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2006年2月28日 (火)

セザール賞決定

 セザール賞が決定しました。今年は『真夜中のピアニスト』が圧勝で、作品賞、監督賞も含めて最多8部門を受賞。…えっ、この作品、公開済み? まったく知りませんでした(汗)。で、いろいろ調べたらなんとこれ、ハーベイ・カイテル主演の『マッド・フィンガーズ』のリメイクではありませんか。未見ながらも話には聞いた作品で(なんせハーベイ・カイテルがカーネギーホールでの演奏を夢見るワケアリ男ですぜ)、それをリメイクというのはセンスがあるのかないのか、別な意味で興味がわきました。そもそもセザール賞は米アカデミー賞とは訳が違い、向こうで評価されてもこちらではなかなか公開しないというのが結構あります。またここしばらくは比較的世界的に評価されたものばかりですが、わりとお国の芸能事情を反映した選出が多く、まあフランス版日本アカデミー賞といえば通りがよいのでしょうか(ひどいたとえですみません。せめてフランス版ブルーリボン賞か、ますますややこしいですか(汗))。でもこの作品、ちょっとみる気がおきました。でもいつになるやら(笑)。

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2006年2月27日 (月)

『映画監督って何だ!』が完成

 日本映画監督協会創立70周年事業として製作された伊藤俊也監督作品『映画監督って何だ!』の完成会見が26日都内で行われたそうだ。それ自体はめでたいニュースです。しかし訴えている内容が…。

「映画の著作権は製作者側にあるが、本来は監督にあるべきだ訴える作品」なのだそうですが。

本当にそうなのでしょうか?

私は違うと思います。監督は現場責任者であって、もちろん自分の作品ではありますが、著作者の代表になるというのは絶対におかしいと思います。この作品は伊藤俊也さんの久しぶりの監督作だと言う点も気になりますが、これを映画人の方がみてどんな反響になるのか、別な意味で楽しみです。3月4日から新文芸座で70周年記念上映会が行われますが、この作品は24日に上映される予定です。

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2006年2月26日 (日)

DVD『炎のランナー』(2枚組)

20060228_061316633ヒュー・ハドソン監督のオスカー受賞作がめでたくアルティメット化。まず今回が初めての米国公開版の商品化。かつてWOWOWでオンエアされたバージョンがそうだっただけで、今までのソフトはすべてヨーロッパ公開版(日本公開版は後者)だった。違いはオープニング直後、ヨーロッパ版はクリケットのシーンだが、米国版は列車到着後の混乱のシーンになっている。今までPALマスターの早回し版だったりとさんざんな品質の物が多く、すでにリリースされているDVDもヴァンゲリスの音楽が「カセットテープか?」という音質だったが、さすがのアルティメット、音は劇的に向上。特にdts音声は感涙の一言。画質もかなりよくくすんだ感じにしか見えなかった今までのソフトと違い、時代ならではの空気感が感じられる。また特典が素晴らしく、知らなかったエピソードがざくざく。やはりある程度の年月がたった作品の映像特典の方が見応えのあるものが多い。
B-AVG.-6.90MB/sec.

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2006年2月25日 (土)

録画失敗(涙)

ひさしぶりにやっちまいました。
WOWOWの『ソフィーの選択』、録画失敗。たまたまいつも同時間に録画しているプログラムがあり、それとの調整をするのを忘れていました。あああああああああああああ。これ、まだ日本ではDVDになっていません。今のところリピートの予定もないみたいですし。あああああああああああああ!EPGは便利です。それでも失敗している自分は本当に情けない…。

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2006年2月24日 (金)

夫婦50割引、キャンペーン終了?

 夫婦50割引を継続するかどうかで、意見がわかれているらしいです。ただ一応6月で終了というのが方向性としては出ているようで。夫婦のどちらかが50歳以上だと2人で2000円になるというこのキャンペーン、実は1年すでに延長されているものなのですが、はたして業界にとってどちらが得策なのでしょうか?
 割引自体に効果があったかはそこそこあったと言えるのではないでしょうか。私の周囲にもこのサービスをよく利用していらっしゃる方がいます。しかし安いから映画をみようかという気持ちには絶対になりません。面白そうな作品があった時に初めて足が向くのです。私の住んでいる神奈川県にはチネチッタという古くから親しまれている映画館があります。ここはリニューアルしてから、年間動員数が日本一という記録を3年間続けています。いろいろな理由が考えられますが、設備の良さとともに、作品のラインアップが充実していることをあげなくてはなりません。ここには一般的なシネコンがかける作品の他に、ミニシアター系の作品もがんがん上映します。選択肢がひろいことで幅広い客層を呼び、他のサービスとの相乗効果で耕した客層が「映画でもみようか」になり、リピーターとなっていくのです。
 そういう点からもこの割引、どうもポイントがずれているような気がしてなりません。料金競争は業界主導で行うのではなく、映画館側がそれぞれで仕掛けるべきです。その方がピンポイントで効果的なキャンペーンが行えると思います。 

