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2006年5月28日 (日)

『インプリント ぼっけえ、きょうてえ』

20060529231621☆☆ 三池崇史は狂っている。
 アメリカのホラー専門局が企画したアンソロジー13本のひとつがこれです。日本から参加した鬼才三池崇史は、別にホラー専門の監督ではないのですが、何せアメリカでは『オーディション』『殺し屋1』の人で通っているので選ばれたらしいのが笑えます。で、岩井志麻子原作を映像化した本作、アメリカでは放映中止、日本では映倫審査外。さすが三池、みて納得。怖くはない。しかし正視できない描写が連発します。
 江戸後期から明治初期にあったといわれる因習が背景に描かれている原作を読んでいる人によると、ほぼ忠実に映像化しているそう。すると三池監督は確信犯的にこれを選んだわけですが、映画作品を作る側の感覚としては狂っているとしか思えない素材です。意欲は充分、できれば和のゴシックホラーを、中川信夫テイストを期待していたのですが、醜悪の美とか、業の悲しみにまで結びつかないところは残念。最大のマイナスは主役2人。女性としての匂いが希薄な工藤夕貴、作品世界を理解しているとは思えないビリー・ドラゴ。この2人の演技で作品の質が安っぽくなったことは否めません。
 日本が誇る最狂の監督、三池崇史の動向は、今後も要注目です。しかしそこにはスカも少なからずあることを承知しなくてはいけないかもしれません。
(シアター・イメージフォーラムにて)

 最後にシアター・イメージフォーラム様へ。映倫審査外作品を上映する勇気には敬意を表しますが、ビデオ上映であるならば、きちんとそう伝えて欲しいものです。そうだとわかったら夏にリリース予定がある本作、劇場には足を運びませんでした。

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