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2006年7月30日 (日)

春に続きなぜか大阪へ

 なんと今年2度目のひとり旅! いやあ相方に大感謝ですなあ! そして現在私は大阪におります。

今回は春と違って明確な目的がないしなあ。いや漠然としたいことはあるのです。
 1:(いつものように)北海道に行く。ちと軍資金は足りないが・・・
 2:山口線のSL(C57貴婦人ですな)に乗る。
私の旅の移動は基本的にJR。そしていつものように自分の旅は寝台特急の個室でのんびりもポイントです。ところが困ったことが。まず先日の豪雨による土砂災害で羽越線を通る寝台が8/7まで運休。これで得意の寝台特急「あけぼの」が使えないので2が消えました(「北斗星」は切符がとれませんからハナから論外)。で、2なのですが、こっちも得意の「サンライズ瀬戸」が完売。うりゃあ、どうしよう。こういう時は・・・まず途中まで移動だ! というわけで、大阪まで移動し、ここで一泊することにしました。まあこういうのも1人ぶらり旅の醍醐味ではありますが、さあ明日はどうしたものか。実はまったく別なアイディアがふつふつとわき上がってきたのです。

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2006年7月29日 (土)

ゆうばり国際ファンタスティック映画祭も中止

 東京ファンタに続き、ゆうばりファンタも中止になると正式にアナウンスされました。まあ夕張市の財政破綻のニュースから想像していた方も多かったと思いますが、こうして正式に発表されると「やはりか」という思いしか浮かびません。毎年3万人弱を動員し、16回を数えていたこの映画祭、湯布院と並んで作り手と受け手の距離がとても近い映画祭として知られていました。私もいつか足を運びたいと思っていただけに残念としか言いようがありません。

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2006年7月28日 (金)

残念だったチャップリン特集

 NHKBS2が今夏チャップリン特集をオンエアしていました。彼の作品は本当に素晴らしいものばかりですね。何が凄いかって老若男女、時代を問わず笑わせられるのがすごい。我が家の上の娘も、『街の灯』のボクシングシーンと、『モダン・タイムス』の自動食事機のシーンは笑い転げています。
 で、今回のオンエアも楽しみにしていました。が、『街の灯』をみてがっかり。なんとPALマスターが素材らしいのです。なんでだー! これで一気にエアチェック熱がダウン、他はしっかりとチェックしていませんが、とても残念に思いました。ちなみに日本で最初にリリースされたDVDは2000年にジェネオンからリリースされましたが、値段も高額、特典もショボショボのものだったので見送っています。同時期にアメリカでimageからリリースされたものは、びっくりするぐらい画質音質ともに見事なレストアがされていたので、私はそちらを所有しています。2004年にジェネオンから再リリースされていますが、うーん、アメリカでもワーナーから出ているもののローカライズなんですよねぇ。久しぶりにちゃんとしたプリントで映画館でみたくなりました。

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2006年7月27日 (木)

『ナショナル・トレジャー』

200605kk☆☆1/2 よくも悪くも荒唐無稽。
 ブラッカイマー印のアドベンチャー物だったので劇場ではパスしましたが、期待していなかったせいか、そこそこは楽しめました。あ、でも自分なりの「おもしろい」という基準はクリアしてません(汗)。
 正直話自体はなんだかなあなところもありましたが、脚本の持つ荒唐無稽さを、よくも悪くもそのまんま出したことが、無欲の結果を出したと言えます。ジョン・タートルトーブは結局素材を自分流に処理できないのでしょうね。ですからもともとがよい話である『クール・ランニング』は佳作になるし、元がどうしようもない『キッド』『フェノミナン』は凡作になりました。この作品も彼の働きは所詮評価される仕事とはいえません。今回の功労者はやはりニコラス・ケイジとショーン・ビーンですね。特にケイジは『ザ・ロック』や『フェイス/オフ』のようにプログラム・ピクチャーで役者が果たすべき役割を理解している数少ないスターです。逆にダイアン・クルーガーは知性もセクシーさも欠けています。
 しかしこの手のアドベンチャー作品が登場すると『レイダース失われたアーク』は奇跡的な作品であったことを痛感します。続編が企画されているようですが、キャラクターにも物語にも魅力がないのでやめた方がいいと思います。