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2006年2月21日 (火)

「映画秘宝」4月号発売

「映画秘宝」の今月号は連載記事が一部リニューアルされていました。いつもながらこのゴッタ煮感覚はなんと楽しいのでしょう! それにしても『ヒストリー・オブ・バイオレンス』は本当にすごそうですね。東劇以外でちゃんとした環境でみられるといいのですが。

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2006年2月18日 (土)

『ピーター・セラーズの愛し方 ~ライフ・イズ・コメディ!』

B0009ETC☆☆1/2 ジェフリー・ラッシュ=セラーズ
 『ピンク・パンサー』のクルーゾー警部で知られるピーター・セラーズの生涯を描いた作品。すごくみたかったのに劇場公開で見逃し、気になっていた作品でしたが、伝記物特有の堅苦しさのない不思議な作品でした。
 まず何よりもジェフリー・ラッシュのすごさにつきるでしょう。『Ray』のジェイミー・フォックスもすごい!と思いましたが、これはさらにその上を行っています。特に驚いたのがキューブリックの『博士の異常な愛情』でのセラーズ。ここで彼は1人3役をこなし(本当は4役だった。なぜそれをやめたかの裏話も描かれています)たのですが、その様子が寸分も違わず再現されており、中でもストレンジラブ博士には唖然呆然。もはや本人としか言いようがありません。その上でプライベートな彼の複雑怪奇なパーソナリティまで表出させている演技力には感嘆。もはや素のジェフリー・ラッシュなどどこにも見え隠れしません。
 セラーズはさまざまな作品で1人数役を演じていましたが、彼がすぐれた役者であったのは自分という実態がないからという視点は、ジェフリー・ラッシュの怪演とも重なって、1人の役者の自分探し、幸せ探しの旅の中に私たちみる人にどこかしら憐れみすら感じさせます。私にとって彼はクルーゾー警部というイメージではなく、ハル・アシュビーの『チャンス』のイメージが強く、あの作品の悲哀に満ちた、そしてどこかしら不気味なイノセンスは何だったのか、それを解き明かす鍵がこういった形で示唆されていたのは興味深かったです。ただ残念ながらすべての描写が効果的だったとはいいがたく、彼自身が彼の人生に出てくる人々を演じ分け、一本の作品のように俯瞰するというスタイルが劇中に何度か出てきますが、ここが中途半端で残念でした。このあたりにスティーブン・ホプキンス(『ブローン・アウェイ』『プレデター2』)の演出力の限界を感じます。
 作品としては秀作とは言い難いですが、セラーズに興味のある人はもちろん、『博士の異常な愛情』が好きな方も、もちろんジェフリー・ラッシュという俳優をみるだけでもみる価値があります。
 しかしひどい邦題ですね。

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2006年2月17日 (金)

AFIヒーローと悪役

 NHKでも番組がオンエアされているAFI(American Film Institute アメリカ映画協会)選出のさまざまなベスト100。日本の映画人って俳優やスタッフのベストはよくやるくせに、こういう発想はないんだよなあ、とぼやきつつ、いつも何が上位にくるのかを当てるのも楽しみにしています。で、番組自体の構成もいつも趣向を凝らしているので驚かされます。今回はヒーローと悪役。まあ、そもそもこの線引きからして曖昧な気はするのですが、でも今回もそこそこ楽しめました。で、悪役の1位がハンニバル・レクター(『羊たちの沈黙』『ハンニバル』)で、ヒーローの1位が『アラバマ物語』でグレゴリー・ペックが演じた弁護士。後者は未見なのですが、やはりアメリカにとってこの作品は特別なものなのかもしれません。こちらのページで邦題付きのリストを作成されている方がいらっしゃったのでリンクをはっておきました。びっくりしたのが久しぶりに目撃したカーク・ダグラス。ピーター・オトゥールは『トロイ』で免疫ができていたので大丈夫でしたが、いやあ、あまりの老けっぷりに衝撃を受けました。
 

