« ゴールデン・グローブ賞ノミネート一覧 | トップページ | ワシントンD.C.映画批評家協会賞 »

2006年12月18日 (月)

訃報:岸田今日子

 女優の岸田今日子さんが12/17、脳腫瘍による呼吸不全のため東京都内の病院で死去しました。享年76歳。ちなみに元夫・仲谷昇さんは11/16に亡くなったばかりでした。一昨年に撮影し、親友・吉行和子と摩訶不思議な老人を演じた映画『ウール100%』が遺作となりました。
 1930年東京都杉並区生まれ。父は劇作家で文学座創立者の1人である故岸田国士。母の秋子も劇作家、姉は詩人の岸田衿子。舞台芸術に興味を持ち、裏方として文学座の研究生になったが、すぐに女優に転向。1950年に初舞台に立ち、文学座で「サロメ」などに出演した後脱退、劇団雲を経て演劇集団円の創立に参加。新劇女優として舞台に立ち続けた。勅使河原宏監督『砂の女』(64年)で、昆虫採集に来た男を砂の世界へ引きずりこむ女の役を演じ、海外でも高い評価を受けました。映画『破戒』『秋刀魚の味』で1962年の毎日映画コンクール女優助演賞を受賞。『八つ墓村』でも独自の存在感を示した。また独特の声質と語り口で「ムーミン」の主人公の声(これは娘のために取り組んだ仕事だそうです)でも人気を集めました。94年に紫綬褒章、99年に紀伊国屋演劇賞個人賞、著書「妄想の森」で98年に日本エッセイスト・クラブ賞などを受賞しています。
 私にとってはまずムーミンなのですが、忘れがたい彼女の仕事として小学生の時に聴いたラジオドラマ「風の中の斎王」があります。放送が夜遅くだったために、いつも録音して聴いていたのですが、これは大のお気に入りで廊下の雑巾がけや風呂掃除の手伝いをしていたときのBGMがわりになっていました。映画ではやはり『砂の女』ですが、それにもまして『この子の七つのお祝いに』もすごかったです。ご冥福をお祈りします。

|

« ゴールデン・グローブ賞ノミネート一覧 | トップページ | ワシントンD.C.映画批評家協会賞 »

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 訃報:岸田今日子:

« ゴールデン・グローブ賞ノミネート一覧 | トップページ | ワシントンD.C.映画批評家協会賞 »