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2006年11月30日 (木)

U2(さいたまスーパーアリーナ)

U2132 今日行ってきました。前回が1998年3月ですから8年ぶりの来日となります。さいたまスーパーアリーナは初めてでしたが、やはり神奈川県民には遠い場所ですね(笑)。さて実は心配な出来事がありました。それは私のチケットがオールスタンディングであること。そりゃオールスタンディングの経験ぐらいはありますが、あくまでもライブハウス規模。アリーナクラスでのスタンディングは初めて。一番の心配はやはりトイレです。前日の話などをブログでチェックすると18:00開場で、スタートが20:00ちょい前。それで2時間強で終演が22:00すぎ。ええっ4時間近くも我慢! トイレへの移動の場合アリーナブロックでは移動に相当の根性がいることもわかりました。前日から少し水分を控えめにしておいたのでガマンガマン。
 さて開場して整理番号順に中に入るとビックリ。まだまだ人が少ない!。おかげでステージ中央の前方10m前後の位置をキープできました。だってあなた、サウンドチェックでドラムセットの音がPA通さずダイレクトに聞こえちゃうぐらいなんですって。大枚はたいてヨカッタ。もう根性決めてラッシュの電車のような状態で待つしかないでしょう!

U2 - Vertigo Tour 2006.11.30 @さいたまスーパーアリーナ
City of Blinding Lights
Vertigo
Elevation
Until The End of the World
New Year's Day
Beautiful Day
Angel of Harlem
The First Time
Sometimes You Can't Make It On Your Own
One Tree Hill
Sunday Bloody Sunday
Bullet The Blue Sky
Miss Sarajevo
Pride (in the Name of Love)
Where the Streets have no Name
One

The Fly
Mysterious Ways
With or Without You

Window in the Skies
Desire
All I Want is You 

 最初の3曲でいきなりトップギアへ! 死ぬかと思いました。そうですねぇ、新宿方面の小田急の急行が地震で揺れまくるという表現で、わかってもらえるでしょうか。だってあなた向かいのホームにメンバーがいるぐらいの距離ですぜ! ここまで接近したのはもちろん生まれて初めてですから、興奮するなというほうが無理でしょう。
 総括は明日にするとして、ライブ後で自分の気持ちを整理しました。感じたことを羅列。
・みんな年とった(特にアダム)。
・オレも年をとった(4時間立ちっぱなしは死にそうだった)
・エッジのギターはしみた。
・会場の反応は近作2枚の曲の方がよかったので最近のファンの方が比率は上だったのかな。
・自分のみたU2の来日公演では一番オーソドックスなライブだった。
おじさんとしてはですねぇ、やっぱり最後のAll I Want is Youにしみました。私、この曲はライブでは初体験。やっぱりいいですね、この曲。今回の3回公演はすべてセットリストが微妙に変わっていたそうですが、個人的にはこの日のセットリストが一番気に入っています。うんうん。

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2006年11月29日 (水)

訃報:小田切みき

 女優小田切みきさんが11/28、心臓疾患のため神奈川県鎌倉市の自宅で死去しました。享年76歳。喪主は夫で俳優の安井昌二さん(『ビルマの竪琴』)。
東京都出身。『十代の性典』『ひめゆりの塔』に出演しています。一般的にはテレビドラマ「チャコちゃん」シリーズなどで活躍した四方晴美さんの母というのが通りがよいらしいのですが、映画ファンにはなんといっても黒沢明監督の『生きる』でしょう。あの志村喬演じる末期ガンの男を照らす一条の光のような存在は忘れられません。ご冥福をお祈りします。

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2006年11月28日 (火)

U2チケット入手顛末記

 いよいよU2のライブまであと2日です。今年なんと3回目のライブ。こんなことは子どもができてからはもちろん結婚後、いや社会人になってからも久しくなった出来事です。で。今日はその前にチケット入手騒動の顛末記。みなさんもご存じの通り、当初予定されていた公演が一度延期になりました。当初の予定では日産スタジアム1回こっきりだったわけですね。その時はいさぎよくチケットぴあで定価で購入し、普通にみるつもりでした。だってヤフオクとかではすごい値段だったし、まあ日産スタジアムなんかではどうなるかわかりませんものね。しかーし。やはりU2です。私が一生ついていくバンドですもん。しかも延期公演は3日間。値段も少しは手が届くところにくるかもしれない! というわけで買っちゃいました、ヤフオクで2日目の11/30のチケット、整理番号のいいやつを(笑)。金額はそれなりにしましたが、U2は基本的に在京公演では全部行きたい私としては、3回行けば定価でも3万円。まあそれに毛がはえた(ちょっと長めかもしれませんが(大汗))金額で買えました。さてどうなることやら。

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2006年11月27日 (月)

DVD『ザ・ベスト・オブU2 18ビデオ/U2』

20070103_213621706_1 いよいよ今週だあ! というわけでこちらはビデオクリップ集。収録曲はCDと一緒で、こちらは19曲収録なのは"Waik on"が2バージョンあるため。すでに彼らの90年代のクリップ集はリリースされているので、80年代のものと「ヴァーティゴ」のものが価値有り!といったところでしょうか。あとは「魂の叫び」のクリップ類も含めた80年代のものがDVD化されることを待ちましょう。よし準備完了。いよいよ、本当にいよいよです。
B-AVG.-6.64MB/sec.

