『フォッグ・オブ・ウォー マクナマラ元米国防長官の告白』
**1/2 で、クリエイターが見据える先は?
ケネディやジョンソン政権時に国防長官を歴任したロバート・マクナマラへのインタビューを元にしたドキュメンタリー。戦争に効率を求めて栄光をつかんだ男であり、日本への空襲時にも甚大な被害を与えた戦術を考えた男である。そして『13デイズ』でも描かれたキューバ危機を体験した男であり、ベトナム戦争をスタートさせた男でもある。で、どんな話が聞けるのかと思えば、そんな男の告白というより、主張と言い訳めいた内輪話という感じでした。少なくとも謙虚にはみえないこの男が失敗を悔恨しているとは思えず、そしてなぜ戦争は終わらないのかという本質を避けようとしている姿勢がみえて、とても複雑な心境になりました。まあこんな人がいるから戦争はなくならないのでしょうね。
で、肝心なクリエイターの意図がわからない。つまりこういう男だから人間は戦争をやめられないという悪しき例としてこの男をとりあげたサタイアなのか、それとも本気でこの男の教訓から学べと訴えているのか。ほとんどのドキュメンタリー作家が持つ悪意のようなものが感じられず、その点は残念に思いました。
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