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2005年9月30日 (金)

『頭文字D』

20050930233026☆☆☆ これでいいのだという思いと、これでいいのかという思いと。
 『インファナル・アフェア』シリーズの監督の新作は、なんと日本のコミックが原作?! それを聞いて妙な胸騒ぎを感じた方も多いことでしょう。その後も漏れ伝わってくるのはレースシーンは日本ロケでオール実写、キャストは香港勢、アンソニー・ウォンがおやじ(しかもいつも酒飲んで役作り)など不安を増幅させるものばかり。しかしそれは杞憂に終わりました。ちゃんと映画になってます。
 一番心配したのがこの映画の肝になる街道バトル。ジャッキー・チェンの『デッド・ヒート』みたいになったらいやだなあと思ってましたが、これが抜群の出来映え! 『ワイルド・スピード』もよくできていたけれど、この迫力は尋常ではありません。サウンドデザインも秀逸で、こっちはハナマル。もう一つの心配事は日本を描けるかどうか。これがまた違和感皆無。みんな日本人にみえるし、少なくとも『頭文字D』の世界観をぶち壊すことはありません。アンソニー・ウォンなんて最高。一番彼がはまってました。(なお本作は吹替版の上映館が多数で、私もあえて吹替版でみました。DVDには原語版が収録されるはずなので、それはその時にみたいと思います。)まあ青春の痛みとか、そういう群像劇っぽい要素は薄まっていましたが、それはコミックの映画化としては正解でしょう。この映画の観客は、やはり車をみにくるわけですから、そこに不満はありません。
 では何がひっかかったかというと、やはりなぜ日本ではできないのかという部分。日本で作っていたら『デビルマン』かな、いやそもそも企画の段階で出ないかな、とかいろいろ思ってしまいました。本作をみる限りではコミックの映画化は香港の映画人の方がよく理解しているかもしれません。とりあえずこの作品はカーバトルを背景にしたスポ根ライバル物語として、存分に楽しめる1本に違いありません。そして見終わった後、映画館を出る時に邦画では何をやっているのかな?と劇場内のポスターをながめて、少し寂しい気分になるのです。
(109シネマズMM横浜2にて)

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2005年9月25日 (日)

アルテアインクARS-3000B

IMG_0001で、昨日出かけたA&Vフェスタ2005で購入した学習リモコン、アルテアインクARS-3000Bのインプレです。

 学習リモコンはよくAVアンプに付属されています。私も最初はパイオニアのアンプで使った学習リモコンがとても使いやすかったのですが、その次のSONYのTA-V55ESに付属されていたものが双方向通信タイプで最悪でした。で、そのあと何種類かの学習リモコンを試しました。マランツやSONYのものでしたが、どうもしっくりくるものがありませんでした。しばらくSONYのRM-VL1000Uでやっていましたが、アンプの買い換えと共にDENONのAVC3890付属に変えました。ところがこれも細長く、また各機種オリジナルのリモコンとボタンのレイアウトが違いすぎて、やはり使いにくかったのです。で、たまたまこのリモコンをネットで知ったので興味がわきました。何よりオール液晶でも形が極端に縦長でないところが気になったのです。今回のフェスタにブースが出ていて、そこで説明を聞いて購入した次第。

<よかったこと>
・学習がラクチン:これは今までの学習リモコンよりはかなり楽です。何より勝手に覚える側のボタンの位置が自動的に進んでいってくれるのがいいです。プリセット済みの機器はそこそこの数といったところ。
・ボタンのレイアウトに自由度がある:液晶とはいえ、あらかじめ種類は限られているものの、空白というボタンの設定を利用して、元の慣れているリモコンと似ている配置に出来るのは、私にはポイント高いです。
・ボタンの反応がいい:きびきびしていていいです。
・細かい工夫がある:タッチ音の種類やバックライトの精度を調整できるのはハナマル!
・細長すぎないスタイル:やや重いものの私にはこっちの方が手になじみました。(もう一声細ければ最高)
IMG_0003
<ダメだったこと>
・せめて1ヶ所だけでも液晶でないそういうボタンがあるとよかったです。アンプのような共通の機器があるはずなので、ボリュームとかで欲しかった
・学習できない信号はやはりあり:我が家の場合はエアコンがだめ。

