪さは狙ったものか、それと偶然の産物か。とりあえず言えるのは私はすっきりしない感覚が残りました。
(109シネマズ川崎9にて)

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2007年4月17日 (火)

DVD『トゥモロー・ワールド』(2枚組)

20070422_152748228というわけでブックオフで中古を早速購入。長回しについてはすべての疑問が解消されたわけではなかったが、こういう技術的に興味をそそられる作品は久しぶりだったので、ビハインド・ザ・シーンなどの特典映像も興味深くみられた。画質・音質はよい部類で、特に音質については音場という意味ではdtsパワー炸裂。
B-AVG.-8.14MB/sec

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2007年4月16日 (月)

DVD: POLICE SQUAD!

20070117_002406207邦題『フライング・コップ』
お待たせしました! あの『裸の銃を持つ男』シリーズの元ネタTVシリーズがついにDVD化でございます。もうただただおばかギャグのオンパレード。全6話完全収録。音声はびっくりの5.1chまで。しかもコメンタリーや特典映像もぎっしり。字幕がCCのみなのは残念ですが、国内盤ではリリースされそうにないのでファンは絶対に買いでしょう。
B-AVG.-5.86MB/sec.

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2007年4月15日 (日)

ロッキー、音楽の悲運

 ちなみにロッキーシリーズのちょっとしたトリビアです。あれほどの名曲で、もはやスタンダードナンバーといっていいほど、たくさんの人に親しまれている「ゴナ・フライ・ナウ」。これも含めて、実はシリーズを通してオスカーの音楽関係の受賞を果たしていないというのはご存じでしょうか? 1作目は作品賞など4部門を獲得していますが、肝心の歌曲賞(なぜに歌曲賞なんだろう?)はバーブラ・ストライザンド『スター誕生』にかっさらわれています。その後、ビル・コンティは4以外すべてに参加しています(4のみ、ヴィンス・ディコーラ。このサントラはノリがよく作品とは関係なく燃え上がります!)が、素晴らしいスコアを残しているにもかかわらず(特に2は感涙物)、残念ながらノミネーションすらされていません(コンティは『ライト・スタッフ』で受賞)。またあの大ヒット曲、3で使われたサバイバーの「アイ・オブ・ザ・タイガー」も実はノミネーション止まり。授賞したのは『愛と青春の旅立ち』。
 こういう悲運のエピソードはオスカーにはごろごろしていますが、それでもちょっと可哀想すぎですね。さっ、私も2のサントラをひっぱりだしてみて聴きなおしてみたいです。

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2007年4月14日 (土)

『ロッキー・ザ・ファイナル』

20070415094107☆☆1/2 作品を支える潔さ
 シルベスタ・スタローンがロッキーの続編? これはもう笑うしかありません。ところが。向こうではスタローン作品としては久しぶりのヒットに。そしてあのラジー賞にノミネーションされなかった! レビューも好意的なものが少なくない。何が起きたんだ?という興味に変わりました。
 ちなみに私のシリーズ全作評価ですが、
 1:**** 2:*** 3:*** 4:** 5:*
 この作品は『ロッキー』の1作目の匂いがします。あきらかに意識している所もありますが、意識せずににじみ出てきているところもあるようです。おそらくそれは『ロッキー』が最初、映画として勝算が見込めない中で作られた作品であり、この作品もキャリアが行き詰まったスタローンにとって崖っぷちであるという意味で、似通ったものがあったからでしょう。試合後にマイクパフォーマンスがないところがそれを感じさせます。そしてその潔さがこの映画の大きなセールスポイントになっています。まるでジョージ・フォアマンがモーラーを破った事実に重なるようなエピソードは、ロッキーというキャラクター本来が持っていた魅力を再認識させます。まただてに5本のシリーズを重ねているわけではなく、寅さんのようにサブキャラクターやかつてのエピソードがスパイスとして効いています。人物の描き方はやや表層的、エピソードにも奥行きはありませんが、それでもあのテーマ曲、あの建物、あのトレーニング、そしてまるでペイパービューをみているようなファイトシーンには興奮させられます。
 ただ。くれぐれも勘違いしないでほしいのは、この潔さはクリエイターが作為的に作り出せないものであるということです。次は『ランボー』らしいですが、不安は募るばかりです。
(TOHOシネマズ川崎6にて 先行)

