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2006年4月 3日 (月)

『レディ・ジョーカー』

☆1/2 小説家の不戦勝。放棄してどうする!
 高村薫のベストセラーを平山秀幸監督が映画化。全然みる気がなかったのに、オンエアをちらっとみたらずるずるいって30分で打ち止め。残りを今日鑑賞。結論、やはりみなけりゃよかった。
 高村薫さんの小説は未読で、さらに彼女の著作にまったく思い入れはありませんが、これはやはり原作に対しても、そして映画というメディアに対しても失礼な作品なのではないでしょうか。一言でいうと力不足。まあ、圧倒的な情報量の高村作品を映像化するのが難儀なのは理解できますが、無理ならしなければいい。それだけのことです。たとえば同じ高村原作『マークスの山』。この作品が原作ファンから不評なのはわかりますが、映画としては素晴らしいと思います。それは映画でしかできないパワーがあるからです。尋常でない迫力で正気と狂気の境目は何かを、警察、過去のある男たち、そして犯人のドラマの中で突きつけたような志は見事です。やる以上は何か表現者がテーマを持つべきです。そして素材と戦うべきです。それがないため、表面的に話をなぞって上映時間だけ整えた程度の作品となってしまいました。
 ジョーカー側のキャストは素晴らしく、特に吉川晃司はいい味が出ていましたねぇ。あの不適な面構えは最高です。徳重聡は貫禄不足もはなはだしい。あの高村作品の合田という刑事を演じられる男性は、今の日本の芸能界にはいないかもしれません。そしてこういう重量感のある小説と格闘できる映画人もいないのかもしれません。

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