« 『イヴの総て』 | トップページ | 『ガール・ネクスト・ドア』 »

2006年5月 5日 (金)

『アリーテ姫』

B0005☆☆1/2 物語の出発点と着地点が違う。
 最近の日本製アニメには珍しい素材と世界観をもつ作品です。私自身原作は読んでいませんが、そんな私ですら原作が持っている世界と、スタッフが持っている世界とに、微妙なズレがあるのではと推察しました。なぜそう感じたかといえば、物語の出発点と着地点が違うからです。アリーテ姫の、何が彼女を変えることになったのか。彼女が自分の足で歩き始めたことが素晴らしいのか。それとも彼女が実際に人とのふれあったことが素晴らしいのか。そしてそれを女性で行ったことが素晴らしいのか。アリーテ姫の人物像はともかく、映画の展開はまるで宮崎駿的で(事実、監督は宮崎映画のスタッフ出身)原作はまったく違うのではないでしょうか。この点は賛否両論にわかれると思います。
 千住明の音楽は素晴らしく、美術のクオリティも見事。デジタル製のアニメとしては画があたたかく感じられ、抜群の出来映えといえるでしょう。しかし声優陣はもう一踏ん張りして欲しかった。モノローグとダイアローグを同じ芝居でしか演じられない人が、なぜこんなに増えたのでしょうね。
 意欲作ではありますがオリジナリティが希薄であり、作品構築も紋切り型です。そういう部分がどうも消化不良の感をぬぐえません。

|

« 『イヴの総て』 | トップページ | 『ガール・ネクスト・ドア』 »

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 『アリーテ姫』:

« 『イヴの総て』 | トップページ | 『ガール・ネクスト・ドア』 »