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2007年4月13日 (金)

『ツォツィ』のレイティング

 『ツォツィ』の十代向け試写があったそうです。この映画は南アフリカを舞台に貧困にあえぐ若者を主人公にした映画で、アイスピックや銃で人を殺す場面が不適切としてR-15指定(中学生以下鑑賞不可)になりました。ただあらかじめご存じのない方のために申し上げるとこの作品はアカデミー賞の外国語映画賞を授賞しているぐらいなので興味本位な映画ではありません。どちらかというと社会派の作品です。アムネスティ・インターナショナル日本などが主催したそうですが、なぜこんな試写があったかというと、配給する日活がPG-12(12歳未満の鑑賞にはなるべく保護者同伴)への変更を求めていたからです。

 その前に映倫の話をしておきましょう。現在日本の商業映画を上映する映画館がほぼ間違いなく全興連(全国興行生活衛生同業組合連合会)に加盟しています。また現在商業されている作品もほとんどのものが映倫審査を通過しています。で、映倫審査通過作品は、全興連加盟の映画館でしか商業上映ができません。映画の題名が上映される所に必ず映倫マークが入っているはずです。両方ともあくまでも業界団体なのですが、それを自主規制する事でお互いの権益を守っていこうと形なわけです。(まあ三池崇史監督『インプリント』のように極論すると抜け道はあるわけですが)
 そんな映倫の仕事のひとつにレイティングがあります。以前は日本では一般、一般映画制限付き、成人指定の3つにしかわかれていなかったのですが、エスカレートする描写に対しての世論もあり、1998年以降、現在の日本では以下のレイティングがあります。
 一般:あらゆる年齢層が鑑賞できる。
 PG-12:12歳未満(小学生以下)の鑑賞には成人保護者の同伴が適当。
 R-15:15歳未満(中学生以下)の入場禁止。
 R-18:18歳未満の入場を禁止。
でもこれだけあるレイティング、ご存じの方ってどれだけいるでしょうか? 日本ではみる方も作る方も、あまりレイティングに関してアメリカほど関心がないように感じます。そもそも歴史が浅いせいかレイティングの基準もかなり曖昧で(アメリカMPAAのレイティング基準はかなり細かいです。馬鹿げているほどです)、またレイティングによって興行収入すら大幅に左右されるアメリカと違って、レイティングが理由による再編集などの話はほとんど聞きません。また日本の基準は主に性描写に関する部分が多く、暴力描写が理由によるレイティングはここ十数年の話です(私の記憶が正しければレイティングで性描写だけでなく暴力描写も理由に成人指定になったのは1983年の田中登監督『丑三つの村』が初めてのはずです)。ただ性描写が性器という比較的わかりやすいものがあったのに対し、暴力描写はそういうものがないため、この点には難しい部分があります。

 さあ、そのあたりをふまえて少し『ツォツィ』試写の話を。
作品に対するレイティングが適切かどうかは、この作品以外にもごまんとあるはずです。またPG-12とR-15では興行収入に大差があるとは思えません。ではなぜこの作品だけ再審査をもとめたのか。
・日活やアムネスティなどの団体がこの作品を中学生以下の子どもにみせて、国際問題にめざめさせたかった。
・この作品の素晴らしさを年齢に関係なく伝えたかった。
・この作品の知名度を高めるための話題作り
これ、どう考えても3ですよね。だって試写があったのが7日。変更せずの通知が13日。公開日は14日ですよ。単なる出来レースじゃないかと勘ぐられても仕方なしです。まあ、そういうプロモーションをすること自体が、この作品の本質をゆがめているとおもいますが。

 『バトル・ロワイヤル』でかつてあったレイティングの是非、という本来語られるべき話はどこかで議論されるべきだと思います。

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2007年4月12日 (木)