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2006年11月26日 (日)

ディズニーデジタル3-Dシネマと3Dバージョン

 ディズニーデジタル3-Dシネマのシステムを整理します。このシステムはReal-D社の3D映像映写システムで、DLPプロジェクタの映画館で導入できるシステムです。立体映像のシステムとしては偏光メガネによるタイプに分類されますが、最大の特徴はシングルプロジェクターでいけるにもかかわらずカラーをきちんと再現できること。しかもDLPの場合は後から3D映像投写機能だけを追加できることがあげられます。今までのシングルプロジェクタータイプの立体映像の場合、輝度が落ちる、色が再現できないなどの問題がありましたが、DLPによって一気に解決してしまいました。上映システムは144コマ/秒。通常は24コマ/秒なので6倍のコマ数になりますが、内訳は半分の72コマ/秒ずつ左目用と右目用の映像にわりあてられて、それが交互に映写されます。映像の送り出し側はドルビー社のドルビーデジタルシネマによってマネジメントされ、デコーダーを2台稼働させる事で、それぞれの眼用の映像を交互送出できるようになっています。そしてプロジェクタレンズ前には専用の偏光板が設置されて、それぞれの光を分けてスクリーンへ映すことになります。また観客がかける偏光メガネにも偏光板が使われており、左右の目で異なる映像を見ることで、立体的な映像に感じられるという仕組みになります。

  今回もうひとつの大きなポイントは10年以上前の2D作品が3Dにできたことでしょう。今回は視覚効果でおなじみのILMがオリジナルのネガをデジタルデータにとりこみ、それを3D上映用に加工(つまり上映で立体になるように偏光の数値を逆算して映像加工)しました。旧作はリバイバル時に3Dバージョンを作る事が現実的な選択肢として登場したのです。リバイバルの興行はホームシアターやDVDの普及で大きく落ち込んでいます。しかし思い入れのある作品に何度も足を運ぶのが普通のアメリカでは、付加価値をつけることでまた大きな戦力となるのかもしれません。

 で、『チキン・リトル』の後でわかったこと。それは日本独自の映像加工が不可能な事! 実は『チキン・リトル』には字幕版、吹替版がありましたが、実は吹替版には日本独自の映像(「恋のマイアヒ」で踊るチキン・リトル(汗))が付け加えられていたそうです。しかし3-D版にはそれはありませんでした。

 これにはメリットデメリットがあります。
・タイトル・クレジットの変更なくディズニー作品が楽しめる。
ふふふ、これでへんてこりんなイメージソングとはおさらばだーっ!(『ヘラクレス』)、吹き替え版で勝手に映像を変えるなー!(ブエナはタイトル映像を変える場合がある)、国際版なんていらないぞー!(『トイ・ストーリー2』が一部差し替えだった) 
・字幕が入れられない。
なので現在3-D版には吹替版か原語版(字幕なし)しか存在せず、したがって『ナイトメア・ビフォア・クリスマス』も原語版はノンスーパーだったわけです。まあ最近の公開作では字幕版のDLP上映をしてくれないブエナですので、まあ3D版があるだけでよしとしますか。

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2006年11月25日 (土)

『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス デジタル3-D版』

20061126011539☆☆☆ リバイバルの新たな再生方法。
 正直ただのリバイバル(たとえデジタルリマスターとかニュープリントであっても)だったら行くつもりはなかったのですが、Real-Dになったときいて反応してしまいました。国内上映は3ヶ所。うちオリジナル原語版(ただし字幕スーパーなし。この点は後日)はイクスピアリのみ。うーん、遠いなあ。まあ『チキンリトル』公開時に光学系を総とっかえしたイクスピアリのDLPも気になったし。
 しかしミュージカル映画のノンスーパーは辛かった(吹き替え版ではどうしてもみる気が起きなかった。そうでなくても最近ヒアリングのスキルは落ちているなあと実感しているのに、ミュージカルナンバーは過酷っすよ(涙)。デジタル上映自体はすごく綺麗で、なおかつとてもオリジナルが2Dとは思えない自然さでした。まあこのシステムはすごいですね。ひょっとしてリバイバルの大きな分岐点になる可能性がありです。
(シネマイクスピアリ13にて)