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2006年2月16日 (木)

DVD『ウィ・リヴ・ヒア ライブ・イン・ジャパン1995/パット・メセニー・グループ』

20060228_55348585ブックオフで激安だったので購入。彼らのアルバムの中では最後の許容範囲だった"We Live here"リリース直後に行われた来日公演。はっきりいってDVDの仕様としては今となってはかなり甘い部類だが、曲目はなかなかよくて楽しめた…。なんてのんきなことを思っていたら、私の眠れるVHSライブラリーの中にあった。そしてそれをぜーんぜん記憶していなかった(汗)。まあ、その程度のありがたみなのではありますが。
B-AVG.-5.27MB/sec.

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2006年2月15日 (水)

DVD『頭文字D』(2枚組)

20060228_61601952しげの秀一のコミックを映画化した香港映画。→review 実は商品が3タイプあり、購入時にかなり迷った。思い入れはないものの、やはり特典は気になるし(特にアンソニー・ウォンの「酒と豆腐と男と女」(笑))、かといって3枚組はいらんかということで2枚組。購入後の率直な気持ちとしては、このぐらい本編のレート落としていいから適当に1枚に放り込め!程度のレベルの特典。よほどのファンでなければ1枚でいいし、思い入れがある人は3枚組まで行っちゃいましょう。楽しみにしていた広東語版での鑑賞ですが、やはり作品の世界観が変わりますね。日本のバッタモンにしかみえません。音の設計はかなり凝っていて劇場でも楽しめたが、そういう点ではサラウンドぐるぐる大好き!という人にはたまらない作品。ただし音質自体はべらぼうにいいとは思わなかった。画質は水準レベル。
B-AVG.-7.94MB/sec.

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2006年2月14日 (火)

わけわからん!

 新しいレコーダーになって困ったことがひとつ。ディスクメディアを何にするかです。
デジタル放送はCPRMがあり、基本的にはメディアにムーブすることになる。それはわかっていました。ところがそれができるのがDVD-RWでのVRモード。えっ?なんで?
今まではほとんどDVD-Rのビデオモードでやってきました。だって…
・基本的に一度焼けば書き換えない。
・DVD-Rの方が安い。
・DVD-Rの方がインクジェットで表面に印刷できるモデルが多い。
・DVD-Rの方が書き込みがはやい。
・ビデオモードの方が互換性が高い。

 なのでDVD-RでVRモード&CPRM・インクジェットプリンタ対応の物を購入。しかしトラブル発生。私のDVDプレイヤーがこのディスクを認識しない。おかしい。VRモード再生対応だし、DVD-RWでは問題なかったのに…。ってひょっとしてDVD-RW&VRモードの組み合わせじゃないとだめってこと? だからといってここで一度書き込んでしまったディスクのコピーは不可能。ああ、なんなんだああ。仕方がないので、DVD-RWでお眼鏡にかなうものを探しています。

 まあ、ここまでは普通のぼやきです。こういう趣味を持てばよくあることです。でもふと思ったのは、こういうトラブルは今後一般家庭でも起こることではないのかということ。DVDメディアの規格や、コピーワンス、CPRMなんて、本当にごくフツーの家庭では認識されているのでしょうか? この記事を読んで理解できる人ばかりではないはずです。でも今のレコーダーでメディアに記録しておきたい場合は避けられないのです。うーん、わけわからん!

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2006年2月13日 (月)

「映画の見方がわかる本―『2001年宇宙の旅』から『未知との遭遇』まで」

489691660 映画秘宝を創刊したメンバーの1人、町山智浩氏は、今もっとも個性的でまっとうな映画評論を書くジャーナリストの1人です。映画秘宝に寄稿されている文章を読んでいるだけで、それを実感できます。その町山さんの映画秘宝に掲載された原稿をまとめたものの第2弾が先日出版されましたが、これはその第1弾。
 知識としては一般的に知られているレベルのものから、かなり専門的なものまで、上手に整理されていて興味深く読むことができました。ただこの本の題名は間違っていると思います。制作者の意図を知ることは大切ではあるし、重要ではあると思いますが、必須条件ではないのではないでしょうか。しかも町山さんはあくまでも他の人のテキストを拾っているわけで。そこには当然取材者の意図もあり…、難しい問題ですが。「映画の背景がわかる本」という題名の方がしっくり来ます。でもこういう作業を評論家がしないという苦言には賛成。こういう本が映画を豊かにみる眼を養ってくれるはずです。

