『チーム★アメリカ ワールドポリス』
☆☆ 相手にかみつくのに無責任
『サウス・パーク』で知られるクリエイター、トレイ・パーカーとマット・ストーンのコンビが作った作品は、相変わらず毒が満載された一品でした。ただし映画としての評価はきわめて難しいかもしれませんが。
名前の通り、もっともやり玉にあがっているのは今のアメリカのイラクなどに対する姿勢。それをジェリー・ブラッカイマー的な描写でやっているところが彼らしいところですね。どうでもいいサイドストーリーが満載され、いちいち決め台詞が登場し、しかもそれをマリオネーションでやっているバカバカしさ。さらにコンサバだけでなくリベラルまでおちょくるところが彼らの彼らたるところで、マイケル・ムーアやティム・ロビンスまで(文字通り)ぶったぎるところはニヤリとさせられます。私にとって最大の笑いのツボは歌でした。アメリカ、ファック・イェーというテーマ曲から金正日のアイム・ソー・ロンリー、そして主人公が葛藤するときにかかる『パール・ハーバー』をくさした歌、そしてモンタージュ! こういうセンスは鋭いとうならされます。
しかし。誰も彼もをぶったぎったことで、「しょせん他人事だろ」という無責任感が強くなってしまったことは否めません。つまらなくはないのですが一発芸とレベルがかわらない。誰も彼もくそだと言ってしまうことは悪いことじゃないけれど簡単すぎる。悪ふざけは嫌いじゃないけれど、そろそろかみつくべき相手をきちんと選んで、自分たちなりのメッセージをクリエイトする段階に彼らは進まないといけない時期なのではないでしょうか。そしてそれが作品の質にもつながるように思います。
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