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2006年11月 3日 (金)

『チャーリーとチョコレート工場』

20061105224717☆1/2 影がないので想像力を刺激しない。
 やっぱりダメだ。私はティム・バートンとはどうにも相性が合わないことをあらためて再認識しました。いやもう本当に合わない。みる前はそこそこ期待していたのです。少なくとも『ビッグ・フィッシュ』のようなことはないだろうと。でも結局バートンの成長のなさのみを実感した次第。
 映像センスは素晴らしいと思います。フィリップ・ルースロの映像設計はまるで動く絵本で、デジタルエフェクツの使い方も効果的。ダニー・エルフマンの音楽にも久しぶりに感心。ウンパ・ルンパの歌なんて最高です。『2001年宇宙の旅』のパロディも笑わせてもらいました。ところがバートンの作品にはみたままの映像をみたままで感じ取ればよいので、影がない。隠れている部分がないからみている人の想像力を刺激しない。ゆえに物語の底も人物造形もきわめて浅くなってしまうのです。それはこの作品も同じ。しかも近作では必要以上に自分を反映した設定が多すぎます。この作品の家族というモチーフ(特に父子のつながり)もまさにやりすぎでしょう。ウォンカ演じるジョニー・デップは彼ならやりたそうなキャラクターだとはよーくわかりますが、私はミスキャストだと思います。ピュアではあるがカリスマが不足しています。ビンセント・プライスが『シザーハンズ』で演じた役回りをクリストファー・リーが演じていますが、本当に大活躍の昨今ですね。
 結局私が彼の作品で好きなのは『ナイトメア・ビフォア・クリスマス』だけ。これも厳密に言えばヘンリー・セレックの力が大きい気がしますし。次は何を作るかわかりませんが、クリエイターとしての彼の限界が『ビッグ・フィッシュ』とこの作品でみえてしまった気がします。

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