硫黄島をめぐる思惑
アメリカのワーナー・ブラザース映画は、『硫黄島からの手紙』の全米公開を07年2月9日から06年12月20日に繰り上げることを決定したそうです。硫黄島の戦いをアメリカの視点から描いた『父親たちの星条旗』は日米共にすでに公開中で、日本の視点で描いた『硫黄島からの手紙』は日本で先行公開後、アメリカでも年内に公開することになった次第。一応オフィシャルなアナウンスではスピルバーグがそう勧めたとか。これで2作とも来年のアカデミー賞のノミネート資格を得ることになったわけですね。『父親たちの星条旗』も賞賛は集めたもののオスカーの大本命とは言えない雰囲気になっていました。これはやはり最初から二部作とアナウンスしていることで、そちらをみてからだという日和見的なレビューも少なからずあったこともあったのではないでしょうか。ただ相乗効果が期待できる一方で、票を奪い合う可能性もあるので、この決断は興味深いものがあります。
個人的な見解ですが連続公開による興行としてのてこ入れもあったでしょうし、関係者が、『硫黄島からの手紙』が作品として賞レースで勝負できるとふんだこともあったのだと思います。つまり共倒れになる可能性よりも後者に票は集中するであろうと読んだ。そうすると年明け公開(つまり翌年の対象)は絶対に不利ですからね。そうすると後で公開になる本作は『父親たちの星条旗』の好意的な評価までとりこめる可能性があります。今年のオスカーレース、ひょっとしてひょっとするかもしれません。
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