『歓びを歌にのせて』
☆☆☆☆ 私たち観客に与えられた至福のひととき。
これは久しぶりに予告編で「みたい!」と思った作品でした。そして当たりどころか、びっくりするほどの大当たりになった作品です。すばらしい人間ドラマでした。
さまざまなキーワードのくくり方で見方がいろいろと出てくるタイプの作品です。それも物語が複雑に入り組んでいるのではなく、シンプルでも多面的な要素を含んだ作り方がすばらしい。人間と人間、人が生きると言うこと、人間と芸術、宗教と芸術、男と女、精神と肉体、音楽の豊かさ…。語り口も抑制があり、必要以上にしゃべりすぎない。映像できちっと語る。そして観客の想いが入る余地がある豊かさを持っています。
またひとりとしてステレオタイプな人間像を作らなかったことも評価したいです。中でも神父と妻に暴力をふるう男の描き方に胸うたれるものがありました。誰もがもつ自分の心の闇とそれに負けてしまうもろさ。その点を繊細にとらえた優しくも厳しい視点は、季節感と風土をとらえた美しい映像、響き渡る美しい音楽(必要以上に音楽が使われないのも見事)とともに、私たちをもさまざまな感情が喚起され、揺り動かされるのです。そしてあのラスト。至福という言葉がぴったりなあの場面は、思い返すだけでも心が震えます。主役のミカエル・ニュクビストをはじめ、あまり日本で知られている人はいませんが、でもどの人も表情といい、存在感といい、見事な演技をみせます。
私が評価に☆4つ満点をつけられる作品は本当に久しぶり。でもこんなすばらしい作品に☆4つつけられることが何とも喜ばしく、私自身この映画を鑑賞した時間は至福の時間でした。ただひとこと、ぜひごらんになってください。なお1/7より一部シネコンで拡大上映されています(私も待っていた人)。ル・シネマよりはシネコンのような音響設備の整った場所で鑑賞することをおすすめします。
(チネチッタ・チネ4にて)
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「歓びを歌にのせて」SA SOM I HIMMELEN / AS IT IS I [続きを読む]
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じんけし日報様、歓びを歌にのせてのトラックバックありがとうございました。フィルムナビでは、さまざまな映画のクチコミ情報を集めています。映画の感想などをブログに書かれた時には、ぜひまたトラックバックして下さい。お待ちしております!... [続きを読む]
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» 歓びを歌にのせて(2004) -Så som i himmelen - [Chic & Sweet びいず・びい]
ゆったりとたおやか、穏やかで優しい北欧の薫りただよう素敵な作品。
癒されます。見終わって静かな充足感でミタされます。
天才指揮者として名声を得、多忙な日々を送っていたダニエル(ミカエル・ニュクビスト)。
しかしある日のコンサートの直後、突然意識を失い倒れてしまう。すでに心臓はボロボロ。治療の施しようがないとの診断だった。彼は残された余生を故郷の小さな村で過ごそうと決め、廃校となった小学校を買い取り移り住む。ところがそんな彼に、村の「聖歌隊」の指導をして欲しいという話が持ちかけられた・・・
... [続きを読む]
受信: 2006年2月 8日 (水) 17:28
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天才指揮者として名声を得、多忙な日々を送っていたダニエル(ミカエル・ニュクビスト)。
しかしある日のコンサートの直後、突然意識を失い倒れてしまう。すでに心臓はボロボロ。治療の施しようがないとの診断だった。彼は残された余生を故郷の小さな村で過ごそうと決め、廃校となった小学校を買い取り移り住む。ところがそんな彼に、村の「聖歌隊」の指導をして欲しいという話が持ちかけられた・・・
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受信: 2006年2月 8日 (水) 17:28
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