「どこかで誰かが見ていてくれる」
ここしばらく本がずっと積ん読になっていたので、ようやくパラパラと。
一時のブームから『ラスト・サムライ』への出演で、もはや一介の斬られ役とは呼べない福本清三さんについての本。でも実は注目は筆者の小田豊二氏。この人は『日本国憲法』で注目を集めた後、『幇間の遺言』『のり平のパーッといきましょう』などを著しています。インタビューをもとにしているのですが、それをその人が話しているように書きおこしている聞き書きスタイルになっていて、いつもながらその力量には敬服します。何しろ福本さんや三木のり平さんをここまでしゃばれせて、心を開かせているのですから。また悠玄亭玉介師匠や三木さんといった「芸」を持つ人々への取材経験は今回も存分にいかされています。欲のない福本さんと何もかも素直に受け止める小田氏の、まるで幸福な師弟関係のような本です。また東映京都の歴史としても興味深く読むことができます。
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