『サスペクト・ゼロ』
☆☆1/2 ディテールが雑なので説得力がない
予告編をみる限りではすごく面白そうで期待していた作品。微妙に裏切られました(笑) <以下ネタバレ(ドラッグ&反転でお読みください)>超能力による犯罪捜査というのは、今までも描かれていたのですが、今回はその部分がとても雑でした。ベン・キングズレー扮する能力を持った男が味方なのか敵なのか、という観客の興味も、いつの間にかそうなの?という感じなのです。思わせぶりが多い割に話があまりにご都合主義であるところ、また最近流行のミスディレクション的なアプローチをしている点など、素材として面白いところがいかされる演出になっておらず、とてももったいないと思いました。たとえば特殊な能力を持つことの悲劇性などにもっとウェイトがかけられると『デッドゾーン』『スキャナーズ』などのレベルにまで行けた素材です。
とにかくベン・キングズレー! 彼の怪演でもっているような映画です。もう『サンダーバード』のトンチンカンなキャラは許します! 本当にすごい。さすがです。しかしアーロン・エッカートは相変わらず野暮ったくて繊細さに欠け、キャリー・アン・モスにいたってはどうでもいい役です。この2人の過去の色恋沙汰なんて要素は物語の展開には添え物どころか、パセリにすらなっていません。ベン・キングズレーのキャラ、絶対スピンオフでやると面白いと思うのですが。
サイコスリラーというジャンルも完全に曲がり角ですね。そうそうのことでは観客は驚きません。しかしだからこそ細部の描写を丁寧に描けることが大切なことだと痛感させられます。楽しもうと思ってみている作品から、そんな教訓めいたことを教わっても、ちっとも嬉しくはありませんが。
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