第63回ベネチア国際映画祭は9日夜(日本時間10日未明)の授賞式で閉幕し、中国のジャ・ジャンクー監督の『三峡好人』を最高賞の金獅子賞に選んだ。世界最大級のダム建設のために、住民の立ち退き問題が深刻化している三峡ダムが舞台。16年に別れた元妻を捜す男と、連絡が取れなくなった夫を捜しに来た女性(チャオ・タオ)を追いながら、変わりゆく街の景色や人々の暮らしを映し出していく人間ドラマで、今年の東京フィルメックスで上映が予定されている。なお本作品の製作にはかかわっていないが、これまでのジャ・ジャンクー作品には、北野武監督が所属するオフィス北野が長年、出資を続けてきたことで知られている。映画祭ディレクターのマルコ・ミュラー氏から金獅子のトロフィーを受け取ったジャ・ジャンクー監督は「長年、サポートをしてくれたオフィス北野に感謝します」と語った。
ほかの主な賞の結果は次の通り。
銀獅子賞(監督賞) アラン・レネ監督(『プライベート・フィアズ・イン・パブリック・プレイシズ』)
銀獅子賞(発見賞) エマヌエーレ・クリアレーゼ監督(『ゴールデン・ドア』)
審査員特別賞 『ドライ・シーズン』(マハマト=サレ・ハルーン監督)
男優賞 ベン・アフレック(『ハリウッドランド』)
女優賞 ヘレン・ミレン(『クイーン』)
特別獅子賞 ジャン=マリー・ストローブ、ダニエル・ユイレ両監督
技術貢献賞 エマニュエル・ルベツキ撮影監督(『トゥモロー・ワールド』)
脚本賞 ピーター・モーガン(『クイーン』)
マルチェロ・マストロヤンニ賞(新人俳優賞) イジルド・ル・ベスコ(『アンタッチャブル』)
オリゾンティ賞 『馬背上的法庭』(リゥ・ジェ監督)
オリゾンティ・ドキュメンタリー賞 『ウェン・ザ・レビスス・ブローク』(スパイク・リー監督)
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