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2006年5月29日 (月)

『プロデューサーズ』

20060530191949☆☆ 出来の悪い舞台中継のような醒めた感覚
 メル・ブルックスが自らの映画作品をミュージカル化して、ブロードウェイでも大ヒットしたステージの映画化です。とても評価が難しい作品となりました。率直な感想としては「ああ、きっと生のステージはさぞおもしろいのだろう」。つまり映画化としては落第だということです。
 オリジナルは知る人ぞ知るといった感じの作品で日本では劇場未公開、私も未見ですが、ショービジネスの内幕ネタとしてとても皮肉が効いていておもしろいです。ところが歌や踊りの部分はよくてもドラマの部分のみせ方の間が悪く話が弾まない。まるで出来の悪い舞台中継のような醒めた感覚しか伝わってこないのです。そのくせナンバー自体は抜群におもしろい。「キープ・イット・ゲイ」なんて大爆笑でした。
 ネイサン・レインとマシュー・ブロデリックの芸達者ぶりはさすが。とくにブロデリックはあまり映画俳優としては評価していなかったのですが、歌の巧さには感心。ニール・サイモンの秘蔵っ子と呼ばれていた存在ですから実力は折り紙付きな訳で、私がみている作品が悪いのか彼のフィルモグラフィーに問題があるのか(笑)。ウィル・フェレルとユマ・サーマンがいかしきれていないところに、この作品が映画としての力を持っていない証明なのかもしれません。この作品を本当に楽しみたい人は、すぐにブロードウェイへ!というのが結論です。
 最後にメル・ブルックスのこと。エンドクレジットの後に出てきましたねぇ。元気そうで何よりです。『サイレント・ムービー』とか私、好きなのですが、彼のネタはかなりベタなので周期的に旬になるタイプの笑いの人なのでしょう。再評価の機運はそれほど盛り上がっているとは思えないのですが、これからどうなるでしょうか。できればこの作品なんか彼の演出の方がおもしろかったかもしれません。 
 それにしてもぜひぜひステージみたいなあ。
(シネマイクスピアリ16にて)

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