訃報:スチュアート・ローゼンバーグ

 ここしばらく仕事の忙しさに目が回りそうな感じで、劇場に足も運べないのだが、ニュースにも疎くなってしまい(そういえばオスカーの授賞式もきちんとみてないや)、知らぬ間にという訃報がいくつかありました。まあ、船越英二や植木等クラスならまだしも、この人クラスになると新聞にもチョロッとしか載らないのです。

 米の映画監督スチュアート・ローゼンバーグ氏が、3/15心臓発作のためロサンゼルス・ビバリーヒルズの自宅で死去しました。享年79歳。
 NY大学で文学を専攻後、テレビ業界に入ります。『アンタッチャブル』などのTVシリーズのエピソードやTVフィーチャーを300本以上演出し、『弁護士プレストン』ではエミー賞を受賞。1960年に『殺人会社』映画監督デビューするも、これは俳優のストライキで撮影が中断。バート・バラバンが後を引き継ぎ完成という不幸な形になりました。以降『暴力脱獄』『マシンガン・パニック』『悪魔の棲む家』『ブルベイカー』などを作ります。遺作は『ハリー奪還』。
 私はこの人のはわずかしかみていませんが、それだけでも充分な人。もうわかりますね、『暴力脱獄』です。ゆでたまご食い競争とジョージ・ケネディにしびれた1本でした。またこれみたい!と思いつつ残っている人でもあり、しかしチェックしてみるとDVD化されていない作品が多数。『悪魔の棲む家』なんていいですから、『悪の華/パッショネイト』と『ブルベイカー』をぜひにDVDでみたいものです。ご冥福をお祈りします。

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2007年4月11日 (水)

『薔薇の名前』の不思議

20041114_222206585 今週はじめにBSフジでジャン・ジャック・アノー監督の『薔薇の名前』がオンエアされていました。すでにDVDにもなっていますし、BSフジはコマーシャル入りでオンエアしていますから。エアチェックする価値はまったくないのですが、これも先日の『十二人の怒れる男』同様、DVDになるにあたり、ひとつ変更がありました。それはある重要なシーンが削除されたのです。本編の最後の最後、モノローグが終わりエンドクレジットに入る前に、劇場では次の一節がテロップで挿入されました。「薔薇は神が名づけた名なり 汝の薔薇は名もなき薔薇」。
 原作者ウンベルト・エーコは記号論の分野でも有名な人です。この学問は簡単に言ってしまえば、ひとつの事象を別の事象におきかえて表現することについて研究した物で、「薔薇は薔薇である」のはなぜか?ということを考える学問です。映画本編に「薔薇」そのものはまったく出てきませんので、このテロップがないと、なぜ映画の題名が『薔薇の名前』なのかが、さっぱりわからないままになります。それはそれでも悪くないのかもしれませんが、なぜ劇場であったものがここで削られたのかがわかりません。それで私が注目したのは、今回のオンエア版にはあるのかどうか。

 結論から言うとありました。(でもそのあとのエンドロールをばっさりきりやがった!(怒))。画質がメタメタだったのをみるとDVDとは素材が違う物を利用したのかもしれません。うーん、じゃあ、なぜDVDだけぶったぎったのだ? 国内盤VHSにはありました。そうすると考えられるのがアメリカ公開版にはそもそもこのテロップがなくて、それを米ワーナーが素材として作ったという説。うーん、なぜそうなったのか知りたいです。そのためにはP AL版と米国盤のDVDが必要か??(爆)

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2007年4月10日 (火)

