ディズニーデジタル3-Dシネマと3Dバージョン
ディズニーデジタル3-Dシネマのシステムを整理します。このシステムはReal-D社の3D映像映写システムで、DLPプロジェクタの映画館で導入できるシステムです。立体映像のシステムとしては偏光メガネによるタイプに分類されますが、最大の特徴はシングルプロジェクターでいけるにもかかわらずカラーをきちんと再現できること。しかもDLPの場合は後から3D映像投写機能だけを追加できることがあげられます。今までのシングルプロジェクタータイプの立体映像の場合、輝度が落ちる、色が再現できないなどの問題がありましたが、DLPによって一気に解決してしまいました。上映システムは144コマ/秒。通常は24コマ/秒なので6倍のコマ数になりますが、内訳は半分の72コマ/秒ずつ左目用と右目用の映像にわりあてられて、それが交互に映写されます。映像の送り出し側はドルビー社のドルビーデジタルシネマによってマネジメントされ、デコーダーを2台稼働させる事で、それぞれの眼用の映像を交互送出できるようになっています。そしてプロジェクタレンズ前には専用の偏光板が設置されて、それぞれの光を分けてスクリーンへ映すことになります。また観客がかける偏光メガネにも偏光板が使われており、左右の目で異なる映像を見ることで、立体的な映像に感じられるという仕組みになります。
今回もうひとつの大きなポイントは10年以上前の2D作品が3Dにできたことでしょう。今回は視覚効果でおなじみのILMがオリジナルのネガをデジタルデータにとりこみ、それを3D上映用に加工(つまり上映で立体になるように偏光の数値を逆算して映像加工)しました。旧作はリバイバル時に3Dバージョンを作る事が現実的な選択肢として登場したのです。リバイバルの興行はホームシアターやDVDの普及で大きく落ち込んでいます。しかし思い入れのある作品に何度も足を運ぶのが普通のアメリカでは、付加価値をつけることでまた大きな戦力となるのかもしれません。
で、『チキン・リトル』の後でわかったこと。それは日本独自の映像加工が不可能な事! 実は『チキン・リトル』には字幕版、吹替版がありましたが、実は吹替版には日本独自の映像(「恋のマイアヒ」で踊るチキン・リトル(汗))が付け加えられていたそうです。しかし3-D版にはそれはありませんでした。
これにはメリットデメリットがあります。
・タイトル・クレジットの変更なくディズニー作品が楽しめる。
ふふふ、これでへんてこりんなイメージソングとはおさらばだーっ!(『ヘラクレス』)、吹き替え版で勝手に映像を変えるなー!(ブエナはタイトル映像を変える場合がある)、国際版なんていらないぞー!(『トイ・ストーリー2』が一部差し替えだった)
・字幕が入れられない。
なので現在3-D版には吹替版か原語版(字幕なし)しか存在せず、したがって『ナイトメア・ビフォア・クリスマス』も原語版はノンスーパーだったわけです。まあ最近の公開作では字幕版のDLP上映をしてくれないブエナですので、まあ3D版があるだけでよしとしますか。
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