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2006年2月11日 (土)

『ジャーヘッド』

20060212155108☆☆1/2 斬新ではある。狂気が足りない。
 戦争映画の作りにくい現在、サム・メンデスの新作は今までの戦争映画を巧みに換骨奪胎して、湾岸戦争に対する皮肉に満ちた斬新な戦争映画(と呼んでいいかどうかもわからないほど)になりました。
 戦争映画の系譜の中で『地獄の黙示録』『フルメタルジャケット』の2作は大きな位置を占めていることに異論はないかと思います。前半の新兵訓練はあきらかに『フルメタルジャケット』のパロディですし、上映会が興奮のるつぼとなる『地獄の黙示録』のヘリ攻撃場面は、戦争はいけないと思っているのに、よくできた戦闘シーンでは興奮してしまう観客側と、反戦映画と戦意高揚映画をともに作ってしまうフィルムメイカー側への強烈なカウンターパンチです。そんな戦争映画へのアンチテーゼとしてメンデスは主人公が実戦で一発も撃たない(というか撃てない)作品にしたのでしょう。しかし同じようなアプローチだった『スリー・キングス』でも感じたのですが、やはり消化不良であることは否めません。それは『アメリカン・ビューティー』のように毒を笑い飛ばすほどの余裕が描き手にないからだと思います。それからパーソナルな視点に終始したことが、政治的な意味合いへの逃げのようにも感じられました。あのラストは本当は『タクシー・ドライバー』の世界につながらなくてはいけないわけで、アイロニーであるならば自らが血を流す痛みを伴う鋭さが作品に内包されなくてはいけない気がします。多分ここが型からはいる舞台出身の演出家サム・メンデスという作家の壁なのだと思います。
 評価の難しい作品ではありますが、向き合う必要はある力作です。
(チネチッタ・チネ6にて)

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『クラッシュ』(2005)

20060212155047_1☆☆☆1/2 運命の皮肉と現実のむごさ、そして人間のあたたかさ。
 昨年『ミリオンダラー・ベイビー』で素晴らしい脚本を書き上げたポール・ハギスの初監督作は群像劇として恐ろしいほどの完成度を持つ作品となりました。
 確かに出来事が偶然がすぎるという批判はあるかもしれません。しかし私が評価したいのはこの手の作品で陥りがちなシナリオ的な技巧のひけらかしに走らなかったところです。ポール・トーマス・アンダーソンの『マグノリア』はダメなパターン。あの群像劇はイヤミでしかありません。またこの作品と対極にあるのがロバート・アルトマンの『ショート・カッツ』。あれはれですごい作品で、レイモンド・カーバーの短編小説をコラージュし、それを映画の尺で言えば3時間弱に破綻なく再構成したもの。しかし力業に頼ったキライがあり、長編に再構成した技巧的上手さが鼻につくところがありました。しかしこちらはそこをきわめて普遍的な要素で再構成しています。運命の皮肉と現実のむごさも効いていますが、そこに人間のあたたかさをほのかにともしている上手さ。きわめて正攻法な演出でファンタジックな香りさえ醸し出す作品に仕上げました。中でも雑貨屋を営むペルシャ人親子と、鍵屋親子のエピソードには思わず嗚咽が出そうになるぐらい号泣しました。
 役者陣は素晴らしい演技のアンサンブルをみせており、中でもマット・ディロンには初めて感心。また同僚のライアン・フィリップ、刑事役のドン・チードル、そして鍵屋のマイケル・ペーニャ、プロデューサー役のテレンス・ハワードなど、印象に残るお芝居をみせています。またJ・マイケル・ミューローの撮影も素晴らしく、マーク・アイシャムのスコアも久々の会心作といってよいでしょう。
 シナリオライターとして洞察力の鋭さをみせたハギスが、演出にも見事な冴えをみせた一品です。
(チネチッタ・チネ1にて)

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2006年2月10日 (金)

『ホテル・ルワンダ』

Hotelrw☆☆☆1/2 ドン・チードルの素晴らしい演技が生み出した説得力。
(チネチッタ・チネ9にて)

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2006年2月 9日 (木)

やばいやばい

 さすがにこのぐらい長い間映画をみていると、「こいつにはちかよらん方がいい」という雰囲気が察知できるようになります。まあその中にごくまれに大当たりもあるわけですが、やはり予想通りのハズレな時の方が多いです。またこの年になるとそうそう女優さんをみて「素敵!」とは思うものの、眼にハートマークが浮かぶような別の入れ方は滅多にありません。

