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2006年12月22日 (金)

『メリー・ポピンズ』

B00069blr☆☆☆  懐の深い物語が永遠に色褪せぬ輝きを放つ。
 なるほど、映画史に残るこのファンタジーミュージカルがなぜ人々に愛され続けてきたのかがよくわかりました。これは素晴らしいです。ここしばらくファンタジーものに食傷気味だった私にとって、とても新鮮でした。
 ファンタジーの面白さはありそうにない物語が、さも本当にあるように語られる点にあると思いますが、ここ最近の作品は映像のテクノロジーという力業で乱暴に押し切ろうとして失敗しています。この作品も当時としては画期的な実写とアニメーションの合成などの意欲的な映像は出てきていますが、少なくとも観客に想像力の押し売りはしていません。こういうナニーがいたらいいなという子どもの単純な興味も、こういう物語があったら素敵だなという大人の興味もみたせる懐の深さが物語にあります。ゆえに映像技術が稚拙に感じられるようになっても魅力が色褪せないのでしょう。エンディングのほろ苦さもこの作品がファンタジーとして一級品であることを証明しています。ファンタジーは脳天気な世界ではなく、現実を反映させながら展開されるのですから。ジュリー・アンドリュースの魅力もさることながら、ディック・ヴァン・ダイクのボードビリアンとしての面白さも最高です。
 ファンタジー映画の面白さを再認識させられました。大人から子どもまで楽しめる一品です。

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