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2006年5月15日 (月)

『ラストシーン』

B00008ojp05_1☆☆1/2 ノスタルジーという型にはまっている。
 『リング』で知られる中田秀夫がこの素材を映画にした時、私は唐突な印象を受けました。なぜ今なのだろうか。彼が撮影所あがりのスタッフとしては最後発にあたる彼は、この作品の前にも『サディスティック&マゾヒスティック』で、師である小沼勝にオマージュを捧げていましたが、今売り出し中の中田監督にとって、それがなぜ今なのかがわからなかったのです。
 映画人が映画にオマージュを捧げることは珍しいことではありません。この作品は少なくとも『ニュー・シネマ・パラダイス』よりあざとくないし、『キネマの天地』よりずっとうそ臭くない。でも未来への希望がないという意味で、ノスタルジーという型にはまっている点に違いはありません。ひとつひとつのエピソードの古くささ、西島秀俊の重みのなさ、麻生久美子演じるスタッフの類型的な描写など、ステレオタイプ以外何物でもありません。さすがなのはジョニー吉長だけ。ミュージシャンは演技させると本当にうまいですね。もうオーラが違います。
 意図が真面目であるだけに、この程度の完成度で終わってしまうことが残念でなりません。

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