『サイドウェイ』
☆☆☆1/2 苦みを味わう大人の映画。
たまりにたまったHDDレコーダーの在庫整理と思って、あまり期待せずにみはじめましたがこれが絶品でした。アレクサンダー・ペインの前作『アバウト・シュミット』とは月とすっぽん。ただ単に口当たりの良い悪いだけの問題ではありません。あちらが滑稽なほど救いがない人々の営みをストレートに描き、逆にそれがイヤミになるほどでしたが、今回はそれがスパイスとして効いています。私はワインの知識は皆無ですが、この作品では彼のワインの知識が深いかどうかがポイントなのではなく、ワイン好きの彼がどのような人生を歩むかにあるので、彼が語る様子を楽しめました。ポール・ジアマッティはいい役者になりましたねぇ。『レディ・イン・ザ・ウォーター』でも書きましたが、大人のダメ男を観客の許容範囲ギリギリのラインで演じられる繊細さを持っています。かつてのジャック・レモンのような役もやってほしいなあ。ヴァージニア・マドセンの変わらぬ美しさも輝いています。
飲酒運転をしまくっているのはちょいとひっかかりますが、人生の途中で感じる中途半端な感情をきちんとスケッチした良質の人生ドラマです。酸いも甘いもあります。そしてあの幕切れ。苦みを味わう大人の映画です。
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