 しかし。この2つが見事に(?)重なった作品が登場です。シャーリーズ・セロンの『イーオン・フラックス』。

彼女の作品はもちろん初めてじゃないのですが、今までそんなに素敵だと思うことはありませんでした。しかし今回ポスターの彼女をみて「わぁお!」と叫びそうになりました。黒いショートヘアとセクシーなコスチュームがとてもよく似合っているじゃないですか! 胸がときめいてしまいました。しかしこの作品。ちかよらん方がいいサインが出ている気がします(汗)。事実アメリカの批評はズタボロだったし。情報集めれば集めるほどやばそうな雰囲気が漂っています。うーん、でもやっぱりみたいなあ。飛んで火に入る夏の虫ってこういう気分なのでしょうか(笑)。

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2006年2月 8日 (水)

訃報:伊福部昭

 国内作曲界の大御所で、『ゴジラ』など映画音楽の作曲家としても知られる伊福部昭氏が、8日、多臓器不全のため亡くなりました。91歳でした。

 北海道釧路市に生まれ、10代前半から独学で作曲を始め、北海道大林学科在学中に作曲した管弦楽作品「日本狂詩曲」が、1935年にパリで開かれた作曲コンクール「チェレプニン賞」で第1席となり、国際的に高く評価されました。1946年までは北海道に在住、この頃には同じく作曲家早坂文雄氏との親交があったことも知られています。林業を大学で専攻していたこともあり、大学卒業後は厚岸町の森林事務所に勤務していましたが、勤務中に浴びた放射線障害による病気をしたこともあり、戦後音楽の道を本格的に歩み始めます。1946年に東京芸大作曲科講師となり、芥川也寸志、黛敏郎さんらを育てました。
 映画音楽は、1947年の谷口千吉監督『銀嶺の果て』。以降手掛けた映画音楽は300本にも上り、中でも『ゴジラ』を担当したことで知られています。しかし他にも数多くの名作があり、武満徹、早坂文雄、富田勲らと並んで、サントラが売れる、アンソロジーが作られる数少ない映画音楽の作曲家でした。私も「わんぱく王子の大蛇退治」をはじめ、忘れられないメロディがたくさんあります。ご冥福をお祈りします。

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2006年2月 7日 (火)

訃報:モイラ・シアラー

 イギリスのバレリーナで女優のモイラ・シアラーさんが、1/31英オックスフォードの病院で死去しました。80歳。死因は明らかになっていません。1940年代から50年代にかけてロンドンのサドラーズ・ウェルズ・バレエ団(現英国ロイヤル・バレエ団)で、プリンシパルとして活躍した方ですが、映画ファンにとっては何といっても、『赤い靴』の主演としてでしょう。仕事に生きる女性像を鮮烈に描いた物語は、その美しいカラー映像とともに、彼女の存在を私の心に焼き付けました。ご冥福をお祈りします。

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2006年2月 6日 (月)

『木乃伊の恋』

 円谷プロ製作のTVシリーズ『恐怖劇場アンバランス』の中の1本で、内容のすさまじさから三年もお蔵入りされていたという逸話が残る作品。CATVでみました。というか偶然つけて、目が釘付けになったという表現が正しいと思います。
 まずこの作品、スタッフがすごいのです。監督は鈴木清順。しかも日活首脳陣に「わからない作品を作る人間はいらない」と解雇され、監督業を離れていた時の作品(ここまでは知っていた)。原作は円地文子。脚本が田中陽造。音楽富田勲。そして出演者に大和屋竺までいる。もう豪華絢爛。しかも扱っているテーマが性欲(もちろん売り物としてではなくです)。今のテレビドラマでは考えられません。
 とにかく作品自体にただよう緊張感の高さと独特の不可思議なムードは尋常ではありません。しかも中編の長さながら様々な解釈ができる難解な世界になっており、繰り返しの鑑賞に堪えうる作品となっています(すでに私も3度みた)。浜村純さんってこういう役もされていたんですね。彼の存在感はすごかったです。
 それにしても、ああ、恐るべし鈴木清順。『ツィゴイネルワイゼン』『陽炎座』につらなる彼のフィルモグラフィを振り返るに、この作品はギュッと濃縮された原液。必見の1本です。

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2006年2月 5日 (日)