『トゥモロー・ワールド』

20070414180712☆☆☆ 新たな近未来SFスタンダードとなりえる作品。
 P・D・ジェイムズ原作『人類の子どもたち』の映画化だという事に気がついたのは公開終了間際。結局見逃してしまい、とっても後悔したのですが、これが後悔感倍増の秀作でした。
 まず近未来SFとしてのリアリティ構築のセンスが抜群なこと。また長回しの多用などの技術的なチャレンジをこれみよがしにしていないところ。それらが作品にずっしりと重みを与え、効果的に用いられています。物語もエモーショナルで、ハッとさせられる場面が多く、中でもクライマックスの銃撃戦下の小さな「奇跡的出来事」の瞬間は神々しささえ、漂っていました。マイケル・ケインがいかにもなキャラクターで登場するのも笑えましたし、ジュリアン・ムーアの存在感が、クライブ・オーウェンとの微妙な関係を絶妙に表現していて見事でした(この人、脇にいる方が絶対に光る!)。残念なのはそのクライブ・オーウェンで、どうもこの人、ラッセル・クロウのように演技が金太郎飴。
 カルト的な支持を集める要素充分の力作です。

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2007年4月 9日 (月)

宮崎駿の新境地か?

他方、宮崎駿も新作『崖の上のポニョ』が製作中である事がアナウンスされました。

 その前に先日オンエアされらNHKのドキュメンタリーの中身は、まあ良くも悪くも予想通り。もっと彼のダークサイドをださないとねぇ。『ハウル』をめぐる製作のゴタゴタから『ゲド戦記』、そして昨今、あきらかに悪化しているアニメーションの近況まで、もっとつっこめるポイントはあったはずです。閑話休題。
 そのドキュメンタリーでこの新作の製作背景がちらっと出てきますが、ここしばらくの宮崎作品では珍しく、製作スケールとしては中規模クラスで製作期間も短めだということがわかります。しかし個人的に最大の注目は、作品を作るきっかけの中に、息子の吾郎の存在があったことを明言していること。記者会見での席上でのコメント「こんなことになったのは吾朗が5歳の時、仕事ばかりで付き合っていなかったからだ。二度と吾朗みたいな子をつくらないためにこの作品を作る」 この発言はきわめて興味深いものがあります。
 彼はすでに国民的作家と呼んでもおかしくないぐらい、幅広い層に受け入れられていますが、作家としての宮崎駿の評価はもっと議論されてよい人だと思っています。『千と千尋の神隠し』なんて、大ヒットするタイプの作品では本来ありません。つまりジブリというネームバリューと、宮崎駿の作品はこういうものだというイメージのみが先行してしまい、彼の映像作家としての本質を曇らせている気がするのです。
 私は宮崎監督作品を語る中で『千と千尋の神隠し』が大きな分岐点にあったと考えています。『もののけ姫』で優等生宮崎駿の頂点を極めてしまった感があったので、この作品では今まで表に出てこなかった宮崎駿の暗黒面を素直にはきだした作品のような気がしてならないのです(だからその後の『ハウルの動く城』はたんなる出がらし)。ナウシカ的な顔つきの女の子ではない主役の登場(あの顔つきは今まで『となりのトトロ』など、脇役の顔だった)、人畜無害だった宮崎世界に初登場した湯屋という性的なメタファー、どう考えても作品世界で異質な顔なしなど、これはまさに宮崎版「不思議の国のアリス」です。すると当然「アリス」と原作者ルイス・キャロルの関係もだぶるところがあり、欲というキーワードの中で、セクシュアルな匂いがぷんぷんする作品だったのです。
 さらに宮崎監督のフィルモグラフィには大きな特徴があります。それは親子、もしくは家族の絆というものが希薄であるという点です。そもそも家族自体が物語の重要な要素として出てくるのが少なめ。
・『となりのトトロ』唯一家族の世界が描かれる。ただしそれでもお母さんは入院中。お父さんも存在感が大きいわけではない。
・『魔女の宅急便』巣立ちが大きなテーマなので主人公サイドで物語が描かれる。しかし家族を恋しがる要素は少ない。
・『千と千尋の神隠し』両親がブタにされるにもかかわらず、千尋の最大の関心事はハクの救出。
さらに宮崎作品には孤児、天涯孤独という設定や、また家をすてて旅にでるという展開も数多く登場します。この点はもっと語られてもよいと思うのです。つまり宮崎駿作品に家族という要素が少ないのは、偶然なのか、それとも何かを暗喩しているのかという部分。
 それをふまえると『ゲド戦記』は心中複雑だったと思います。なにせ、いきなり親殺しの場面ですよ(笑)。しかも終始監督起用に反対してきた自分からすれば映画の出来はわるい、それみたこっちゃないという気持ちもある。でも息子をかつぎだしたのは自分の周囲の人間であり、そういう息子を育ててきたのは自分だ。なのであのアレンの姿に何かを感じたのかもしれません。

