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2006年12月 1日 (金)

ありがとうU2

 少し冷静になったので(汗)振り返ってみたいと思います。ライブ自体はやっぱりさすがだと思いました。DVDでみて感じていたのですが、今振り返っても彼らのターニングポイントはやはりひとつ前の"Elevation Tour"だった気がしてならないのです。あの時のアルバムには素直にロックンロールを演奏する歓びにあふれていて、ライブでもすごくファンと一体感があった。それで今回のライブに私は今までの来日公演とは違ったオーソドックスなものを感じたのだと思います。ただそこには複雑な気持ちもあります。"Love Comes to Town TOUR"でみせた暑苦しいほどのまっすぐさ。"Zoo-TV Tour"での先鋭かつ圧倒的なパフォーマンス。"Pop-Mart Tour"での毒とアイロニー。そういう独創性は感じられませんでした。それに正直なところ、説教がましさを感じたところがなかったわけではありません。そういった部分では不満もあります。
 でも私が感慨深かったのはそれでも彼らは前に進んでいくのだということをあらためて実感したことです。ロックンロールはアートでもありビジネスでもある。彼には伝えたいことがあった。そこには紆余曲折もあってもどかしいことが多かった。いろいろな手段でやってきた。拳をふりあげて叫んでも届かなかった。アイロニーに包んでもダメだった。所詮人間は自分勝手だ。でもボノは歌い続けた。あきらめるのは簡単。見て見ぬふりも簡単。敵対するのも簡単。ならばきれいなものも汚いものもすべて飲み込んで歌っていこう、そんな覚悟が近作2枚のアルバムの印象であり、ままならぬ世の中できっと彼はこれからも世界のことを考えながら歌っていくのだという覚悟をライブで感じました(だから今回は安部首相にも会ったのだろうし、ミュージックステーションにまで出演したのだと思います)。成熟という表現は似つかわしくないかと思いますが、また大きくなったんだなあということでしょう。
 ビートルズもストーンズも後追いでしかなかった我々80'sの洋楽世代がリアルタイムで体験できたことを誇れる数少ないアーティストです。私も彼らの1人のファンとして、20年以上、同じ時代の目撃者でいられたことがとても幸福に感じられた、そんな夜でした。

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