『親切なクムジャさん』
☆☆ 寓話性が痛みを消し、悲しみを希薄にした。
何年かぶりで東京国際映画祭上映作品に参加しました。なんか相変わらずなセレクションと運営は何とかなりませんかねぇ。で、これはゲスト目当てでヤフオクでチケットを入手したのですが結局来日せず…。かえすがえすも残念無念。さらにさらに作品がよければまだよいのですが、なんと作品まで期待はずれという…。ああ…。
通称「復讐三部作」の最終章にあたる本作。しかし途中から個人的な動機による復讐劇から、人間としての罪と罰に関わる寓話性を増したことで、話の焦点がぼやけてしまいました。この女性にとって一番の哀しみは、そして一番の痛みは何だったのか。ここがあいまいになったことでこの三部作の個性が消えてしまったように感じます。イ・ヨンエの挑戦はよいと思うのですが、パク・チャヌクが様式的な表現を試みたことで、なじまないものになってしまいました。せめて『復讐者に憐れみを』のようなリアリスティックなものや、『オールド・ボーイ』のような劇画チックなものであれば、まだ別の可能性があったと思います。
結果的にこの作品はトリロジーの難しさだけを露呈してしまったようです。(三部作の最終章で作品的に成功したのは、『ロード・オブ・ザ・リング』ぐらいなのではないでしょうか)
(オーチャードホールにて)
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