« 「オシムの言葉」 | トップページ | 訃報:モイラ・シアラー »

2006年2月 6日 (月)

『木乃伊の恋』

 円谷プロ製作のTVシリーズ『恐怖劇場アンバランス』の中の1本で、内容のすさまじさから三年もお蔵入りされていたという逸話が残る作品。CATVでみました。というか偶然つけて、目が釘付けになったという表現が正しいと思います。
 まずこの作品、スタッフがすごいのです。監督は鈴木清順。しかも日活首脳陣に「わからない作品を作る人間はいらない」と解雇され、監督業を離れていた時の作品(ここまでは知っていた)。原作は円地文子。脚本が田中陽造。音楽富田勲。そして出演者に大和屋竺までいる。もう豪華絢爛。しかも扱っているテーマが性欲(もちろん売り物としてではなくです)。今のテレビドラマでは考えられません。
 とにかく作品自体にただよう緊張感の高さと独特の不可思議なムードは尋常ではありません。しかも中編の長さながら様々な解釈ができる難解な世界になっており、繰り返しの鑑賞に堪えうる作品となっています(すでに私も3度みた)。浜村純さんってこういう役もされていたんですね。彼の存在感はすごかったです。
 それにしても、ああ、恐るべし鈴木清順。『ツィゴイネルワイゼン』『陽炎座』につらなる彼のフィルモグラフィを振り返るに、この作品はギュッと濃縮された原液。必見の1本です。

|

« 「オシムの言葉」 | トップページ | 訃報:モイラ・シアラー »

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 『木乃伊の恋』:

« 「オシムの言葉」 | トップページ | 訃報:モイラ・シアラー »