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2006年7月26日 (水)

『エターナル・サンシャイン』

Tw7w8☆☆ 幼稚な恋愛劇。
 この作品は私の周囲で真っ二つに評価が分かれました。かえってそういう作品の方が気になりますね。というわけで鑑賞したのですが、私は「否」です。
 なるほどチャーリー・カウフマンの脚本は相変わらず個性的で、この話もつらい過去を消してしまうという過程はとても独創的です。しかしこの映画の魅力が決定的に欠けているのは、傷つく痛みが修羅場として描かれていないこと、そしてそれでも人を好きになることって素敵なことだという視点がないことです。きっとジム・キャリーとケイト・ウィンスレット演じるカップルには魔法のようなときめく時間があったはずなのです。それを幸せな思い出として描けていない。そして逆に胸を引き裂かれるような状況もない。ひとことで言えば幼稚な恋愛劇なのです。時間軸をいじりすぎた構成も作品の流れからいえば凶と出てしまったきらいがあり、そのあたりは『バタフライ・エフェクト』の方が手際がいいです。ジム・キャリーはなかなかだと思いましたが、ケイト・ウィンスレットとキルステン・ダンストはなんだかなーという感じで、ダメさ加減が足りません。エンディングのベックの曲はよかったです。
 結局描き手の未成熟な洞察力がオーソドックスなラブストーリーにもビザールなコメディにもならなかったという結果に導いています。

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2006年7月25日 (火)

『ベルヴィル・ランデブー』

09etcd☆☆☆1/2 アートの本場の底力。
 素晴らしかった! もうのっけからノリノリではまりました。画のセンスがいい。それから音楽がいい(速攻でサントラ入手しました!)。そして物語の毒がいい。これぞモーション・ピクチャー、これぞアニメーションです。
 あまりにも個性が強い世界であるのは事実ですし、話がすっきりしないところはあります。ホラ話としてはばからしいし、なんの教訓もないけれども、あのおばあちゃんの冒険話に私は心が躍りました。アニメーションのあるべき姿が宮崎駿の(というかプロデューサーの鈴木氏の)感動大作主義になりはててしまっていますが、本来はこういう作品がアニメーションであるべきだと考えます。言いかえればアニメーションでないと説得力がうまれない作品ということ。そういう意味で、この作品の世界観はコミックでも実写でも無理です。あのデフォルメされたツール・ド・フランスと選手たち。そして三つ子のステージ。カエル料理にはまいりましたねぇ。そしてあのラスト。ちょっとだけ感傷的なあのラスト。もうぐっときました。
 さすがフランスアニメ、恐るべしフランスアニメ。アートの本場の底力が確認できます。

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2006年7月24日 (月)

『0:34 レイジ 34 フン』

034☆ 勢いなしで穴だらけ。
 珍しいイギリス製のホラーだったのですが、なんかなあな感じです。こういう作品は低予算だからこその勢いが欲しいところですが、それもない。だから妙に冷静に鑑賞できるので、構成の穴に気がついちゃうんです。ひとつだけよかったのは殺人鬼の背景を明かさなかったことぐらい。まいったまいったな1本です。

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2006年7月23日 (日)