<ぜいたくな注文>
・コンピュータによるレイアウト編集とかできると最高。
・やっぱりボタンのラベルが細かく変更できるといいですなあ。

でもこれで¥14800は安い! 学習リモコンの中ではかなり上出来の部類に入ると思います。オススメです。

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2005年9月24日 (土)

A&Vフェスタ2005

 今日はパシフィコ横浜であったA&Vフェスタ2005に出かけてきました。しばらくは新しい機器を購入する予定はないし、今回は特にこれをみたいという視聴ブースもなかったのですが、(ひとつだけすごく気になっていたのが学習リモコン。これは別の日にレポ)、まあ入場無料だし、という感じで行ってきました。
 まあ会場の盛り上がりはそこそこという感じでしょうか。DENONはやはりHDMI付きの3890の後継アンプを出してきました。でも我が家で使えるながーいHDMIケーブルはいつ出てくるのでしょう??。また他にもいくつかまわった中でショックだったのは、パナソニックの新しい液晶プロジェクター、TH-AE900の視聴。画の印象が全然我が家のAE-700と違う! 格子模様はみえないし、かなりの好印象。でも再生ソースが何か係員さんに確認したら我が家と同じREC-POTによるハイビジョン映像(涙)。 このプロジェクターはスペック的にそんなに変化がないのですが、かなりいい仕上がりです。というか私の調整がへっぽこなせいなのか・・・。そっちが原因でもショック(涙)。もちろん小倉氏のトークショーなどには興味がわくわけもなく、学習リモコンを購入して帰りました。25日に続く!

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2005年9月22日 (木)

『ランド・オブ・ザ・デッド』

20050923012806☆☆☆ 職人芸のような描写と、新しいゾンビ映画を切りひらこうとする心意気に感服。
 ロメロ待望の新作は、なんとゾンビ! それだけでもファンなら感激なわけですが、不安がいっぱいでもあります。なぜならもはや伝説にまでなろうとする自分の作品に、結果的に泥を塗られたらいやだなという思いがあったからです。しかもここしばらくの彼の作品はおもしろいとはいえないものが多かったのも事実。しかし。結論から言ってしまえば、この作品は期待に違わぬ力作でした。
 『ドーン・オブ・ザ・デッド』のように走るゾンビもいいけれど、こっちの描写はまさに王道。スピード感などに頼らずとも、スリリングで怖い。そして残虐描写だけに終わらない物語の深み。いつものように物語の背景をすぱっと省略して始めてしまう潔さ。しかしそこで終わらない。今作でも現代社会を巧みに取り入れた設定、そして知恵のあるゾンビたち。ワンアンドオンリーの新しいゾンビ映画を創ろうとする開拓者精神。いつもながら見事です。そしてデッド・レコニング号のカッコよさ、花火にみとれるゾンビと、ラストの行進の美しさ・・・でも何と言ってもおもしろい。それで充分。あっという間の93分でした。キャスティングはジョン・レグイザモやデニス・ホッパーのようにやや有名どころが多いとはいえ、これまたいつもながらの適材適所。FOXチャンネルで放送中の『墜ちた弁護士ニック・フォーリン』。このドラマはすごくおもしろくて、最近唯一みているTVドラマなのですが、本作の主演、サイモン・ベイカーはそのドラマの主役なのですが、これで少し名前が売れるといいなあと思います。またアーシア・アルジェントはいいなあ。本当にいい! ちょっとストライクきちゃいましたって感じ(汗)。
 これから新しいサーガは始まるのでしょうか。また米国盤DVDはディレクターズ・カット版(といっても97分らしいが)らしく、まだまだ興味は続きそうです。とりあえずロメロが帰ってきた、描きたいものを描ける状況に帰ってきたことを喜びたいです。
(TOHOシネマズ川崎8にて)

