『ブラッド・イン ブラッド・アウト』
☆☆☆1/2 目が離せない。
やられました。本当に目が離せなかった。深夜2時にスタートしたにもかかわらず眠気も吹っ飛び3時間の長尺もあっという間にラストまで。久しぶりにあつい男のドラマをみました。
イーストLAを舞台にしたこの青春群像は街で生きることを活写しています。もちろんそれがリアルであるかどうかは私にはわかりませんが、少なくとも映画としての嘘に破綻がない。ステレオタイプになりがちなチカーノ像を、本編中の言葉をかりるならば「気高く」描いています。テイラー・ハックフォードの演出はパワフルで、エンターテイメント性も損なわれず、その波瀾万丈な展開が観客をしらけさせないのは見事です。しかし血で血を洗う抗争や刑務所での勢力争い、麻薬や犯罪などをきっちりと物語の軸にしながらも、それが物語の展開だけでなく、彼らの生き様に必要不可欠であることがきちんと表現されています。民族・家族という目に見えない「絆」を信じ、呪い、それでも必死になって生きる姿は、たとえそれが法を破っていてもどこかしら共感させてしまう説得力があります。若い役者陣のがんばりも評価したいですし、周りを固める有名無名の演技陣のアンサンブルも素晴らしいと思います。
ハックフォード一世一代の傑作、必見です。
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