訃報:マコ・イワマツ

 俳優のマコ・イワマツさんが21日、カリフォルニア州の自宅で食道がんのため死去しました。72歳でした。今年4月、食が細くなったため検査を受けたところ、食道がんが発見されたものの、すでに末期がんに近い状態で療養所などを転々としたが、約2週間前に自宅に戻り、在宅ケアを受けていたそうです。
 1933年、神戸生まれ。日本名は岩松信。15歳で渡米、戦後に米国の永住権を取得した最初の日本人となります。54年に軍隊に入り、東京に進駐。除隊後の56年に米国に帰化しました。その後、パサディナ演劇学校で演技を学び舞台の道に進みましたが、同期にはなんとダスティン・ホフマンがいます。
 そして『砲艦サンパブロ』(66年)の中国人船員役でアカデミー助演男優賞候補となり脚光を浴びます。さらに76年には主演舞台『太平洋序曲』で米演劇界の最高賞といわれるトニー賞にノミネートされ、大きな話題となりました。この両賞の候補になったことがある人はアメリカでもわずかな人だけですから、アジア系の俳優としてはいかに快挙であるかがわかります。おそらくアメリカでもっとも知られる日本人俳優だったといえるでしょう。近年ではオムニ社の社長を演じた『ロボコップ3』、アジア系俳優総出演の印象が強かった『パール・ハーバー』などがありましたが、遺作は昨年8月に放送されたWOWOWのドラマ『祖国』(山田洋次原作・脚本、堀川とんこう監督)でした。
 私にとっては何と言ってもシュワ主演の『コナン』シリーズ。あの語り手となる魔法使い役はとても印象的でした。ご冥福をお祈りします。

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2006年7月22日 (土)

ディズニー・アート展

 東京都現代美術館で開催されているディズニー・アート展に出かけてきました。昨年玉川高島屋で行われていた「オール・オブ・ミッキーマウス展」では、あの『ファンタジア』の原画が展示されていたことに大興奮し、同行した妻にも苦笑されたのですが、今回は比べ物にならないほどの大規模展示、とても楽しみにしていました。
 さてご存じない方のために背景を少し話しておくと、今回の展示のきっかけはとある大発見でした。というのも日本で1960年に行われたディズニー展のあと、東京国立近代美術館に寄贈された展示品が、千葉大学で約50年近く、ごくわずかの人間しか知らないまま眠っていたのです(その時の展示でメイン作品になったのが『眠れる森の美女』というのは何の因果でしょうか!)。そこでその修復をきっかけに、米ディズニー本社のアニメーションリサーチライブラリーの門外不出のコレクションと共に展示が企画されました。
 これがまあ映画ファンとうかディズニーファンにはため息ものの貴重な資料ばかりで、絶対見逃せない個人的おすすめベスト5は・・・
*『白雪姫
のセルセットアップ
*『蒸気船ウィリー』台本(複製)と原画
*『ファンタジア』のストーリースケッチ
ナイン・オールドメンが手がけた
原画
*『ピーターパン』のセルセットアップ
というわけで私としては大満足の展覧会でした。ただ展示物自体は子ども向けとはいえませんし、別にキャラクターがテーマパークのようにお迎えするわけではありませんが、最後にちょっとした体験コーナーがあり(私も工作しました)そこそこ子どもも楽しめるといったところでしょうか。なお図録は絶対買い!の一冊です。
 最後に。こういうものがちゃんとアートとして評価されている状況がうらやましく思い、反面なぜ日本のアニメーションがアートとしての評価と展示を行わないのかがすごく悲しくなります。数年前に行われた「アニメ黄金時代」のレポートにも書いているのだが、もはやセルアニメーションが過去の遺物になっている今、このような資料類は誰かが残そうという意志がない限り、ただ消えゆくのみなのである。ぜひ今回の展覧会が、日本のアニメーション文化に一石を投じて欲しいと願っている。

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2006年7月21日 (金)

