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2007年1月27日 (土)

NHK「チャップリン 世紀を超える」

 これ実は7月にハイビジョンでやっていたそうなのですが、ちっとも知りませんでした。11月に地上波放送されたものをようやくみました。いやあ、すごかった。新事実やめったにみられないもののオンパレード。チャップリンファンは必見でした。今回のポイントは奇跡的に残ったアウトテイクス。まず驚くべきことはチャップリンが自作のアウトテイクスをすべて保管していたこと。これがまずスゴイ。その当時ではきわめて珍しい発想だったはずです。しかもそれらは創作の秘密が漏れるのを極端に嫌い死後すべてのの焼却を遺言していたにもかかわらず残ったのだから、奇跡としかいいようがないです。その数、約400巻。
 で、まず出てきたのが短編『移民』。実はこの作品がテイクを追うごとにどんどん変化していた様子がわかります。この頃からチャップリンがすごいこだわりを持って作っていたことは有名で、彼の伝記映画『チャーリー』の中にも、ペネロープ・アン・ミラー演じるエドナ・パービアンスが、豆を何度も食べさせるのに辟易しているシーンがありますが、それはチャップリンが完璧な演技を求めていたと思っていました。でも実はそこには創作上の変化があったのだとわかりました。そういった意味でこのアウトテイクスはまさに天才喜劇王の試行錯誤の証明だったわけです。彼が完全主義者だったことがわかるエピソードはいろいろ知られていますが、今回の極めつけはやはり『独裁者』がらみでしょう。
 まず驚きだったのは撮影風景がカラーで残っていたこと。カラーはようやく普及の道を歩み始めた頃で、撮影現場が記録されているだけでもびっくりなのに、カラーであることもさらにビックリ。さらにその場面が『独裁者』当初のエンディングで、しかもそれは兵士らが武器を捨て、踊り始めると言うものだったそうです。そしてとどめが幻の遺作『ザ・フリーク』のスケッチ・台本。ああ、淀川さんにみせたい!(笑)
 正直伊武さんの司会や福本さんのゲストはどうかと思いましたが、それでもチャップリンファンは絶対に絶対にみてくださいねという番組でした。はい、もう時間来ました! サヨナラ、サヨナラ、サヨナラ。

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