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『プラダを着た悪魔』

20061126014301☆☆☆ メリルの演技を見逃すのはもったいない!
 私はファッションとかブランドには無知で、正直どうしようかと思ったのですが、みてよかったです。楽しめました。少なくとも凡作ではないでしょう。
 まあ物語は正直テレフィーチャー程度の奥行きで、映像としてもそれほどみるべきものはありません(撮影監督がスコセッシ作品の常連ミヒャエル・バルハウスの子どもだったのにはびっくり)。マドンナの「ヴォーグ」を引っ張り出す音楽センスも言わずもがなです。では何がよいのか。そりゃあ、あなた。メリル・ストリープですよ。この作品は彼女の演技を堪能するためにあるのです。もう、お見事の一言。この一歩間違えるとただのギャグにしかならない役どころ(そう、『ワーキング・ガール』のシガーニー・ウィーバーのように)にリアリティを与え、主役を引き立てながら観客からも認められるキャラを造形し、少なくとも批評家筋の絶賛や賞レースとは縁の薄そうなこの作品に絶妙なスパイスを与える芸当は彼女にしかできません。ですからたとえアン・ハサウェイの役柄がいつもどおりでも、社会人一年生の時に誰もがぶつかるであろう壁に共感できる後味さわやかな物語になったのだと思います。スタンリー・トゥッチは儲け役。『ニック・フォーリン』のサイモン・ベイカーが出てきたのにはちょっとびっくり(でも役どころがあんな役なのでがっかり。というかパンフのプロフィールに『ランド・オブ・ザ・デッド』がないのに憤激)。
 これが単なるデートムービーだと敬遠してメリルの演技を見逃すのはもったいない!と思います。まあ野郎ひとりでみるには気後れしましたが(笑)

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『カポーティ』

20061126014258☆☆☆ クリエイターのパンドラの箱。
 フィリップ・シーモア・ホフマンにオスカーをもたらした本作は、まるでパンドラの箱のようにのぞいてはいけないものをみてしまったような気持ちにさせる一編でした。
 クリエイターの苦悩する姿は古今東西、魅力的な素材としてさまざまな取り上げ方をされてきました。それは人間が持つ倫理観の相反する部分、言いかえれば善悪の中でもがき苦しむ姿を凝縮している構図が垣間見えるからだと思います。目の前にある名声という富、才能あるアーティスト故に感じた傑作をものにできるという宝。しかしそれが自分の人生に痛みを伴う物であるとしたら。カポーティの苦悩が我々観客を揺り動かすのはまさにその部分です。ホフマンがオスカーをとったことは素直にたたえるべきです。この作品の彼は素晴らしい演技をみせてくれます。『セント・オブ・ウーマン』や『ツイスター』のどうでもよい役柄から振り返ってみても、彼の演技アプローチはユニークそのものでした。そんな彼の集大成のひとつといえると思います。しかし本作で一番輝いていたのはやはりキャスリーン・キーナー演じる。カポーティとは対照的な人生を歩む(この作品中では)節度ある行動の彼女が作品全体のアクセントになっています。
 ホフマンとキーナーの芝居を堪能するだけでも価値がある力作です。
(シャンテシネ2にて)

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2006年11月24日 (金)

訃報:フィリップ・ノワレ

 フランスの俳優フィリップ・ノワレが、11月23日にガンのため亡くなりました。享年76歳。国立民衆劇場の舞台で活躍するかたわら、『地下鉄のザジ』『イル・ポスティーノ』などを含む125本以上の映画に出演。1976年『追想』1990年『素顔の貴夫人』でセザール賞主演男優賞を2度受賞しています。
 日本では何と言っても『ニュー・シネマ・パラダイス』での映写技師アルフレード役でしょう。ご冥福をお祈りします。

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2006年11月23日 (木)

下の娘も大喜び!

 先週末の全米興収ランキングで首位になったのがワーナーのフルCGアニメ『ハッピー・フィート』。個人的に興味を持ち始めているのですが、私以上に大喜びなのが下の娘。火付け役はJR東日本のスイカのキャラクター、スイッピで、スイカで支払いができるショップに飾られているさまざまな宣材をみては「ぎん! ぎん!」と絶叫しています。そんなわけで我が家のテレビでは、先日もらったワーナーのシネコンキャンペーンDVDに収録されているトレーラーがエンドレスで再生中です。

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2006年11月22日 (水)

CD「18シングルズ (初回限定盤DVD付) /U2」

20070103_213621706 いよいよ来週だ! そんなわけでリリースされたU2のベスト盤。どうせ私のようなコアなファンはすべてのアルバムを持っていますし、そうでなくても彼らはすでに2種類の年代別ベスト盤が出ています。新曲は2曲のみですから普通はシングルでいいわけですが、今回購入したのはDVD付きの限定盤。はい、はっきりいってCDの方がおまけのようなものです。今回の特典DVDは、なんとヴァーティゴツアーのミラノ公演の模様を約60分収録したもの。しかもリニアPCMやdts音声で収録しているんですぜ。冷静にみても、単なるおまけとは言えないようなディスク。国内盤の差額はわずか1000円のみ。間違ってもCDのみで買ってはいけません。なおリージョンオールなので米国盤が安ければそちらでもOKでしょう。