『ライフ・アクアティック』

Life ☆☆ イヤミな感覚のスノビズム。
 かなり楽しみにしていた作品だったのですが、正直期待はずれでした。悪い作品だとは思いません。でもつまらないし、どこかしら好きになれない要素があるのです。スノッブなセンスといえばわかってもらえるでしょうか。普段書く時は感想ではなく批評になるようにどこがよくてどこがダメなのかを具体的に書くようにしていますが、自分の感覚としてでしか説明ができないかもしれません。
 もちろんオフビートであるからといってバカ騒ぎをする必要はありません。でもオフビートにしようとする部分にスノッブな感覚が入り、人生に通じる物があるということをこれみよがしにひらひらさせていることで、それがイヤミに化学変化し笑えなくなるのは問題です。小綺麗なおしゃれ感覚は不要です。そしてわざと外している手の内をみせびらかしていることに優越感を抱いているかのように。ですからそんなもったいつけずに実はもっと単純な冒険物(それもかつての川口浩探検隊のような派手なフェイクドキュメンタリー)にしてしまった方がよかったのかもしれません。その方が鮮烈に人生を浮き彫りにしたかと思います。豪華キャストは有効活用されているとは思えず、ビル・マーレイももったいないと思いました。ヘンリー・セレックのクリーチャーは花マル!
 オフビートの難しさをあらためて痛感するとともに、シンプルな表現についても少し考え込んでしまいました。

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2006年7月20日 (木)

訃報:ジャック・ウォーデン

 俳優ジャック・ウォーデン氏が、ニューヨークの病院で19日、死去しました。85歳でした。詳しい死因は不明ですが、関係者は高齢のためとしています。
 1920年ニュージャージー州生まれ。ボクサー、陸軍落下傘部隊員などを経て映画界入りし、性格俳優として活躍しました。『シャンプー』『天国から来たチャンピオン』の2作でアカデミー賞助演男優賞にノミネートされています。
 大きな役でというのはありませんが私には印象深い作品が多く、中でもシドニー・ルメット監督作2本が白眉です。ヤンキースの試合のことだけ関心事だった陪審員を演じた『十二人の怒れる男』、ポール・ニューマン演じる弁護士を公私に支える男を演じた『評決』。他にも退役軍人で事件の鍵を握る男を演じた『プレシディオの男たち』や『大統領の陰謀』も強く印象に残っています。そういえばTVシリーズの『がんばれ!ベアーズ』で、劇場版のウォルター・マッソーの役をこの人が演じていたのも子ども心に覚えています。ご冥福をお祈りします。

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2006年7月19日 (水)

『デビルマン』

Devil☆ 話のタネにもなりゃしない。
 みちゃいました。ここでま酷評されると気になりますものね。まあ期待していなかったので怒りませんでしたが、これは確かにひどすぎる。演技がひどい(特に伊崎央登と富永愛)。エフェクツが低レベル(今時PS2のゲームデモだってもっと高品質)。物語がつまらない(あの原作をここまでスケールダウンしていいのか?)。結局この3つが記録的にひどいんだと思います。まあみない方がいいでしょう。話のタネにもなりませんから。

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2006年7月18日 (火)

コールドプレイ(日本武道館)

B_1 昨年のFUJIROCKに行けずに悲しみのどん底だった私を、今年は怒濤の来日ラッシュが救ってくれたわけなのですが、今日は待望のコールドプレイでした。実は最初にチケットをとったのは明日なのですが、スタンド席でよくないところだったので、ちょっとオークションで大人買い(笑)。なんとステージに向かってセンターやや左の前から4列目という極上のポジションで楽しめることになりました。
 で、内容なのですが・・・。うん、悪くはないのだけれども、というのが率直な感想。(というか4月のシガーロスが凄すぎたんだよなー) とにかくエンターテイナーとしての彼らの力量はさすがで、きっと自分が高校生とか大学生ぐらいなら大興奮したんだと思うのですが、反面彼らがとても難しい時期に突入しているとも感じられました。フルアルバムは3枚。前作後のワールドツアーのライブをみていると、構成にも勢いがあり、すごくいい流れだと思う。ところが今回のセットリストこうやって並べると、「X&Y」の曲が、なんかロックおじさんの私には違和感がありありなのでした。(実はブートレグで昨年グラストンベリーで行われた映像があるのですが、ほぼ同じ構成でした。それで予習をしていたのも逆効果だったかも) メロディメーカーの人たちはアーティストとして長く活動するのは本当に難しいですなあ。

