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2005年9月19日 (月)

『ブレイキング・ニュース』

☆☆☆ 独特の緊迫感はジョニー・トーならでは。
 ジョニー・トーの日本未公開作。昨年の東京国際映画祭で上映されています。なぜみる気になったかといえば、5月にみた『PTU』が気に入ったことと、とにかくオープニングがすんごい!という評判だったこと。思い切って秋葉原にあるDVDショップ「セール」で香港盤を購入しました。
 前作『PTU』が黒澤明の『野良犬』だとすれば、これはジョニー・トー版『踊る大捜査線2』? でもこの緊迫感は桁違いの演出力で生み出されており、いつもながらただごとではありません。今回もちょっとした偶発的な状況から銃撃戦がはじまり、それがあれよあれよという間にエンディングへとつながっていきます。『PTU』でもそうでしたが、即興的なアプローチの演出がうまくいっており、そういう意味でも北野武の作品に雰囲気が似ているように感じました。ただあちらが破壊者であるのに対して、こちらは創造者であるところが大きく違います。北野武がひとつひとつをバラバラにしながら観客の期待をはぐらかすことを意図するのに対し、本作はたとえば中盤の舞台となるマンションの悪夢的な世界の構築やオープニングの長回しなどのように、観客を正面きって挑発してくるのです。なお撮影の美しさもさることながら、サウンドデザインの確かさも特筆しておきたいと思います。役者陣はケリー・チャンが何なの?な存在感でミスキャスト。男優陣はみな好演。いい面構えの役者さんが魅せてくれるのは、アクション映画の基本ですね。
 というわけで派手ではありませんが、観客にも緊張を強いるオススメの作品です。
 さて気になるのはこれがどのように日本公開されるのか。一応配給も決まり、それはめでたいのですが、なんと公開劇場がユーロスペース! でも年末にリニューアルオープンするようです。(さらに他の劇場でも公開予定有り) とりあえず『PTU』のように、あんなひどい上映環境でみせるなら、本気で怒りますよ。

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