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2006年11月21日 (火)

訃報:ロバート・アルトマン

 ロバート・アルトマン監督がガンに伴う合併症のため11/20にロサンゼルスで亡くなりました。享年81歳。遺作はメリル・ストリープ、ケビン・クライン、リンジー・ローハンなど豪華スターが共演した人気ラジオショーの舞台裏を描く群像劇『今宵、フィッツジェラルド劇場で』。ムービーアイの配給で、2007年春日本公開予定。その後賞品のピックアップトラックを勝ち取るまでを描いた『ハンズ・オン・ア・ハードボディ』(原題)の撮影に入る予定でした。
 1925年ミズーリ州生まれ。ハリウッドの大作主義に背を向け、群像劇を得意とし、鋭い洞察力と辛口なユーモアで人間の本質に迫る傑作を次々と生み出したアルトマン監督は、ベトナム戦争への批判を込めたブラック・コメディー1970年の『M★A★S★H マッシュ』でカンヌ国際映画祭パルム・ドールを受賞、世界的な名声を獲得しました。1980年の『ポパイ』の興行的失敗で一時干されるが、1992年の『ザ・プレイヤー』で復活。『ロング・グッドバイ』『ナッシュビル』『ショート・カッツ』『ゴスフォード・パーク』『クッキー・フォーチュン』などの傑作を生み出しました。アカデミー賞では5度ノミネートされるが、いずれも受賞を逃し、2006年のアカデミー賞でついに特別功労賞(名誉賞)のみを手にしています。
 アルトマン監督作ではやはり『ショート・カッツ』でしょうか。すごい作品でした。ご冥福をお祈りします。

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2006年11月20日 (月)

『ソウ2』

Saw2 ☆☆ 二番煎じ。
 すっかりハロウィンシーズンの定番として定着した感がある人気シリーズの2作目です。1本目が反則ぎりぎりだったと個人的に感じていたので、はたしてああいうシチュエーションをどう引き継いでいくのかに興味がありましたが、やはり二番煎じを逃れられませんでした。
 途中で1作目の犯人を登場させたことで少しだけ目先を変えたものの、結局謎解きとしての驚きは希薄になります。するとあとは残酷描写がエスカレートするだけというのは、まあある意味当然の展開です。いや私もその手を毛嫌いはしていないので、心意気はかっています。ただこの描き手たちにはそういう視覚的なパートでの美的センスがないように感じます。
 パート3もあるんですね。どうですか、もうここまできたらパズルスリラーなんて謎解きのカタルシスを放棄して、あとはひたすら残酷描写のみをウリにするというのは。そうすれば『13日の金曜日』シリーズのようになれますよ。望むのであればですが。

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2006年11月19日 (日)

DVD『ブラック・レイン』(2枚組)

20070103_133844903 松田優作の遺作となったリドリー・スコット監督作品が2枚組になって再リリース。基本的な仕様の違いは、前回はノンスクイーズだったが今回はスクイーズ収録され画質は大幅に向上。音質は5.1chEX仕様となったがそれほどの変化は感じられなかった。また本人ではないものの日本語吹替が収録された。しかし注目はなんと言っても映像特典。本編ディスクは米国盤と同仕様。コメンタリーもドキュメンタリーも見応え充分だったが、日本盤はさらに独自の映像特典ディスクが付加されている。しかも中身は出演者インタビューや松田優作のオーディション映像など、ファン感涙のものばかり。絶対に買いの1枚。
B-AVG.-6.0MB/sec.

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2006年11月18日 (土)

『ポカホンタス』

20061126011536 上の娘がシアタールームでみたがったので、私もちらちらと。初めて映画館でみてから久しぶりの鑑賞になりましたが、あの頃と較べると、私自身がアメリカ史に詳しくなってポカホンタスがとても有名な話であることがわかったり、また今年は『ニュー・ワールド』をみていたりで、受け取り方も変わったと思います。劇場でみた当時も期待したような出来ではなかったと感じましたが、やはりこの作品のこの描き方はひどすぎるなあと思いました。ディズニーアニメにネイティブアメリカンが登場するだけでも画期的ではあるのですが、高見からみている視点、そしてあの史実を単純明快な物語に置き換えたことへの違和感はどうしてもぬぐえないのです。だって『リトル・マーメイド』の時だって「人魚姫」をハッピーエンドにしちゃうんですよ。
 今度はもうちょっと名作をみたがるようにしむけたいと思います(笑)。

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2006年11月17日 (金)