COLDPLAY - Twisted Logic Tour 2006.7.18 @日本武道館
Square 1
Politik
Yellow
Speed Of Sound
God Put A Smile Upon Your Face
What If
Don't Panic
White Shadows
The Scientist
Til Kingdom Come
Trouble
Clocks
Talk
<アンコール>
Swallowed In The Sea
In My Place
Fix You

というわけで明日のチケットは無駄にしてしまいました。もったいないのはもったいないけれど、でもちょっとロックおじさん、エネルギー切れ。さすがに同じアーティスト2日連続はつらい年齢です。

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2006年7月17日 (月)

『吸血鬼ゴケミドロ』

0008nz2☆☆☆ 見せ物的作りをわかっている。
 『マタンゴ』と並ぶ伝説の和製SFホラーをハイビジョンでみられる幸せ!(笑) 中身もおもしろかったです。
 もちろんつっこみどころはたくさんあります。生き残るための内輪もめも王道ですし、目新しいところはないのですが、見せ物的な作り方という点で、わかってるねぇというところがたくさんあります。視覚効果の見せ方も、物語展開もコンパクトにしている。何が見せ所かをきちんとおさえていてわかりにくいところがない。そしてみているこちらが気恥ずかしくなるところがない。この点は評価したいです。ラストの絶望感もマルです。キャスティングもいいですね。吉田輝雄、佐藤友美はともかく、高橋昌也、金子信夫とここまでステレオタイプにならぶと笑うしかない。中でも高英男が素晴らしい。やはりミュージシャンの存在感はただものではないです。
 こういう空想科学映画を小馬鹿にする人はもったいないですね。なぜなら映画の世界を信じさせようと真剣に取り組んでいる人たちの熱意にふれるチャンスを放棄しているからです。そういう意味でこの作品も見終わってとニヤリとさせられる佳作だと言えます。

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2006年7月16日 (日)

『ポロック 2人だけのアトリエ』

Polo☆☆☆ 小劇場での良質な芝居のような小品。
 抽象的な作風の画家として名を残したジャクソン・ポロックを描く俳優エド・ハリスの初監督作品。物語としては芸術家の栄光と挫折というパターンで目新しいところはありませんが、ポロックが何を求めて人生を歩んだかを丁寧に描いているところに、彼の真摯な姿勢が垣間見られる素敵な小品となっていました。
 エド・ハリスという俳優は『理由』『アビス』『ザ・ロック』のように激情型の役柄を熱演することが多いです。しかし憑依されたかのような役作りをしつつも、自分が場をさらってしまうようなやり方、つまり自分の演技だけが突出するようなを作品作りを好まないように私は思っていました。それは彼の作品の選び方をみてもわかりますし、この作品でもよくわかりました。ちょっとしたまなざしや仕草に役の人生を表し、きちんと1人の人間を演じることにやりがいを感じる。そういう意味でエド・ハリスという役者を存分に味わえる作品としても貴重だと言えます。マーシャ・ゲイ・ハーデンには初めて感心。これでオスカーは納得です。
 有名な人はたくさん出ていませんが、小劇場での良質な芝居を楽しむような趣のある志を持った小品です。

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2006年7月15日 (土)

『モンスター』

0080knn☆☆☆ 胸締め付けられるラスト。
 実在の連続殺人犯アイリーン・ウォーノスをモデルにしたドラマで、シャーリーズ・セロンがオスカー女優になった作品。インディペンデントらしい個性的な作風ですが、最後は胸が締め付けられるような気持ちになりました。
 まず題材とのバランスの取り方は抜群にうまい。やっていることは許されないし、少なくとも共感できる主人公にしてはいけない。事実セロン演じる主人公とクリスティーナ・リッチ演じる女性の社会性の欠如をきちんと描いています。でも彼女をどこにでもいるただ幸せになりたかった女性として等身大にとらえた視点を含んでいるので、心も体も傷つきやがて愛を得るために殺人という道を選ぶ彼女の生き方を、少なくとも単純に否定するようにはなっていません。エピソードの構成もよく、このあたりの手腕は見事だと思います。セロンはまさに体当たりの演技。しかしこの映画はむしろクリスティーナ・リッチの方が難しい役だと思います。彼女の好演がセロンの役を引き立てていました。
 みおわって楽しいタイプの作品ではありませんし、単純に泣けて感動する作品でもありません。でも人間という存在の哀しみをみる人の心に感じさせてくれる力作です。

