『ごめん』
☆☆☆ 子ども相手の演出が的はずれ。
キネ旬の邦画ベストテンに顔を出していた時から気になっていた1本です。悪い作品ではありません。でも子どもの描き方によくも悪くもこの人の限界がみえかくれしています。子ども相手の演出が的はずれなのです。目線を子どもまで下げる必要はありませんが、少なくとも子どもの心に土足で踏み込む厳しさは必要な題材です。
この映画で一番楽しいのは心は子どもでも勝手に体が成長してしまう少年のもやもやです。ここがきちんと描けていない。少年の表面的な変化とエピソードの羅列に終わるので、あの稽古始めの剣道のシーンがきいてこないのです。ですからその後の自転車を必死になって漕ぐ姿が胸に迫ってきません。必要なのは少年のインサイドであって、それが表に出てくるところをどうとらえるかが子どもを描く上でのキモになるはずです。この監督さん、相米慎二や中原俊のもとで助監督についていたそうですが、これはスキルの問題ではなくてセンスの問題である気がします。(実際この調子であの『鉄人28号』をやったのだとしたら酷評もうなずけますが)
エピソード自体は楽しいものが多いのですが、地に足がついていない感じがそのまま説得力不足につながっています。
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