硫黄島をめぐる思惑

 アメリカのワーナー・ブラザース映画は、『硫黄島からの手紙』の全米公開を07年2月9日から06年12月20日に繰り上げることを決定したそうです。硫黄島の戦いをアメリカの視点から描いた『父親たちの星条旗』は日米共にすでに公開中で、日本の視点で描いた『硫黄島からの手紙』は日本で先行公開後、アメリカでも年内に公開することになった次第。一応オフィシャルなアナウンスではスピルバーグがそう勧めたとか。これで2作とも来年のアカデミー賞のノミネート資格を得ることになったわけですね。『父親たちの星条旗』も賞賛は集めたもののオスカーの大本命とは言えない雰囲気になっていました。これはやはり最初から二部作とアナウンスしていることで、そちらをみてからだという日和見的なレビューも少なからずあったこともあったのではないでしょうか。ただ相乗効果が期待できる一方で、票を奪い合う可能性もあるので、この決断は興味深いものがあります。
 個人的な見解ですが連続公開による興行としてのてこ入れもあったでしょうし、関係者が、『硫黄島からの手紙』が作品として賞レースで勝負できるとふんだこともあったのだと思います。つまり共倒れになる可能性よりも後者に票は集中するであろうと読んだ。そうすると年明け公開(つまり翌年の対象)は絶対に不利ですからね。そうすると後で公開になる本作は『父親たちの星条旗』の好意的な評価までとりこめる可能性があります。今年のオスカーレース、ひょっとしてひょっとするかもしれません。

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2006年11月16日 (木)

三百人劇場閉館

 年内いっぱいで閉館だそうです。全然知りませんでした。ここは全貌と銘打って特集上映をしてくれる希少な場所でした。でも一番ショックだったのはこういう情報が自分のアンテナに引っかからなくなったこと。うーん。

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2006年11月15日 (水)

『絞殺魔』

☆☆1/2 犯人を断定的にみせない個性。
 柳下毅一郎氏をはじめとしてさまざまなところで絶賛されていたので、気になっていた1本がWOWOWでオンエアされました。しかもこれ、まだ日本ではソフト化されていないのです。実際にあった連続殺人事件をベースにしたこの実録ドラマは、なるほど凡百のドラマとは違う異様な緊張感に満ちていました。
 この映画がユニークな点として、殺害にいたるまでのプロセスを観客にみせる時に犯人を断定するような描き方をせず、スプリット・スクリーンを使って、観客に提示するかのようにみせていることがあげられます。これによって現実には解決していないこの事件の重要なカギを握る容疑者が描かれる後半、はたして彼が本当に真犯人であるかを観客に考えさせる構造になっています。トニー・カーティス演じる容疑者の描き方も独創的で、普段は明るい役柄の多い彼をキャスティングした時点で成功していると言えるでしょう。反面そちらを支えるために犠牲になったのは警察側の描き方で、実際の捜査状況がそうであったのかもしれませんが、あまりにも右往左往している様子が緊張感をぶちこわしています。
 傑作ではないと思いますが、一見の価値はある力作です。

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2006年11月14日 (火)

電源容量

 私が今、自宅で利用しているのはデスクトップ2機。共に自作機でキューブ型ベアボーンをベースに組んでいます。1台は汎用、もう1台は映像編集用。ところが映像編集用機が妙な動作を繰り返すようになりました。DVDドライブにDVDディスクを挿入すると機械が勝手に再起動するのです。最初に「ひょっとしてウィルス?」と疑いましたがシロ。何かしらのハードのトラブルかと思ったのですが、いろいろと考えた結果、思い当たったのが電源容量。ひょっとしてと思って計算してみたらぎりぎりアウトでした。
 実はこの結論が出てくるまでに2ヶ月。パーツもいろいろ交換。原因の切り離しでもウロウロ。電源とはちっとも考えなかったのです。キューブ型の前はタワー型をずっと使っていて電源問題は皆無。キューブ型を使うようになって5年近くになりますが、こうやって思い返してみると実は電源?と思い当たるトラブルもちらほらとあったのかも。そこそこPC歴が長いくせに(まだwindowsの影も形もなかった頃からですから)こういうトホホがあると、まだまだよのうと思い知らされます。

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2006年11月13日 (月)

『炎のメモリアル』

20061126011532☆☆☆ 描き方は誠実だが、浅く紋切り型。
 消防士を描いたこのドラマ。『バックドラフト』のようなスペクタクルはありませんが、その分、日常をきちんと描くという誠実さを感じました。しかし描き方は浅いし紋切り型。悪い意味でテレフィーチャー的でした。まるでフジテレビみたいな感じです。ドラマとしての重みに欠けています。それはきっと彼らの苦悩を感動の材料として格好良く描いてしまったことと、回想形式のドラマにしてしまったことに問題があったように思います。ただ最後のジョン・トラボルタ演じる上司のスピーチが抜群によく、これですべてのもやもやが帳消しになり、みおわった後によい作品をみたような気持ち(錯覚?)になれます。するとあら不思議、平凡なそれまでのやりとりまで、何かいいものをみてきた気がするのです。この点もテレフィーチャー的です。あ、でもトラボルタは好演とはとても言えませんし、ホアキン・フェニックス(私はこの人、評価してます)も脇役陣(ロバート・パトリックとかバルサザール・ゲティが出ていた)も光っていません。
 過度な期待をするとはずしますが、私のように何も期待しないでみると楽しめる作品です。