はたして宮崎駿、起死回生の新境地となるか、来夏に注目です

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2007年4月 8日 (日)

原恵一 待望の新作

 ついに『クレヨンしんちゃん』シリーズの原恵一監督の新作『河童のクゥと夏休み』のTVスポットが登場しました。夏公開とだけ今年度の松竹のラインナップに入っていただけで、アートワークの類はまったくなかっただけに、子どもとテレビをみていて映像が流れた時には、腰が抜けそうになるぐらい驚き、一人で大はしゃぎしてしまいました。
 いかにも原監督らしい映像世界が期待できそうで、期待はすでに最大値! そりゃそうですよ、もう7年も新作を待たされたのですから…。というわけでわが家では今日も『戦国大合戦』が再生され、上の娘が廉ちゃんの真似をしながら鑑賞中でした。

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2007年4月 7日 (土)

今度こそHD放送だ!

ついに決定です。いよいよWOWOWでSWサーガがハイビジョンで5月25日&26日一挙放映です。昨夏は旧3部作のみSD放送でがっかりしたのですが、今回は全作HD放送です。ブルーレイ導入? Rec-Pot追加? またまた新規ハードを買うか迷う所(涙)。どうしよう・・・。

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2007年4月 6日 (金)

びっくり!DVD化作品2連発

 ここしばらくすっかりDVDの購入数が減少しました。やはり低価格であっという間に再リリースされる事と、ブルーレイなどでもリリースされる事、この2つがときどき購入意欲をそぐことがあります。(表に書けない理由もあるのですが) そんな私が久しぶりにビックリ仰天。まさかコレがDVDになるとは!

 ひとつめは伊藤敏也監督の『犬神の悪霊』。ずーっとソフト化されなかった作品で私も未見だったのですが、ついに7月に東映からリリースされる事になりました。
 もうひとつはあのホドロフスキーの『エル・トポ』。といってもこちらはすでに国内盤がリリース済みですが、いよいよ米国盤で登場。同日『ホーリー・マウンテン』と2枚収録のBOXもリリースされます。国内盤でもBOXはありますが、微妙に仕様が違います。価格自体も国内盤は3万円近くするシロモノ。こっちはゼロひとつ少ない値段で購入できます。しかもリリース元は天下のAnchor Bayですから。品質にもかなり期待できます。さっ、さっそく予約予約!

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2007年4月 5日 (木)

パワー・ステーション幻の1曲

Psdvd_1久しぶりにamazon.comで買い物。今回到着したのは『ハッピー・フィート』のDVDとこれ。パワー・ステーションでございます。はい、あのデュラン・デュランの2人と、シックのドラマーだったトニー・トンプソン、そしてロバート・パーマーというユニットですが、その当時はもう、シビレましたです、ハイ。で、なんで今頃これかというと、これは今までリリースされていたCDにDVDがおまけでつきました。いや、これではそそられません。最大の違いは、なーんとあの『コマンドー』のエンディングで使われた"Someday, Somehow, Someone's Gotta Pay"が収録されている事。もう2年前近くにリリースされていたそうですが、全然知りませんでした。えっ、この曲を知らない? まあ、確かに名曲でも何でもないのですからねぇ。でも『コマンドー』本編でシュワに大笑い、そしてジェームズ・ホーナーのスコアに興奮、そしてエンディングでパワー・ステーションが活動再開!という流れで、日本劇場で興奮した身としては嬉しい限りのリリースです。

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2007年4月 4日 (水)

十二人いない!

