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2006年7月15日 (土)

『モンスター』

0080knn☆☆☆ 胸締め付けられるラスト。
 実在の連続殺人犯アイリーン・ウォーノスをモデルにしたドラマで、シャーリーズ・セロンがオスカー女優になった作品。インディペンデントらしい個性的な作風ですが、最後は胸が締め付けられるような気持ちになりました。
 まず題材とのバランスの取り方は抜群にうまい。やっていることは許されないし、少なくとも共感できる主人公にしてはいけない。事実セロン演じる主人公とクリスティーナ・リッチ演じる女性の社会性の欠如をきちんと描いています。でも彼女をどこにでもいるただ幸せになりたかった女性として等身大にとらえた視点を含んでいるので、心も体も傷つきやがて愛を得るために殺人という道を選ぶ彼女の生き方を、少なくとも単純に否定するようにはなっていません。エピソードの構成もよく、このあたりの手腕は見事だと思います。セロンはまさに体当たりの演技。しかしこの映画はむしろクリスティーナ・リッチの方が難しい役だと思います。彼女の好演がセロンの役を引き立てていました。
 みおわって楽しいタイプの作品ではありませんし、単純に泣けて感動する作品でもありません。でも人間という存在の哀しみをみる人の心に感じさせてくれる力作です。

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