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2006年11月12日 (日)

邦画だって変わらない

 誰か止める人はいなかったのかというツッコミを入れたくなる『椿三十郎』リメイクの記者会見。もう監督が森田芳光というだけで不安増大、織田裕二主演というだけでさらに百万倍。なぜそうまでして危険な賭けをするのでしょうか。しかも決して勝ちにはならぬ賭けに。結局リメイク天国と化しているアメリカだけでなく邦画界もネタ不足なのですね。
 07年にはみる前からヤバイにおいをプンプンさせている作品があります。共にコミックの実写化です。ひとつめは『どろろ』。原作が素晴らしいだけにもうあの主役2人のキャスティングだけで噴飯もの。もうひとつは『ゲゲゲの鬼太郎』。もうポスターみただけで…。猫娘の田中麗奈だけオモシロそうではありますが。

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2006年11月11日 (土)

『BU・SU』

 CATVでやっていた市川準の処女作『BU・SU』。ダビングだけのつもりでしたが、みいってしまいました。もともと好きでしたが、いやあ、やっぱりさすがです。芝居臭さのないささやく台詞の映画という存在自体が邦画では珍しいのですが、それをオフビートにしきらないところがこの人のセンスのよさですね。今回一番の発見は、なんとこれ、脚本が内舘牧子さんだったのですね、びっくり! 彼女の作品歴から言えばかなり初期の方で、映画の脚本自体も作品数が少ないと思いますから驚きもなおさらです。そうやって考えると製作当時脚本をめぐって市川監督がかなりやりたい放題やったというのも納得。神楽坂をはじめとするウォーターフロントと呼ばれる前の下町が描かれたのは彼女の功績としても、これは内舘脚本の匂いしないですもん(本当は芸者の卵のスポ根的物語だったらしい)。かつてこの市川監督が本当は原由子の曲を使いたくなかったと語っていました。まあ確かに世界観的には水と油、でも私はあってよかったと思います。はやくDVDになってほしい作品です。

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2006年11月10日 (金)

DVD: ZOO-TV LIVE FROM SYDNEY / U2(2枚組)

20061107_223544223 いよいよ今月末に来日がせまってきたU2の1993年のオーストリアでのZOO-TVツアーの模様がDVD化。以前出ていたLDが我が家ではかつて超ヘビーローテーション映像だったので喜ばしい限り。しかも今回はdts、DDだけでなくリニアPCMでも収録されている。つまりスペック的にはLDと同じクオリティで楽しめる! またこちらの2枚組バージョンにはボーナスとして、同じくZOO-TVツアーの別テイク映像も楽しめる。ファンは絶対に買い!
B-AVG.-8.46MB/sec.

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2006年11月 9日 (木)

DVD: CRASH Director's Cut edition(2枚組)

20061112_232427272邦題『クラッシュ』
 こちらは米国盤のディレクターズカット版。劇場公開版を収録した国内盤と比較すると約3分ほど長くなっているが、大きな追加シーンはテレンス・ハワード演じるテレビディレクターを結果的にライアン・フィリップが助けた後に、ロッカールームで同僚の黒人警官が意味深に彼をみるという場面。それから密入国する中国人をめぐる編集で微妙に追加されている。正直大きな印象の変化はないが、こちらはSRD-EXとdts-ES音声で収録。国内盤の画質・音質も悪くはないのだが、こっちはさらにその上をいく感じ。ナイトシーンが多いのもかかわらずシャープさが違う。コメンタリーは同じものだが、映像特典は圧倒的にこちらの方がよく、中でも削除シーンは要注目といえる。
B-AVG.-7.50MB/sec.

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2006年11月 8日 (水)

DVD『クラッシュ』(2005)

20060821_201224683 オスカーで作品賞を受賞したポール・ハギス初監督作。→review アメリカではディレクターズ・カット版もDVD化されているが、これは劇場公開版。東宝も最近常識的な金額でリリースするようになって何より。ただ残念ながら完璧なローカライズとはいえず特典はやや削られている。画質音質は良好な部類。
B-AVG.-7.39MB/sec.

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2006年11月 7日 (火)

DVD『カーズ』

Carsdvd ピクサー快心の最新作。→review ピクサーのDVDは品質的にもいつもびっくりさせられるが、まあHD映像にはかなわないものの、これもまたすんごいクオリティ。ただかなりにぎやかな色遣いなので色の調整は必要になってくるかもしれない。劇場でも感心したがサラウンドでぐるぐるする音場で、リアもダイナミックに響く(SRD-EX収録)。映像特典はピクサー作品にしては少なめ。
B-AVG.-7.18MB/sec.