「オシムの言葉」

55  わたしは熱狂的ではないものの、サッカーが好きです。アントラーズをずっと応援していたのですが、ここ数年、みていてもっともおもしろいサッカーをみせてくれるチームのひとつが、ジェフ千葉であることに異論がある人は少なくないのではないでしょうか。そこの監督さんがイビチャ・オシム氏。この人は本当にすごい。まさに指導者の鑑。チームの公式サイト内にあるオシム語録も、すっかり有名になりました。
 で、その人についての本がこれ。ずっと取材されている木村元彦さんの著作です。余談ですが、この方、プロフィールによると疾走プロダクションにいたんですね。そう、あの『ゆきゆきて神軍』や『全身小説家』で知られる原一男監督のところです。そりゃ、取材対象にふみこむ気合いが違うのもわかろうかというもの。内容もオシム監督の人となりを知るには格好の一冊なっており、そして彼に今まで以上に尊敬の念を抱かずにはいられませんでした。昨年ナビスコカップで念願の初タイトルを獲得したジェフですが、今年も大幅補強はせず、オシム監督の腕の見せ所となりました(笑)。(少なくともここ2年あった主力メンバーが移籍という事態にならなかっただけでもいいのかも…) まだフクアリにも出かけたことがないので、ぜひ今シーズンはいくぞ!

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2006年2月 4日 (土)

オスカー予想 その3

最後に演技部門と作品賞。

■作品賞:『ブロークバック・マウンテン』
■監督賞:アン・リー『ブロークバック・マウンテン』
■主演男優賞:フィリップ・シーモア・ホフマン『カポーティ』
■主演女優賞:フェリシティ・ハフマン"Transamerica"
■助演男優賞:ポール・ジアマッティ『シンデレラマン』
■助演女優賞:エイミー・アダムス"Junebug"

かなり自信あります、今回は! というかガチガチの雰囲気ですよね。なんかこれ以外選ぶと、おまえの見る目ははおかしいやろ?というぐらい、みーんなこのへんが受賞!って納得しているんじゃないでしょうか。(もちろんふさわしいかどうかは別の次元の話です) 結局今年のテーマはゲイになるのかもしれません。『ブロークバック・マウンテン』は確かに、そういう世界の話ですが、いくら保守的なアカデミー会員でも、ここまで世論がこの作品を推したら大丈夫でしょう。主演の2人の役柄は、ともにゲイとオカマ。こういうのは評価されやすいですし、ここまで3部門は鉄板ですね。もし逆転の目が残っているとしたら助演の2部門。ポール・ジアマッティは去年の『サイドウェイ』で涙を飲んだ分込みで(ノミネーションすらされなかったもんね)、いけるんじゃないでしょうか。女優の方は、本命不在。一応エイミー・アダムスは他の賞も多数かっさらい有利だと言われていますが、いつもここだけはオスカーでひっくり返される。サプライズがあるのは助演系なんだよなあ。消去法でいくと

エイミー・アダムス"Junebug"
本命。若手で勢いあり(しかもこの部門は若手に寛容)。ただし作品が弱い。
キャサリン・キーナー『カポーティ』
対抗。今までのキャリアからいけばそろそろ。ただしインパクト弱し。運がないままの可能性も。
フランシス・マクドーマンド『スタンドアップ』
すでに主演を受賞済。今年はない。
レイチェル・ワイズ『ナイロビの蜂』
GGを受賞したのはびっくり。大好きな女優ですが、今回はなし。
ミシェル・ウィリアムス『ブロークバック・マウンテン』
大穴。作品の追い風で受賞する可能性微妙にあり。有利な要素はそれだけ。本人がTV界出身なのはマイナス。

さあみなさんもぜひ予想をきかせてください。

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2006年2月 3日 (金)

オスカー予想 その2

で、今回は技術系。でも興味のあるところだけ。

■脚本賞:ポール・ハギス、ボビー・モレスコ『クラッシュ』
■脚色賞:ラリー・マクマートリー、ダイアナ・オサナ『ブロークバック・マウンテン』
■撮影賞:ロバート・エルスウィット『グッドナイト&グッドラック』
■メイクアップ賞:『ナルニア国物語第1章:ライオンと魔女』
■音響賞:『ウォーク・ザ・ライン/君につづく道』
■音響効果・編集賞:『宇宙戦争』
■視覚効果賞:『キング・コング』
■作曲賞:グスターボ・サンタオラヤ『ブロークバック・マウンテン』