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2006年7月14日 (金)

『ジェヴォーダンの獣』

78971801☆☆ マーク・ダガスコスの映画。
 コスチュームプレイ? ミステリー? 一体どんな作品なのかと思っていたら、なんか不思議なテイストの単なるアクション映画でした。
 一応実際にあった出来事らしいのですが、まあこの監督は謎解きを主眼にせず、そういう世界の設定をかりたかっただけですね。スタイリッシュな映像のオンパレードで、それはとてもよくわかりました。ただ同じフランス映画『ヴィドック』でも感じましたが語り口が冗漫で少し長すぎ。スタイリッシュな映像もしまいにはうんざりしてきます。役者陣はよくわかってるのかわかってないのかという感じでしたが(ヴァンサン・カッセルはわかってる! モニカ・ベルッチは美しい!)、マーク・ダカスコスは儲け役でしたね。彼の役が主人公の話の方がみたいです。
 とりあえず『ヴィドック』が楽しかった人、マーク・ダガスコスが好きな人はみてください(笑)。

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2006年7月 8日 (土)

『ヒストリー・オブ・バイオレンス』

Cia001☆☆☆ 観客を大いに挑発するラスト。
 今春見逃していた本作、ようやく名画座にて鑑賞です。ここしばらくクローネンバーグの作品はどうも自分には的はずれなものが多かったのですが、近年の作品の中ではもっとも完成度の高い作品だと思います。そう、完成度です。
 あらすじだけならばほとんど西部劇かアクションものかという内容ですが、クローネンバーグは暴力を視覚的にはっきりとみせます。そして暴力の後も徹底してみせるのです。その結果暴力を使って解決した結果がどうなるかという問題を否応なく突きつけてきます。あのラストシーンはすごいですね。さきほど完成度という言葉を使いましたが、『イグジステンズ』や『スパイダー』がダメだった点がまさにそこで、クローネンバーグ映画特有のおもーいエンディングがないまま、混乱が混乱になって残ってしまっていた。でもこれは違います。クローネンバーグは再び観客を大いに挑発する作品を完成させたのです。自らの手が汚れている主人公を家族がどう受け入れるのか。それを台詞ではなく画でみせきってしまったクローネンバーグの成熟ぶり。すごいです。観客は少なくともハッピーエンドとは想像できないでしょう。けれどあれほど暴れまくった主人公にどうなってほしいか、観客自身が混乱しているはずです。そしてそれこそがこの作品が見事な一級品であることの証明だといえます。ヴィゴ・モーテンセンはいい役者になりましたね。『インディアン・ランナー』の頃から兄貴役だったデビッド・モースと共に、すごくひいきにしている人ですが、今作でも表情が雄弁に物語を伝えています。オスカーノミネーションのウィリアム・ハートもさすがですが、エド・ハリスはこれまたすごいですね。
 目を背けたくなる人も多いかもしれません。しかし向き合う必要がある作品です。でもあのパンフレットはなんとかならんのかなあ。大きすぎです!
(下高井戸シネマにて)

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2006年7月 7日 (金)

『マスク2』

00eqip☆ こんなもの作るなよ。
 なんかみてしまいました。面白さ、質、センス、作品への愛、いっさい存在しない駄作です。こんなもの作らないでくれよという映画ファンの本音は、スタッフの誰にも届かなかったんでしょうね。とりあえずアラン・カミングさんはご苦労様でした。

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2006年7月 6日 (木)