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2006年11月 6日 (月)

訃報:レナード・シュレイダー

 脚本家のレナード・シュレイダー氏が11/2、心臓疾患のためロサンゼルスの病院で死去しました。享年62歳。
 1969年から数年間日本に滞在し、京大や同志社大で米国文学を教えたあと、日本文化への造詣の深さを生かして『ザ・ヤクザ』や『男はつらいよ 寅次郎春の夢』『太陽を盗んだ男』などの脚本を執筆。『蜘蛛女のキス』ではオスカーにもノミネートされました。
 ちなみに弟はあのポール・シュレイダー。何と言っても『太陽を盗んだ男』ですが、兄貴と組んで作った『MISHIMA』も忘れてはなりません。なんで『太陽』も『憂国』も上映できて、これは上映できないのかがわかりません。もうそろそろ大丈夫なのでは?
 ご冥福をお祈りします。

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2006年11月 5日 (日)

『ジョージ・マイケル 素顔の告白』

Wp12☆ 表面的。
 ワム!で大ブレイクしたミュージシャンの半生を追ったドキュメンタリー。なのだが、これがどうしようもない駄作でした。アーティストとしての才能は素晴らしいものがあるだけに、ぜひもう一歩突っ込んでもらいたかったのですが、毒にも薬にもならない表面的な構成になっています。これではジョージ・マイケルもつきあってられなかったのではないでしょうか。いや、逆に彼にとっては都合がよかったのかもしれませんが。アンドリュー・リッジリーの実はもっと言いたいことがあるんだが・・・という表情が印象的でした。

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2006年11月 4日 (土)

『大脱走』

20061105224721☆☆☆1/2 名人芸。
 ずーっと昔にテレビでみて(そのときは前後編の2週放送でした)、それ以来の再会です。いやあ本当にハイビジョンっていいもんですね!と言っても別に水野氏の解説でみたのではなく、確か荻雅弘氏が解説をつとめていたTBS系での放映ワクでした。
 で、やっぱりこれはスゴイです。3時間近くきっちりみせる娯楽映画の鑑。見せ所をきちんと押さえ、サスペンスもきっちり。しかもキャラクターの描き方がシンプルで饒舌。ジョン・スタージェスの演出の腕が冴え渡ります。私にとっては後追いの作品ですが、リアルタイムだった映画少年にとってはきっと文句なしに好きな作品でしょうし、娯楽映画の教科書として残しておきたい名作です。

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2006年11月 3日 (金)

『チャーリーとチョコレート工場』

20061105224717☆1/2 影がないので想像力を刺激しない。
 やっぱりダメだ。私はティム・バートンとはどうにも相性が合わないことをあらためて再認識しました。いやもう本当に合わない。みる前はそこそこ期待していたのです。少なくとも『ビッグ・フィッシュ』のようなことはないだろうと。でも結局バートンの成長のなさのみを実感した次第。
 映像センスは素晴らしいと思います。フィリップ・ルースロの映像設計はまるで動く絵本で、デジタルエフェクツの使い方も効果的。ダニー・エルフマンの音楽にも久しぶりに感心。ウンパ・ルンパの歌なんて最高です。『2001年宇宙の旅』のパロディも笑わせてもらいました。ところがバートンの作品にはみたままの映像をみたままで感じ取ればよいので、影がない。隠れている部分がないからみている人の想像力を刺激しない。ゆえに物語の底も人物造形もきわめて浅くなってしまうのです。それはこの作品も同じ。しかも近作では必要以上に自分を反映した設定が多すぎます。この作品の家族というモチーフ(特に父子のつながり)もまさにやりすぎでしょう。ウォンカ演じるジョニー・デップは彼ならやりたそうなキャラクターだとはよーくわかりますが、私はミスキャストだと思います。ピュアではあるがカリスマが不足しています。ビンセント・プライスが『シザーハンズ』で演じた役回りをクリストファー・リーが演じていますが、本当に大活躍の昨今ですね。
 結局私が彼の作品で好きなのは『ナイトメア・ビフォア・クリスマス』だけ。これも厳密に言えばヘンリー・セレックの力が大きい気がしますし。次は何を作るかわかりませんが、クリエイターとしての彼の限界が『ビッグ・フィッシュ』とこの作品でみえてしまった気がします。

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2006年11月 2日 (木)

『アイランド』(2005)