 昨日、BSでシドニー・ルメット監督の『十二人の怒れる男』がオンエアされていました。実はあることが確かめたかったので録画していました。それは12人ちゃんといるかどうか。

事の発端はDVDのリリース時でした。今日のオンエア時のサイズはヨーロピアンビスタ(1:1.66)のレターボックス。これは国内盤、米国盤のDVDも同じ仕様です。でも最初にアナウンスがされたときは「うそ」と思ったんです。だって1957年のモノクロ映画っていったら(しかも低予算)スタンダードだと思いますよね。ただIMDbにもアスペクトはビスタ(これを最初に確かめた時は1:1.85、でも今日見たら1:1.66だった)だったんでほーと思いました。

でもどうしても1ヶ所、おかしいのです。どう考えてもオリジナルはスタンダードじゃないの?と思える場面があるのです。本当に最後の最後、クレジットのラストで十二人を天井からうつす場面があるのですが、よーく数えると十一人しかいない。0001_1













(以下ほんのちょっとネタバレです)
一人分(陪審員第10番)、いすしか映っていないんです。この配置は途中でひとり感情的な議論しかできない男性が席の輪から離れてしまうのですが、その人の姿がない。そんなばかな。ひとりずつアップでキャストを紹介した締めの場面で、うつさないわけはない。001













ははぁ、さてはと思い、VHS版を確認したら、ちゃーんと画面下にうつっておりました。つまりビスタのマスキングでいなくなってしまっていたわけです。
 私はオリジナルは製作年度から考えてもスタンダードがオリジナルだと思っていました。それとも本当にヨーロピアンビスタがオリジナルサイズ? と思いNHKのオンエアをチェックしたのですが、昨日のも11人。DVDと同じ構図でした。でもこのラストをみたら余計にそう思いませんか? だってもしビスタフレームだってわかってたら、ちゃんと12人揃っている場面を使いますよね。今までもいろいろビスタのマスクで消えたものはありましたが、これはちょっと状況として考えにくいです。その当時の上映の際に、現在でいうところのスーパー35(オリジナルをフルフレームサイズで撮影し、上映時にマスクをかけて、ビスタ、もしくはシネスコサイズにする)みたいにマスキングしたとは考えにくいですし、それがなんのためにかも見当がつきません。

どなたか情報をお持ちの方(IMDbとかではなくて、公開当時の状況をご存じだったり、はっきりとわかる資料がある方)、ぜひぜひお願いします。

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2007年4月 3日 (火)

『俺たちニュースキャスター』

B000aliz6☆1/2 ウィル・フェレルにおもしろさを感じない。
 ウィル・フェレル主演の未公開作だったのですが、やっぱり私、この人がどうも生理的に合わないようです。彼の演技が全然おもしろくない。『プロデューサーズ』でも辟易しました(『エルフ』はハマッてたけど)が、この作品でもどうも彼のやりすぎがハナにつきます。今年のオスカーナイトだって、ウィル・フェレル、ジャック・ブラック、そしてジョン・C・ライリーの3人が披露したナンバーでは一番ダメダメだったと思いました。
 作品自体も、これ、もっと普通に(?)やったらすごく面白くなったんじゃないかという素材です。それも余計に残念に感じた要素です。

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2007年4月 2日 (月)

だから本当だってばさ(涙)

 昨日のブログを本気にしていない人が多すぎ。エイプリルフールには本当のことを言っても信じてもらえない世の中って・・・(涙)

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2007年4月 1日 (日)

異動になりました

 一応みなさまにご報告です。
4月で異動になりました。3月までの勤務先は4年間籍を置いた事になります。私の業界ではこのご時世でもやや短めかもしれません。今回の異動は自分が希望しました。このブログもいろいろな方がみているので多くは語りませんが、私ぐらいの年齢になるとしがらみばかり増えてきて、前の勤務先では正直モチベーションの維持が大変でした。今回お世話になる勤務先は、私がこの業界への第一歩を記したいわば古巣です。心機一転、自分をしっかりとみつめなおしていきたいと思います。

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