黒澤明vs.ハリウッド―『トラ・トラ・トラ!』その謎のすべて

7909 まさに目からウロコ。これほどの衝撃的な新事実満載のルポルタージュは久しくなかったと思う。黒澤明が没して久しいが、彼にとって大いなる挫折となった米国資本企画『暴走機関車』と『トラトラトラ』については、本人もまったく語っていないし、関係者の証言もほとんどない。有名なところではキネ旬で連載されていた白井佳夫さんが松江陽一さんと組んで書いた「『トラ・トラ・トラ!』と黒澤明問題ルポ」があるが、結局黒澤を養護する黒澤からの視点でしか語っていないものが多く、実際私が知っているエピソード類も登場するものの、誰もが疑問に思っている、なぜ東映京都で撮影したかや、なぜ製作が頓挫したのか、そして黒澤は本当に精神の病だったかなどが、アメリカ側の視点を得てきちんと結論が導き出されているのがすごい。また黒澤が作ろうとした『トラトラトラ』はどのような作品だったかもよくわかった。著者は『グッドナイト&グッドラック』でもとりあげられたジャーナリスト、エド・マローの研究で知られ、実際パンフレットにも寄稿されていましたが、彼がなぜ本作との関わりを持ったかが記されていたあとがきは、胸迫るものがあった。なお文藝春秋のサイトに、著者田草川氏と、黒澤組のスクリプター野上照代さんの対談があって、これがまたすごく充実した内容になっているので要チェック。映画評論家の皆さん、感想家からはやく脱して、こういう仕事をしてください。

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2006年7月 5日 (水)

東京ファンタ、22年目の終焉

 最後に消えゆく映画祭。東京国際ファンタスティック映画祭が休止するというアナウンスがありました。このニュースにはやはり感慨深い物があります。お手本としたアボリアッツもすでになく、役目を終えたということなのでしょう。
 私は第1回目から参加していました。さまざまな作品と出会い、さまざまなゲストが来たことが思い起こされます。トビー・フーパーからサインをもらったし、ショーン・ペンを生でみられたのもこの映画祭でした。またここで上映された作品が自分にとって素晴らしい思い出になったものもたくさんありました。ちなみにこの映画祭で私がみたのは以下の通り。

85
クリープショー
デッドゾーン
86
ポルターガイスト2
マーク・トゥエインの大冒険
悪魔のいけにえ2
87
ラ・バンバ
フロム・ビヨンド
ヘルレイザー
ロボコップ
88
ヒドゥン
モンキー・シャイン
ビートルジュース
89
サルート・オブ・ザ・ジャガー
デッド・カーム
レッド・アフガン
90
ハマー・スミスの6日間
91
インディアン・ランナー
タイム・トゥ・カム
92
ブレードランナー ディレクターズカット最終版
96
ワイルドバンチ ディレクターズ・カット
98
ヴァンパイア/最期の聖戦
99
未知との遭遇 ディレクターズ・カット完全版

 ホラーでしか葉表現できない世界があることを知り得たこと、そして映画祭でみんなと拍手しながら楽しむというスタイルを知ったこと、世界にはまだまだたくさん面白い作品があること、そういう意味では東京国際映画祭よりははるかに志が高かったと思います。まあ正直いろいろといいたいことはあるし、映画祭としてのあり方はどうかという議論は必要だと思いますが、とりあえずはご苦労様でしたと感謝の意を表したいと思います。

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2006年7月 4日 (火)

GTFトーキョーシネマショー2006

 ついでにあと2つ特集上映ネタを。まずはなんかいつの間にか定着してしまった「GTF TOKYO CINEMA SHOW 2006トーキョーシネマショー」。まあ古く言えばかつて秋にやっていた洋画まつりなわけですが、イイノホールというのがなあ・・・。せっかくなんだからどこかのシネコンでやればいいのにと思うのは私だけではないはず。しかも企画的にはトンチンカンで、「ラインアップ・プレゼンテーション」(まあいい)、筑紫哲也がこの1年に公開された映画を対象に最も優れた邦題名の作品を表彰する「筑紫賞:ゴールデンタイトル・アワード」(なんじゃそりゃ。しかもなぜ筑紫氏。もうこの企画に異論反論おぶじぇくしょん!)、ゲストを招いた「シネマ・トークショー」(まあよし)、高校生ならではの感性を競う「高校生:映画感想文コンクール」(うーん、そんなものにファンをつきあわせても)という具合。それだったらもっと映画クイズとか、予告編コンクールとか、映画ファンに向けた企画にすればいいと思うのですがねぇ。