20061105224714☆☆ アクション場面が金太郎飴。
 マイケル・ベイ監督作にしては興行的にずっこけた本作。まあ大して期待はしていなかったのですが、まあその程度の出来映えでした。
 話はいわゆるデストピアSF系で『2300年未来への旅』に今風な設定をアレンジした感じ。いや実際にはかなり興味深い部分で特に生命の不可思議とか、感情を持つことというのは何度も描かれてきた世界です。でもまあマイケル・ベイなので倫理的な部分はすかーんと抜けましたね。この人はとにかく車が転がったり、追いかけっこしたりをひたすら描きたいので、そういうエモーショナルな部分への目配せはまったくなし! で、それが爽快感につながっていればまた話は別なのですが、やはりいくらなんでもこれじゃあねぇという感じです。なにしろ肝心なアクションパートに新鮮味がまったくないのです。多分『バッドボーイズ』とか『ザ・ロック』の一場面とか混ぜてもわかんないじゃないかというぐらい。この作品はブラッカイマー印がなくなった初めてのマイケル・ベイ作品なのですが、そういう意味でブラッカイマーが担っていたところがはっきりしてきます。つまりベタな展開と映像の新規開拓。仕掛けだけ派手でも仕方ありません。ユアン・マクレガーもスカーレット・ヨハンソンもどうでもいいキャラクター。おいしかったのはスティーブ・ブシェミとジャイモン・フンスー。特に後者はかっこうよかったです。
 ポップコーンムービーと呼ぶには重すぎ。デストピアSFと呼ぶには軽すぎ。マイケル・ベイのフィルモグラフィーでもファンにとっても存在感のない作品です。

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2006年11月 1日 (水)

『リロ&スティッチ』

Stich_1☆☆1/2 売れ線狙いがすべてを破壊した。
 この作品を語る上でディズニーアニメの歴史を考えておく必要があります。『ターザン』以降の作品ではもっとも興行的に成功したのもこれでした。後でディズニー製作のアニメーションを歴史的に振り返った時に、この作品は分岐点として取り上げられるかもしれないからです。
 ピクサーを傘下におさめ、ディズニー独自の企画はほとんど流れ、今後はフルCG作品で行こうということになったらしいですが、「何が問題なのかわかってないんじゃないか」と思わずにはいられません。そのことからきちんと述べたいと思います。巨大企業となったディズニーは商業的な成功を求める余り、90年代後半頃から迷走をはじめます。そんな中作られたのがこれ。そして 80年代前半までの暗黒期の中、『オリバー』で復調の気配をみせたディズニーアニメは続く『リトル・マーメイド』で、ディズニー伝統のおとぎ話という素材をミュージカル仕立てで(話の結末を変えてまで)明るく仕上げ、ブランドを復権します。この路線は『美女と野獣』『アラジン』へと引き継がれ、『ライオン・キング』ではエルトン・ジョン、『ターザン』ではフィル・コリンズといったミュージシャンとのコラボレーションへと発展します。このあたりがディズニーアニメが近年でもっとものっていた時期だと言えます。
 ところが1995年に『トイ・ストーリー』が登場し、さらには『バグズライフ』『アンツ』『シュレック』などのフルCGアニメが軒並みヒットして一般的に認知されてくると、ディズニーアニメは質、興行、両面で明らかに下降線に突入します。2001年に製作された『ラマになった王様』『アトランティス』の2本は興行批評両面で惨敗。挙げ句の果てに劇場用作品として続編を作ることをよしとしなかったディズニーが禁じ手を犯した2002年製作の『ピーターパン2』ですが(『トイ・ストーリー2』はもともとビデオ用作品だった。それがあまりにもよい企画内容だったので劇場用に方向転換された)、とても成功したとは言えません。こんな出来事に象徴されるように「売れ線狙いの安全パイ」な作品が観客の支持を得られるわけがありません。そんな中唯一ディズニーらしい独創性が残ったのがこの作品だと言えます。またそれでも本編には悪しきディズニーとのせめぎ合いも感じられるのです。
 ハワイとエルビス・プレスリーと破壊志向の生物。これはディズニーのカラーにはなかったものです。そしてすごく魅力的な要素でした。実際に中盤までは見応えのある展開です。両親を失った姉妹をめぐる物語は実写で描くと厳しい現実のみでになりますが、そこにスティッチが登場することで、実写では描き得ないファンタジックな要素を残しつつ、観客に厳しい現実を突きつけることになります。しかしただ破壊することだけが本能であるスティッチがリロとのコミュニケーションの中で何か新しい感情が芽生えてくるところが見せ場となるべきなのですが、物語は予定調和の方向へと進み始め、急に色褪せてきます。ディズニーではおなじみのコメディリリーフとなるエイリアン2人組も主役との絡み方がまったく的はずれでいきていません。結局この作品が売れ線を狙ったことで作品自体の魅力を損ねたことは本当に残念です。
 スティッチはディズニーの新しいキャラクターとして現在では認知度も高くなってきています。しかしスティッチがかわいいだけのキャラクターになり、売れ線狙いがディズニーアニメの息の根を止めた事実を思うと、かえすがえすも残念でなりません。

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