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2006年8月 2日 (水)

『時をかける少女』

20060829_211618970☆☆☆1/2 アニメならではの存在理由がここにはある。
 さまざまな媒体で絶賛されている本作。すでにある程度の評価を受けている大林版『時をかける少女』。同じ筒井原作をどう乗り越えるかという点で、みる前は「どうかなあ」と思っていましたが、なるほど作品の完成度という点では見事としかいいようのないできばえです。一言でいえば「うまい」作品なのです。
 まずアニメーションならではの動く楽しさがある。『カーズ』もそうなのですが、やはりアニメーションはアニメーションである理由があるべきだと考えます。タイムリープのファンタジー性、さまざまなドタバタ、そして感情の表現(『ユンカース・カム・ヒア』に近いセンスを感じました)。実写でやってしまうとたちまち陳腐になるところがアニメではおかしさとあたたかさにかわる。そんなアニメならではの存在理由がこの作品にはあります。またキャラクターが観客迎合型になっていないのもいいですね。実際の女子高生がどんなものかは今となっては想像するしかない世代に突入してしまった自分ですが、こういう子に恋人になってもらいたいとは思わないけれど、この子のいかにも現代的な活動的な姿に、自分の娘がこんなハツラツとした青春を送ってくれたらなあと思ってしまいました。
 間違いなく今夏最大の収穫です。そして新しい才能の台頭が待たれるアニメ劇映画で(アニメファンのフィールドを越えてという意味で)、次の作品が今から待ち遠しい監督のひとりになったといえるでしょう。
(シネプレックス10幕張2にて)

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