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2006年7月 3日 (月)

BOW30映画祭

Bow もうひとつ、今夏気になる特集上映といえば何と言ってもフランス映画社の「BOW30映画祭」。30周年を記念してシャンテシネで過去の自社配給作品が連続上映されますが、これがすごいラインナップ。この会社がいかに良心的な仕事をしてきたかがよくわかります。私も未見の作品も多く足を運びたいのですが、もうちょっとスケジュールは考えて欲しかったです。せめて2週間ずらしてくれたら助かった人は多かったと思うのですが。『ラルジャン』みたかったなあ(やっぱり売り切れだって)。でもこういう企画は大歓迎です。ぜひ来年以降も検討してほしいし、他の配給会社さんもたまにはどうですか?(でも自社配給作品が恥ずかしくてできない?)
ちなみにフランス映画社に今後リバイバルも含めてお願いしたい作品たちは・・・
『オルランド』
『英国式庭園殺人事件』
『カオス・シチリア物語』
『路』
『ノスタルジア』
『エボリ』
『サン・ロレンツォの夜』
『1900年』
『父 パードレ・パドローネ』
『マリア・ブラウンの結婚』
『木靴の樹』
今回漏れた作品もすごいのばかりだというのがよくわかりますね。

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2006年7月 2日 (日)

お台場映画王2006

 今年も開催が決定した「THE MOVIE KING お台場映画王2006」。はやいものでもう3回目なのですね。毎年のことながら夏のお台場のあの人混みをみていると、フジの商売の巧さ(というか消費者の単純さもですが)を痛感するのですが。すでに今年もチケットが完売している回も多く、あのイベントが続けば、この企画も定着しそうですね。
 今年もフジのビジネス戦略の香りはぷんぷんと漂い、またますますイベント色が濃くなり、相変わらずメディアージュの小さな小屋でしかやらないなどの不満はあるのですが、少なくとも東京国際映画祭のようなわけのわからぬ上映会に比べれば、映画好き!これみてもらいたいの!という熱意が感じられるのでこのイベントに関しては、私は比較的好意的にみています。といっても私に足を運ばせるほどのパワーはないんだよなあ。それは多分旧作に関する敬意が中途半端だからかもしれません。来年度以降はもう1館ぐらい増やしてやってみませんか? そろそろ「映画の上映」という点からいくと飽和状態な気がします。

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2006年7月 1日 (土)

4台目のRec-pot導入! けど肝心のSWが(涙)

 いよいよスター・ウォーズオンエアまであと1ヶ月あまり。このままではいかんということで購入してしまいましたよ、なんと4台目のRec-potになるHVR-HD500Rを! なんといっても容量500GBはでかいです。これでバッチリ!なはずなのですが先週衝撃的な情報が・・・。なんと今回のWOWOWでのオンエア、旧トリロジーはハイビジョン放送ではないとのこと。確かに最初から一挙放送とはアナウンスしてましたが、どこにもHV放送とはかいてない。ああ、まさにハヤトチリ!
 我が家にあるRec-Potは4台。160GBが2台と250GB1台、そして今回の500GB。そこで160GB1台をSW専用機(ああ、呼び名がもうかっこよすぎ!)にして、無事録画が成功した暁には専用機の外のカラーリングもなんか工夫するつもりにまで妄想はふくらんでいたのですがねぇ、はぁ。とりあえずHDDレコーダーとあわせて、トータル1.3テラバイトのHDD録画環境が整いましたというのが、今回のオチということで(汗)

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