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2005年9月19日 (月)

DVD: 大事件

20050919_234022616邦題『ブレイキング・ニュース』
香港盤を購入するのはこれで2度目。画質音質なかなかのクオリティで、特に音質はかなりのレベル。サウンドデザインが優秀な作品だけに、これをDTS-ESで堪能できるのは喜ばしい限り。(というか日本で劇場公開した場合、『PTU』のようにユーーロスペースのようなショボいところでやるのはやめてほしいというのが切なる願い。)なおリージョン3表示だがディスクはリージョンオールだった。英語字幕があるので米国盤とかを見慣れている人には問題なし。特典に「削除されたシーン」があるが、それがどうやら物語の最初につくもののようで、中国語でわかりませんでした。すんげぇ、気になる!
B-AVG.-9.51MB/sec.

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『ブレイキング・ニュース』

☆☆☆ 独特の緊迫感はジョニー・トーならでは。
 ジョニー・トーの日本未公開作。昨年の東京国際映画祭で上映されています。なぜみる気になったかといえば、5月にみた『PTU』が気に入ったことと、とにかくオープニングがすんごい!という評判だったこと。思い切って秋葉原にあるDVDショップ「セール」で香港盤を購入しました。
 前作『PTU』が黒澤明の『野良犬』だとすれば、これはジョニー・トー版『踊る大捜査線2』? でもこの緊迫感は桁違いの演出力で生み出されており、いつもながらただごとではありません。今回もちょっとした偶発的な状況から銃撃戦がはじまり、それがあれよあれよという間にエンディングへとつながっていきます。『PTU』でもそうでしたが、即興的なアプローチの演出がうまくいっており、そういう意味でも北野武の作品に雰囲気が似ているように感じました。ただあちらが破壊者であるのに対して、こちらは創造者であるところが大きく違います。北野武がひとつひとつをバラバラにしながら観客の期待をはぐらかすことを意図するのに対し、本作はたとえば中盤の舞台となるマンションの悪夢的な世界の構築やオープニングの長回しなどのように、観客を正面きって挑発してくるのです。なお撮影の美しさもさることながら、サウンドデザインの確かさも特筆しておきたいと思います。役者陣はケリー・チャンが何なの?な存在感でミスキャスト。男優陣はみな好演。いい面構えの役者さんが魅せてくれるのは、アクション映画の基本ですね。
 というわけで派手ではありませんが、観客にも緊張を強いるオススメの作品です。
 さて気になるのはこれがどのように日本公開されるのか。一応配給も決まり、それはめでたいのですが、なんと公開劇場がユーロスペース! でも年末にリニューアルオープンするようです。(さらに他の劇場でも公開予定有り) とりあえず『PTU』のように、あんなひどい上映環境でみせるなら、本気で怒りますよ。

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2005年9月12日 (月)

DVD『ディープ・ブルー』(2003)

20050906_214957168実はこの作品、鑑賞する前に購入してしまった私的には珍しいケース。作品的には、チョイトはずしたかな(汗)という感じだが、しかし裏話にはことかかない労作系の作品なので映像特典はてんこ盛り。ブックレットはもはや図鑑状態だし、本編だけでは物足りなかった部分を埋め合わせてくれた。この作品に興味がわいた人は絶対に買いのDVD。画質音質ともになかなかの部類。
B-AVG.-7.41MB/sec.