『ブロークバック・マウンテン』はかなり強いと思います。というのも他に技術系で強力なライバルになるエンターテイメント系のヒット作がノミネーションされていないので。こういう時に賞レースの本命作品は、すべての部門で追い風になります。ただ撮影賞は微妙。というのも『グッドナイト&グッドラック』がモノクロ撮影なので。こういう時、技術的なハードルが高い方が評価される傾向があり、実際今年のL.A.批評家協会賞は『ブロークバック・マウンテン』一色の中、撮影賞だけ、エルスウィットがさらいました。音響系は難しいなあ。ちょっと自分の希望も込みで。

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2006年2月 2日 (木)

オスカー予想 その1

アカデミー賞受賞作品は、その年一番のすぐれた作品であるというのは×です。もちろんある程度のレベルはあるかと思いますが、投票するのは同業者ともいえるアカデミー会員であり、さまざまな思惑や、社会を反映する要素が入ってきます。また近年では、露骨という表現しか思い浮かばないキャンペーンを大々的に行う製作会社が多く、しかもそれが票に反映してしまうというケースが後を絶ちません。(ミラマックスやドリームワークスのような比較的歴史の浅い会社が、そうやって力をつけようとする戦略は理解できるのですが…) でもそのあたりも含めて、年に一度のお祭りという見方もできます。なおさら楽しまなきゃそんですよね。さてそんなことも含めて、私の予想です。あっ、ただし興味のある部門だけしか予想しませんのであしからず。

第1回目は作品編。でも作品賞は別の回にまわしますが(笑)。
■外国語映画賞:『パラダイス・ナウ』(パレスチナ)
■長編アニメ映画賞:『ウォレスとグルミット/野菜畑で大ピンチ!』
■長編ドキュメンタリー賞:『ダーウィンの悪夢』
この3つはほぼ間違いないと思います。宮崎駿はすでに受賞していますから、短編しかとったことのない英アードマン社をたたえる意味で、アニメーションの方はこっちでしょう。なぜかヘルツォークの"Grizzly Man"がノミネーションされなかった長編ドキュメンタリーだけは『皇帝ペンギン』という線も捨てきれず。

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2006年2月 1日 (水)

第78回アカデミー賞ノミネート発表

今年もオスカーノミネーション発表です。『』は配給権を国内の会社が持っている邦題決定済みの作品。英字表記は公開未定のものです。まあ、ほぼ順当かと思うのですが、びっくりしたのが、視覚効果賞に『SWエピソード3』がノミネーションすらされなかったこと。いえ、あの作品をみればノミネーションすらされなくとも仕方がない完成度でした。これはシリーズ初の出来事であり、屈辱的な結果と申し上げて差し支えないでしょう。アカデミー会員の選択もたまにはまとも(笑)であること示しました。私の予想は後で書き込みたいと思います。

■作品賞
『ブロークバック・マウンテン』
『カポーティ』
『クラッシュ』
『グッドナイト&グッドラック』
『ミュンヘン』

■監督賞
ジョージ・クルーニー『グッドナイト&グッドラック』
アン・リー『ブロークバック・マウンテン』
ポール・ハギス『クラッシュ』
ベネット・ミラー『カポーティ』
スティーヴン・スピルバーグ『ミュンヘン』

■主演男優賞
フィリップ・シーモア・ホフマン『カポーティ』
テレンス・ハワード"Hustle&Flow"
ヒース・レジャー『ブロークバック・マウンテン』
ホアキン・フェニックス『ウォーク・ザ・ライン/君につづく道』
デヴィッド・ストラザーン『グッドナイト&グッドラック』

■主演女優賞
リース・ウィザースプーン『ウォーク・ザ・ライン/君につづく道』
フェリシティ・ハフマン"Transamerica"
キーラ・ナイトレイ『プライドと偏見』
ジュディ・デンチ"Mrs. Henderson Presents"
シャーリズ・セロン『スタンドアップ』

■助演男優賞
ジェイク・ギレンホール『ブロークバック・マウンテン』
マット・ディロン『クラッシュ』
ポール・ジアマッティ『シンデレラマン』
ジョージ・クルーニー『シリアナ』
ウィリアム・ハート『ヒストリー・オブ・バイオレンス』

■助演女優賞
エイミー・アダムス"Junebug"
キャサリン・キーナー『カポーティ』
フランシス・マクドーマンド『スタンドアップ』
レイチェル・ワイズ『ナイロビの蜂』
ミシェル・ウィリアムス『ブロークバック・マウンテン』