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2005年9月10日 (土)

『ニューオーリンズ・トライアル』

20050911224730☆☆☆ ハックマンがすべて。

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2005年9月 7日 (水)

DVD: DEAD RINGERS

20050906_231402230邦題『戦慄の絆』
クローネンバーグの最高傑作のひとつだと思う作品。以前はクライテリオン(以下CRI)がリリースされていたが、今回ワーナー(以下WB)から再リリース。まずスクイーズ収録になったこと(CRI盤はノンスクイーズビスタ)と、5.1ch音声が収録されたこと(CRI盤は2chのみ)。ただしフレーミングが違っていて、CRIがヨーロピアンビスタ(1:1.66)に対し、WB盤はアメリカンビスタ(1:1.85)。若干CRI盤の方が写っているものが多い。(元々この作品はどちらのサイズにも対応できるようにということで、スタンダードフレームで撮影されている) またCRI盤は英語字幕がない。特典はまったく違っており、コメンタリーも別の物になっている。画質に関しては色調はWB盤の方がやや明るめだがフィルムの粒子感もあれた感じで出てしまい、これに関しては好みが分かれる。音に関してはWB盤の圧勝。CRI盤が音域がナロウな感じで、スコアも高域がわれた感じなのに対し、WB盤の5.1chは音場表現が豊かなものになっている。なおCRI盤はリージョンコード、1, 2, 3, 4, 5, 6に対応。不幸にして国内盤のクオリティはへろへろ。この作品がほしい人は迷わず米国盤。しかもCRI&WB、両方揃えてあると最高か(笑)
B-AVG.-5.63MB/sec.

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2005年9月 6日 (火)

DVD: THE INNOCENTS

20050906_214746776邦題『回転』
とにかく恐ろしい作品で、個人的に怖かった映画を5本あげろと言われれば、間違いなく入る。先日国内盤でも紀伊国屋からBOX収録で発売されたが、あんな抱き合わせの高額商品では購入意欲は半減しようかというもの。米国盤もついにリリース。質的な違いは比較できないが、米国盤はトリミング版も同時収録の両面一層仕様。さらにオリジナルのステレオ音声で収録されているのに感激。画質はモノクロ作品としてはなかなか健闘している部類。音質は当時を考えれば水準レベル。
B-AVG.-5.32MB/sec.

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2005年9月 4日 (日)

『アビエイター』

20050911224723☆☆1/2 カリスマ性を描けなかった弱み。

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2005年9月 3日 (土)

『遠い夜明け』

☆☆☆1/2 社会派としての潔さと、エンタテイメントとしての仕上げのバランスがよい。

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2005年9月 2日 (金)

『ディープ・ブルー』(2003)

20050911224726 ☆☆ 記録映像の価値が、そのままドキュメンタリーの評価にはならない。
 昨年日本でも大ヒットしたBBC製作ドキュメンタリーの総集編。まず記録映像としての価値の素晴らしさには驚かされるばかりです。中でも深海の発光生物の美しさは『アビス』の世界です。大スクリーンでの上映にも耐えうるクオリティで、さまざまな生態を克明に記録する労力に敬意を表したいと思います。しかしそれが作品としての価値はどうなるかとなると別問題なのです。
 ドキュメンタリーは映像で構成される作品であり羅列ではありません。近年話題になった『華氏911』もそうですが、映像作品の場合は特に事実を再構成することで「主張」や「見解」が生じます。単純にドキュメンタリーは事実だといえない側面はその点にあります。そうやって考えてみると、この作品は映像ひとつひとつに素晴らしい価値がありますが、『ディープ・ブルー』という長編作品としてみた場合、この作品が何を観客に伝えようとしているのかが、今ひとつはっきりしません。総集編ですのでかなり削ったと思われますが、それではなおさら、どんな長編にするのかを考えてほしいと思います。そうでなければ我々はとても退屈な時間を過ごすことになります。
 この作品はまるで学生のことをまったく考えず、ただテキストをだらだらと読み上げる大学教授のようです。興味深い題材で、なおかつ映像は素晴らしいのです。みる価値はあると思いますが、退屈する可能性も大きい作品です。

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