■脚本賞
ポール・ハギス、ボビー・モレスコ『クラッシュ』
ジョージ・クルーニー、グラント・ヘスロフ『グッドナイト&グッドラック』
ウディ・アレン"Match Point"
ノア・ボーンバッハ『イカとクジラ』
スティーヴン・ギャガン『シリアナ』

■脚色賞
ラリー・マクマートリー、ダイアナ・オサナ『ブロークバック・マウンテン』
ダン・ファターマン『カポーティ』
ジェフリー・ケイン『ナイロビの蜂』
ジョシュ・オルソ『ヒストリー・オブ・バイオレンス』
トニー・クシュナー、エリック・ロス『ミュンヘン』

■撮影賞
ウォーリー・フィスター『バットマン・ビギンズ』
ロドリゴ・プリエト『ブロークバック・マウンテン』
ロバート・エルスウィット『グッドナイト&グッドラック』
ディオン・ビーブ『SAYURI』
エマニュエル・ルベッキ『ニュー・ワールド』

■編集賞
マイク・ヒル&ダン・ハンリー『シンデレラマン』
クレア・シンプソン『ナイロビの蜂』
ヒューズ・ウィンボーン『クラッシュ』
マイケル・カーン『ミュンヘン』
マイケル・マッカスカー『ウォーク・ザ・ライン/君につづく道』

■美術賞
ジム・ビゼル『グッドナイト&グッドラック』
グラント・メイジャー『キング・コング』
ジョン・マイヤー『SAYURI』
サラ・グリーンウッド『プライドと偏見』
スチュワート・クレイグ『ハリーポッターと炎のゴブレット』

■衣装デザイン賞
ガブリエラ・フェスクッチ『チャーリーとチョコレート工場』
コリーン・アトウッド『SAYURI』
サンディ・パウエル"Mrs. Henderson Presents"
ジャクリーヌ・デュラン『プライドと偏見』
アリアンヌ・フィリップス『ウォーク・ザ・ライン/君につづく道』

■メイクアップ賞
『ナルニア国物語第1章:ライオンと魔女』
『シンデレラマン』
『スター・ウォーズエピソード3/シスの復讐』

■音響賞
『ナルニア国物語第1章:ライオンと魔女』
『キング・コング』
『SAYURI』
『ウォーク・ザ・ライン/君につづく道』
『宇宙戦争』

■音響効果・編集賞
『キング・コング』
『SAYURI』
『宇宙戦争』

■視覚効果賞
『ナルニア国物語第1章:ライオンと魔女』
『キング・コング』
『宇宙戦争』

■作曲賞
グスターボ・サンタオラヤ『ブロークバック・マウンテン』
アルベルト・イグレシアス『ナイロビの蜂』
ジョン・ウィリアムズ『SAYURI』
ジョン・ウィリアムズ『ミュンヘン』
ダリオ・マリアネッリ『プライドと偏見』

■歌曲賞
"In The Deep"/『クラッシュ』
"It's Hard Out Here For A Pimp"/Hustle&Flow"
"Travelin'Thru"/"Transamerica"

■外国語映画賞
"Don't Tell"(イタリア)
『戦場のアリア』(フランス)
『白バラの祈りゾフィー・ショル、最期の日々』(ドイツ)
『パラダイス・ナウ』(パレスチナ)
"Tsotsi"(南アフリカ)

■長編アニメ映画賞
『ハウルの動く城』
『ティム・バートンのコープスブライド』
『ウォレスとグルミット/野菜畑で大ピンチ!』

【短編アニメ賞】
"Badgered"
"The Moon And The Son: An Imagined Conversation"
"The Mysterious Geographic Explorations Of Jasper Morello"
"9"
"One Man Band"

■長編ドキュメンタリー賞
『ダーウィンの悪夢』
"Enron: The Smartest Guys In The Room"
『皇帝ペンギン』
"Murderball"
"Street Fight"

■短篇ドキュメンタリー賞
"The Death Of Kevin Carter: Casualty Of The Bang Bang Club"
"God Sleeps In Rwanda"
"The Mushroom Club"
"A Note Of Triumph: The Golden Age Of Norman Corwin"

■短篇実写映画賞
"Ausreisser (The Runaway)"
"Cashback"
"The Last Farm"
"Our Time Is Up"
"Six Shooter"

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